神速ではないが
ちょっと短め。
某電気鼠のような感じがするなぁ……
SIDEフレイ
ズドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
……その日、その姿を見た者たちはそろって口にした。
「あれは何だ?」
「何かがものすごい速さで通り過ぎたような…‥」
「地面が焦げてないか!?」
「速すぎる…‥‥」
「ブルバッフゥヒィィィイン!!」
「うわぁぁぁぁ!!すごい速い!!」
それは、大きな角を付けたバッホーン、いや、ネオ・バッホーンと呼ばれる生物。
そしてその背中には、フレイが乗っていた。
――――――――
……あの戦いからフレイが目を覚めた後、そこにいたのはフラウたちと、ネオ・バッホーンのボルドというモンスターであった。
どうやら話によれば、神龍帝が現れたらしく、戦闘を仕掛けてきていたボルドは実は、フレイの今の実力を測るために、神龍帝が仕向けてきた別世界のモンスターだったそうだ。
それも、バッホーンの中でも伝説と呼ばれるボルドの名を受け継いでおり、電撃に特化しているらしい。
そして、意外にもメスだったらしく、ミルクを飲ませてもらった途端、あっという間にフレイは回復した。
「‥‥‥で、旅の仲間になってくれるというのか」
「バウヒヒィン!!」
そうだと言わんばかりに頷くボルド。
先祖はオスだったが、今のボルドの名を受けついだのはメス。去れどもその名には恥じぬ猛者なのは戦闘でフレイは理解させられたのであった。
何にせよ、仲間になってくれたのはありがたい。
「雷賢者」のスキルは習得できないが、「雷魔法」ならば習得ができるし、回復を可能にしてくれるミルクを精製してくれるなど、心強いのだ。
まぁ、互いに全力をぶつけた戦闘ゆえに友情的な物もあるが‥‥‥
とりあえずは、今はまだ修行の地へ向けて進んでいると話したら、背中に乗れと言われたので乗ると…‥
「ブルバッヒィィ!!」
全速力で、ボルドが駆けだしたのであった。
――――――――
……そして現在、加速の効果があるらしい雷の魔法をボルドが発動させ、電撃に包まれて突進状態で野をかけているのであった。
途中、モンスターなどが出てきたが…‥‥電撃を纏いしボルドの駆け抜けを邪魔することは叶わず、轢かれて飛ばされたりしていった。
まさに縦横無尽な弾丸闘牛…‥‥しかし、某電気鼠の技のようにも思えるのは気のせいだろうか。
何にせよ、かなりの高速移動によって、修行の地へあっという間に近づいた。
とは言え、日も暮れてきたので、休憩のためにフレイたちは適当な場所で止まり、どこで野宿することにしたのであった。
「にしても、あっという間にかなり進んだが‥‥‥進んだ跡地が電撃で焦げているな‥‥‥」
「バルブッヒン」
やっちまった☆とでも言うように、そう鳴くボルド。
ちょっとだけ離れた場所の方にしたが、進んできた道が黒焦げなのは丸わかりであった。
「ここから先、あれはやめておこうか。本当に必要な時に高速移動できた方が良いからね」
あの速度はちょっと面白いとも思えたが、道行く邪魔者を跳ね飛ばすのはちょっと心が痛んだ。
ゴブリンだろうとウルフだろうと、たまに出てきた山賊・盗賊だろうとも、等しく宙を舞う。
その光景は、何処か彼らに憐れみを持たせるのに十分であった。
……なお、この黒焦げになった道は後に「悪党成敗黒道」と呼ばれ、悪人たちが最も恐れる場所となって治安が向上したことは、今のフレイたちには知らないことであった。
さて、いよいよ目的地へ到着するフレイたち。
ここまで色々あったが、ボルドのおかげで早く進めたのは良いだろう。
でも、やはり何と言うか、人数が増えても全体的な運が良くなるわけではないのか……
次回に続く!
……ボ○テッカーのような光景と思えばわかりやすいかも。知らない人は分からないかもしれないが‥‥‥




