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転生、いきなり最悪過ぎだよ!!  作者: 志位斗 茂家波
2章:修行・・・・・したいのに
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油断大敵

そう言えば忘れているのがあるような‥‥‥

戦闘しているけれども、そもそも何で飛んでいたんだっけ?

SIDEフレイ


 ドッカンドッカンと爆撃の雨あられをフレイは続けていた。


「っと、そろそろ良いかな?」


 爆発による土煙のせいで、バッホーンキメラの様子が見えなくなり、一旦確認するためにフレイは魔法の行使を止めた。



 流石にオーバーキルになるかもしれないと思っていた…‥‥その時である。



【っ!緊急回避!!】


 ナビリンがそう告げ、素早くフレイは何かからかわそうとしたが、遅かった。




ズバリバリバリバリバリバリ!!


 電撃の塊が突然飛び出し、フレイめがけて飛んできた。



「しまった!?」


 土煙で姿がまだ確認できていないが、どうやら反撃の隙を伺っていたらしい。


 自身が創り出してしまった隙に後悔しつつ、フレイはそれがかわせない攻撃であると理解した。




ズドンバリバリバリバリバリバリ!!

「ぐわぁぁぁぁあぁぁぁ!!」


 強力な電撃直撃し、フレイは浮遊を保てなくなり、地面に落下する。




「ブルバッフヒィィィン!!」


 それと同時に、土煙からバッホーンキメラが飛び出してきた。


 爆撃によってぼろぼろのようだが、まだ体力があるようで、フレイの落下地点めがけて走っている。


 角を構え、このまま落下してきたところを狙い撃つようだ。



 

 けれども、意識はギリギリ飛ばなかったが、電撃のせいで麻痺してフレイは動けない。


「ぐっ‥‥‥このままじゃ不味い。フラウ!!」

【了解なの!!】


 この中で浮遊が可能なフラウがフレイの身体から出て、持ち上げた。



「ブルバッフゥヒヒィィィン!!」


 フラウに抱えられたことによって、フレイの落下がまぬがれ、突進できなかったバッホーンキメラが不満げな雄たけびを上げる。


 だが、その突撃に体力を使っていたのか、すぐにこけた。




 その隙に、フラウはゆっくりと着陸し、フレイの足を地につける。


 ユキカゼも体から出て来て、フラウと共に、フレイの肩を持った。


「良し、一応まだ動くな…‥ここはもう、一気に大きな一撃をぶっ放す!フラウ、ユキカゼ、支えてくれ!」

「了解なの!」

「了解でござるよ!」


 二人に支えられた状態で、隙を見せているバッホーンキメラにフレイは照準を定める。


 もうすでに相手もボロボロだが、フレイもボロボロ。


 互いに満身創痍だが、支えてくれう背中があるとないのでは違う。


「炎魔法‥‥‥『ファイヤストーム』!!」

「風の精霊魔法で補助なの」

「氷も持ってくでござる!」


 炎の竜巻が発生し、フラウとユキカゼの補助によって、風の力で火の力が増加し、熱によって溶けてはいるが、それでも氷の刃のいくつかは混ざっていた。



ズドドドドドドドボォォォォォウ!!

「ブルバッヒホォォォォォォォォン!!


 見事に魔法が直撃し、天高くまで炎の竜巻に飲み込まれ、魔法が消滅するとともに、バッホーンキメラは地面に落下した。



……それと同時に、フレイも戦闘のダメージと魔力がちょうど切れたようで、気絶するのであった。




―――――――――――――――――――

SIDE:フラウ&ユキカゼ


「・・・・・無事に倒せたの?」

「そのようでござるな。っと、主殿が気絶したでござるよ…‥」




 フレイの身体から力が抜けたので、倒れないようにぐっと手足にフラウたちは力を籠め、そっと彼を寝かせる。


「先程の電撃、主様は直撃を喰らってましたけれども、大丈夫なの?」

「と言うかそもそも、あれをまともに受けて‥‥‥この状態なのは異常だとも思えるでござるがな」


 心配そうなフラウであったが、ユキカゼは別の事に気が付いていた。


 

