襲撃返し
ご都合主義というか、少々微妙かもしれない説明があります……まだまだ改善できそうなんだよなぁ‥‥‥
SIDEダンジョン盗賊御一行様
‥‥‥ダンジョン内では、不慮の事故などがある。
落盤、思いがけないモンスターの襲撃、仲間割れによる囮など、それらによって人命が失われるのだ。
そんな中で、その不慮の事故に見せかけて荒稼ぎをする悪党たちも、もちろん存在していた。
モンスターハウスなどのトラップがある場所を先に把握して起き、後から来た冒険者たちをそこまで向かわせ、気が付いて退却しようとしたら背後から強襲し、誰かがそのトラップへ踏み入れてモンスターをわかせ、その冒険者たちを襲ってもらいつつ、自分たちはさっさと逃走し、収まった頃合い散らばっている品々を強奪。
気が付いておらず、そのまま踏み入れた場合でも、同様の手口を行い、彼らは荒稼ぎをしていたのであった。
そんな中で、本日は少年1人、少女3人ほどの冒険者たちが来たのをみて、今日の獲物に認定し、バレないように後を付けていた。
「親分、今日もうまいこと行きそうでやんすね」
「ああ、腕は立つようだが、所詮子供。モンスターハウスがこの先にあるが、このまま踏み入れてしまって対応できなくなるか、気が付いたとしても俺様たちにはかなわないであろう」
一応、このダンジョン内でトラップの位置などを先回りして把握するべく、この盗賊モドキ共の実力は意外にも高い。
真面目に働くこともあるが、やはりこうやって不慮の事故に見せかけて襲撃をかけたほうが何かと楽なのである。
「おい、あの子供たちはどうなっている?」
「へい!どうやら順調にというのもおかしいかもしれやせんが、モンスターハウスへ向かっていやすぜ!」
こまめに確認しながら、どうしていくか計画を修正しつつ、大体予定通りに進んでいることに、彼らは笑みを浮かべる。
「よし、じゃあモンスター共がドバっと出た隙に、襲撃をするぞ。突然の襲撃であの若さからすれば多分対応できないだろうからな!」
「「「うぃーっす!!」」」
その言葉に、他の者たちが答え、いよいよその時が来ようとした…‥‥のだが。
「うい!?た、大変でっせえぇぇ!!」
「どうした!」
「と、突然あいつらの姿が消えた!!」
「なにぃっ!?」
その報告を聞き、彼らは慌てて獲物の様子を見に行く。
つい数分ほどまでの細かな報告の間はずっと、その獲物となりうるガキたちはいたはずだと思いつつ、現場を見に行ってみれば、確かにそこには誰もいなかった。
「落とし穴のトラップでもあったか!?」
「いえ!!そんなものはないでやんす!」
「モンスターハウスになる境界線はあのあたりだが‥‥‥そこにも姿が見えないぜ!」
彼らはトラップを作動させないように慎重にその場所へ近づきつつ、周囲を見渡す。
天井にでも張り付いている可能性を考えたのだがそこにもおらず、穴を掘った形跡もない。
「どうなっていやがる?」
「ガキ4人…‥‥小さいながらも大槌などを持っていたりした分、見えそうなものだよなぁ?」
何が起きたのか理解できず、獲物を逃すのは惜しいと必死になって探す盗賊モドキ共。
…‥‥と、確認のために、モンスターハウスとなる境界線ギリギリのところまで、その中の一人が近づいたときであった。
ごひゅうううううううう!!
「うわっば!?」
突然の強風が吹き荒れ、その近付いた奴が押され、モンスターハウスに入り込んだ。
「な、なんだ今の風は!?」
「いや、そんな事よりも馬鹿野郎!!」
「さっさと逃げるぞ!!モンスターハウスが作動しやがった!!」
【【【【ギャセイェェェェェェェ!!】】】
もはや声とも思えぬような、不気味な声が響き渡ったかと思うと、突如として大量のモンスターが出現する。
慌てて逃げようとしたところで、彼らはそれに気が付いた。
「やべぇぇl!!逃げ、」
ごっ!!
