ようやくかよ
とは言え、主人公の運の悪さは舐めてはいけない……いや、もうこれ何回言ったかな?
そろそろ別の言い方をしたい。
SIDEフレイ
バックドロップの一撃が強烈だったのか、リールという少女は頭に大きなたんこぶを作って、気絶していたので、とりあえずセバーンさんが客用の宿泊室の一つに、彼女を入れたらしい。
念のため、また暴れられても困るために爆裂大槌とやらは別の場所に持っていかれ、後は親御さんの方に連絡するそうである。
「ところでセバーンさん、ここの屋敷の主とあのリールって子は何か関係があるのでしょうか?」
「あると言えばありますが‥‥‥まぁ、わかりやすく言えばややこしい家ですので、わたしめにはそれ以上の説明し様がありません。いえ、別に隠してもいないのですが…‥‥本当にややこしい家計というべきか‥‥」
物凄い苦労をしているような雰囲気があふれ出てきたので、フレイはそれ以上の質問をすることを止めた。
ナビリンの鑑定機能でわかる事もありそうだが、良い事は無さそうなのでそちらも止めさせている。
「なんにしても、結局もう夜遅くなりだけど…‥‥明日の朝には帰ってきますかね?」
「ええ、おそらくはそうかと。ただ、血なまぐさい可能性がありますので、こちらをどうぞ」
そう言われて渡されたのは、【超・強力消臭!!】と書かれた霧吹きのような瓶。
‥‥‥ああ、なんかもうこの手慣れた感じからして、恐ろしく苦労していそうだ。
何にしても、フレイたちも屋敷の方で宿泊させてもらうことになったのであった。
【ところで、一つ思ったことがあるの】
「?」
【屋敷、ボロボロだけど良いの?」】
【ああ、そう言えば拙者も思っていたでござるよ】
【少なくとも、客室は無事のようですが…‥‥ああ、これは修理費がかなりかさみそうですね】
言われてみればその通りである。…‥‥大丈夫かな?
そして翌日、ようやくと言うか、あの大暴れの代償のおかげか、やっと屋敷の主とやらが帰還した。
ただし、その背中にものすごく大きな生首を携えて。
「がっはっはっはっは!!なるほど、セドリッカの奴が連絡してきた、見込みのありそうな冒険者の坊主とはお前さんかぞい!!」
「えっと、たぶんそれで良いと思いますが‥‥‥その背中の生首は一体?」
なんというか、かなりでかい。
ちょっとした小屋サイズで有りながらも、断末魔と言うか、絶望の表情で死後硬直したかのような、巨大な生首だ。
ただまぁ、明かにそのサイズの時点で人間ではないことが分かるし、目が10個ほど、角が8本、耳が7個あるのでモンスターなのは町はいないだろう。
「おお!!よくぞ聞いてくれたぞい!!この生首は『ギガンテス』の亜種中の亜種、出合う確率が奇跡に等しく、絶望しか与えないとされる『グランドギガンテス』のやつからとったのだぞい!!」
‥‥‥もうこの時点で、この人がどれだけ無茶苦茶そうなのか、フレイたちは理解したのであった。
見た目は好々爺、されども中身は破天荒な元気いっぱいな爺さん。
その名はゾンバルというらしく、冒険者の中でも異名として『首狩り大魔神』として有名らしい。
この迷宮都市にあるダンジョンに潜りつつ、日夜珍しい巨大なモンスターでの首を求め、荒らしまわっているらしいが…‥‥
【鑑定不可能。実力に差があり過ぎて、測定不可能です】
ナビリンが鑑定できないほど、かなりの強者であった。
「がっはっはっはっは!!セドリッカから連絡は来ており、お主に力を高めてもらおうと修行をさせれば良いようだぞい!!もちろん、それは引き受けよう!!」
「おお、では」
「だがしかし!!ただで受けられると思うなぞい!!条件としては、まずはその実力を測らせてもらうぞい!!」
どうやら模擬戦をしてみないとだめそうだが…‥‥勝てるかな?
何だろう、今までにないほど勝てる予感がしない。
「とはいえ、全力で相手をしないとだめそうだな‥‥‥」
【一生懸命サポートするの!!】
【うむ!!拙者的にもあれはちょっと無理だと思うでござるが、全力でやるでござる!!】
【‥‥‥とりあえず、ヒット&アゥエイ、先手必勝、的確さなどが求められるでしょう。鑑定機能が相手には効果がありませんので、ひとまずは戦闘に集中しましょう】
とりあえず、昨日に引き続き再び戦闘をさせられるのであった‥‥‥‥ああ、どうしてこうなるのだ。
とりあえず、戦闘開始である。
しかし、屋敷が一部壊れていたりするのに、この人良いのかなぁ?
稼げているのか?
次回に続く!
…‥‥なんかもう、ドラゴン相手よりも大変そう。