 先ほどの電撃は、通常の人間であればほぼ即死レベル。


 だがしかし、フレイの身体は少々くすぶっているところがあるとは言え、そこまで重症のようにも見えないのだ。


【‥‥‥これはスキルの影響ですね】


 そんな中で、ナビリンはその原因を理解した。


 フレイの所持しているスキルの中にある「自然回復強化」である。


――――――――――――――

『自然回復強化』:大怪我を負っても、魔法を使い過ぎて体力や魔力を消費しても、常人よりも圧倒的な回復力をもたらすスキル。常時発動。流石二頭が潰れるなどと言った最悪の事態での回復は不可能に近いが、軽い骨折程度であれば30分で自然治癒する。曲がって繋がる事もなく、正しい状態になる。

――――――――――――――


 このスキルであれば、すぐに治っていくのは目に見えている。


 ただし、ちょっとばかり問題があるのだ。



【・・・・・あ、称号が変化してますね】


――――――――――――――

『魔人予定者』→『魔人分岐予定者』


『魔人予定者』:ちょっとアウト、人間やめてきている者につく警告のための称号。やり過ぎれば種族が「人間(?)」から「魔人」へ変化してしまうので、やめたくなければ自重を心掛けるべきである・・・・・が、発覚している時点で遅かったりする。


『魔人分岐予定者』:まだマシかもしれないが、人間を辞めることが確定した称号。「魔人」への変化だけではなく、より違う種族へ変わる可能性が大きい。いつになるのかは不明だが、将来的には人間を辞めることが確定。もう遅い。

―――――――――――――


【…‥‥黙秘しておきますか】


 ある意味残酷かもしれないが、黙っておいた方が良いとナビリンは判断した。


 と、ここでふとナビリンはある反応を感知した。


【ん?…‥‥この反応は】







バサァッツ!!

「っ!?」

「なんでござるか!?」


 突然、突風が吹き荒れ、フラウとユキカゼがその方向を見てみれば‥‥‥


「「!?」」


 そこにいたのは、一頭の大きなドラゴン。


 翼を広げ、純白な美しき体は目を惹かれるようでありつつ、その雰囲気は明らかに生物として、いや、それ以上の格上の者である事を彼女達は理解した。


「なっ……なん、なんなの?」

「どう見ても……圧倒的過ぎるでござる」


【‥‥‥神龍帝】


 フラウとユキカゼは初対面だが、ナビリンは知っていた。


 あの名づけの儀式にて、各ドラゴンに名を与え、フレイにも名を与えた、異世界のドラゴンとも、神の一種とも言える存在。



 その雰囲気に押される中、神龍帝は着陸した。



 そのまま向きを変え、倒れているバッホーンキメラの方へ歩み寄った。



【‥‥‥ふむ、お前がやられるとは。中々見事な戦いであったが、実力はあちらの方が上だったぞ】

「ブ、ブルバフィ……」


 神龍帝の言葉に答えるように、弱々しく声を上げるバッホーンキメラ。



【まぁ、何にしても実力を測る事が出来た。お前のおかげと言うのもあるし、とりあえずは治そう】


 そういうと、神龍帝はバッホーンキメラに手をかざした。


 そして、何かキラキラしたものが降り注いだかと思うと、次の瞬間にはバッホーンキメラは全快していた。


「ブル、バッフヒィィィン!!」



「治療したの…‥?でも、何をしたの?」

「あれは回復魔法の類のような気がするでござるが‥‥‥と言うよりも今の会話はどういう事でござるか?」


 フラウとユキカゼが驚愕する中、神龍帝は彼女達の方へ向いた。


【その質問に答えてやろうか?】

「っ……聞こえていたでござるか」


【ああ、そうだ。っと、その質問に対してだが、正直な話、単純に我がその少年‥‥‥フレイと名付けたその少年の実力を見ようと思い、我が世界からこのものを連れて来て、戦わせたのだ】