「ふごばっ!?」
「な、なんだこれ!?」
いつのまにか、退路に大きな氷の壁が貼られており、逃げ場がなくなっていたのだ。
「どういうことだこれは!?」
「さっきまで、こんなもんはなかったはずだぞ!?」
何が起きたのか理解できず、彼らは混乱する。
だが、整理する前にモンスターたちは一気に襲撃してきて、応戦せざるを得なくなった。
一応、それなりに実力があったとはいえ、ここまで大量であれば分が悪く、そのうえ混乱してしまったもので対応しきれず、一人、また一人と倒れていき、最終的には全滅したのであった…‥‥
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SIDEフレイ
‥‥‥断末魔が聞こえたようだが、まぁ、自業自得な末路であろう。
「良し、そろそろ良いかな?」
【盗賊モドキ共全滅を確認。一応、それなりに戦闘できたようで、数は減っている模様】
ナビリンの探知機能で探りつつ、氷の壁の向こうの様子をフレイたちは探り、ある程度のモンスター数の減少を確認し、準備をする。
「見捨てるような形とは言え、ちょっと良心が咎めるが‥‥‥まぁ、相手も色々とやらかしているし、お似合いの末路だろう」
全滅を確認しつつ、モンスターの位置の詳細をナビリンに探ってもらい、出来るだけ一気に片付けられるようにして‥‥‥
「フラウ、補助を頼む」
「了解なの!」
「それじゃいくぞ!!炎魔法‥‥‥」
「風の精霊魔法…‥‥」
「『フレイムストーム』!!」
「『エアロストーム』!!」
ドンッ!!っと音がすると同時に、フレイの炎の魔法とフラウの風の精霊魔法が打ち出され、炎が風によって空気を一気に吸い込み、熱量を上げて青白く変化する。
回転し、竜巻のように進撃し、氷の壁にぶち当たる直前に、リールが大槌を投げ、先に壁を破壊して、魔法の勢いを殺さずに、そのまま向こうへ流れ込んだ。
ズゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!
流れ込む超高温の炎の渦はそのまま何もかも薙ぎ払い、数分後にようやく消えた頃合いには、氷の壁が室温の上昇に伴って急速に溶け、向こう側の凄惨な状態を見せるのであった。
「‥‥‥うわぁ、ちょっと壁が影響して、溶けるまでに熱が貯まって、熱波がすごいな」
向こう側から流れ込むのは、まだ余波として残っていた、熱されていた空気。
そして、広がるのは無残にも溶けていたり、焼け爛れて絶命したモンスターの死骸である。
‥‥‥この案、当初フラウが考えたものであったが、こうしてみると中々エグい。
ナビリンの探知機能で、フレイたちの様子を見ている下っ端のような者は分かっていたので、それをまずは利用したのだ。
雷魔法をボルドから修得していたので、まずはフレイ自身が一気に雷魔法で強化し、見ていたであろう下っ端を叫ばれる前に一撃で気絶させる。
そしてちょっとばかり都合の良い情報操作が出来るように、探知機能でどの程度の身長なのか把握していたので、身ぐるみを剥いで、その服を少々頂き、都合よく足してちょっとかがめば同じぐらいの身長なので、リールと二人で肩車をして調節して下っ端に変装。。
流石に顔までは隠せないのだが、そこでユキカゼの氷の精霊魔法を使用して、ちょっと似せた氷の仮面を作り、リールが器用な手先でさらに細かく成形し、ある程度皮膚の色が透けるように偽装して不自然さをギリギリまで消す。
ついでに気絶した下っ端の人の髪の毛を剃って、即興で同じ髪形のカツラを作り、後はアドリブで下っ端のふりをして、探知機能でわかっていた居場所へ向かい、盗賊モドキ共を誘導したのであった。
なお、フラウとユキカゼは体内に入れ、リールの大槌は適当に埋めて隠し通す。
まぁ、流石に素人仕込みの変装なのでばれる可能性もあったが、案外馬鹿なのか、それとも下っ端の方は覚える気もなかったのか、緊急性のある情報に彼らは驚いていたようで、慌てて先ほどまでフレイたちがいた場所まで誘導。
あとは探すことを祈りつつ、少しだけ距離を取って、音を立てないようにフレイが自身の魔力を使用して、氷の精霊魔法を発動し、透明性の高いものにしたのですぐには気が付けれなかった。
そして、ちょうど都合よくモンスターハウスに踏み入れかけたやつがいたので、風の精霊魔法を発動してもらい、一気に押したのである。
あとは、あらかじめ作っておいた壁の出口を素早く抜け、すぐに防ぎ、壁の厚みを増すために再び精霊魔法を使用し、今度は透明度が低くなったのだが‥‥‥‥
「…‥‥こうも簡単に行くと、ちょっと怖いな」
「まぁ、何にしても何とかなったから良いの!」
生け捕りにせず、恐怖を見せ、見捨てたような形だが…‥‥相手の方をナビリンで探ると他にもやらかしていたようだし、天罰と思いたい。
過剰な正当防衛のような気もするが…‥‥まぁ、どちらにしろ、もう過ぎたことなので、考えないようにするのであった。
「ところで、この山どうするんだ?」
「ん?」
ふと、リールに尋ねられて見れば、モンスターたちの死骸の山。
これの後片付け方法まで考えていなかったことに、フレイたちは気が付くのであった…‥‥
さてさて、撃退したは良いものの、まだまだ何かありそうだ。
とにもかくにも、次の階層へ目指すフレイたち。
後は野となれ山となれと思いつつ、修行を続けるのであった。
次回に続く!!
‥‥‥盗賊の救済ルートも書けばよかったかもしれない。まぁ、悪党だし色々と余罪もありそうだしなぁ‥‥‥どうしようもないか。