 神龍帝の言葉に、フラウたちは唖然とした。


 今の襲撃、黒幕はこの目の前の存在だったのだ。


 それも、ただ単に実力が見たいというだけで、これだけの強力なモンスターをよこしてくるとは…‥



【‥‥‥はぁ、これだから神に連なるような方々は嫌なんですよ。自由奔放で、力がなまじ大きすぎるがゆえに、やることなすことが斜め上に行くんですよ……】

【聞こえておるぞ、フレイの中にいるスキル・・・・・ナビリンと名付けられた存在よ】

【…‥‥】


 ナビリンはあくまでもスキルと言う存在であり、外部にその声が漏れるようなことはない。


 だが、目の前の神龍帝はその声すら聞きとってしまったようだ。



【何にしてもだ、単純に実力を見たいと言うがために、襲わせたことは謝っておこう。・・・・・それに、なにやら収集していたものを台無しにしてしまったようだ】

「え?」

「・・・・・あああああああ!!ミルクでござるか!!」


 その言葉にフラウは首をかしげたが、ユキカゼはすぐに理解した。


 この戦闘前に集めていたバッホーンのミルク。


 氷の容器で保管し、後で利用しようとしていたのだが‥‥‥考えてみれば、いつの間にかその存在をすっかり忘れていたのだ。


 慌てて周囲を見渡してみれば、哀れにもミルク入りの氷の容器は粉々になっており、中身は既に大地へ吸収されていたのであった。



「あ、そう言えばすっかり忘れていたの……せっかく集めていたのに、台無しになって主様悲しむの」

「電撃が飛んできたその時に、落としていたでござるよ…‥‥どうしようでござろうか」

【うむ、それに関してだが、ちょっと罪悪感もある。そこでだ……】


 そういうと、神龍帝はバッホーンキメラの首根っこをつかみ、フラウたちの前に置いた。


【この者をお前たちの下へ仕えさせよう】

「え?そのバッホーンキメラをですか?」

【ああ。正確に言えばその種族名は異なるが‥‥‥フレイの中にいるナビリンとやら、今コイツに欠けていた隠蔽の魔法を解除した。改めて鑑定してみよ】

【ああ、おかしいと思ったらそのような細工が施されていたのですか・・・・・まぁ、やってみましょう『鑑定』‥‥‥】


―――――――――――

名前:ボルド

種族:ネオ・バッホーン

性別:メス

所持スキル:「雷賢者」「回復ミルク」「多種特権」

称号:「伝説のバッホーンの子孫」「異界を渡りしもの」「進化の可能性」


「ネオ・バッホーン」

伝説のバッホーン「ボルド」直系の子孫でありながら、彼が成した多種多様な種族間での子供たちの血が入り混じり、一つにまとまった後、雷に打たれて覚醒したバッホーン。

雷の性質を強く権限させ、通常のバッホーンではもはやかなう相手ではない。

また、多種多様な種族の血が混ざっているせいか、その耐性などは非常に高い。


「雷賢者」:雷魔法を極めた末に獲得するスキル。ただし、スキル「努力習得」では「雷魔法」の方しか獲得できない。得たければ鍛錬あるのみ。


「回復ミルク」:バッホーンのミルクは極上だが、それにさらに回復効果が付いた。しかも体力だけではなく魔力ややる気など、目的に応じて作る事が可能。腐る事もなく、料理に扱えばさらに効果が高まる。


「多種特権」:奇跡と言うべきか、先祖が交えた種族の血が入り混じったせいか、多種多様な種族の能力を権限させる事が可能になったスキル。ただし、交わっていない種族の能力は権限不可能。現在可能な者としては、ユニコーン、グリフォン、バッホーン、ワイバーン、ガーゴイル、ゴーレム、などがある。


「伝説のバッホーンの子孫」:バッホーンの中でも有名な、物凄い伝説を持つバッホーンの直系の子孫である証の称号。この称号が顕現するとオスであろうとメスであろうと、自然とその名前が引き継がれる。


「異界を渡りしもの」:異なる世界から渡って来た存在の称号。転生者・転移者とは微妙にカテゴリーが異なる。


「進化の可能性」:その種族を突き詰めたものではなく、まだまだ先がある可能性を秘めた称号。最終的な進化を終えた際に、この称号は削除され、「進化を極めしもの」と言う称号になる。



―――――――――――



【‥‥‥何ですか、この滅茶苦茶な中身は…‥‥】


 ナビリンは体があったら思わず頭を抱えたくなるような錯覚を持った。


 一体どのような内容なのかフラウたちも聞き、彼女達は唖然とした。



「す、すごいの・・・・・」

「と言うか、あの電撃の攻撃や翼はスキルによるものであったでござるか・・・・・しかもまだ進化の余地があるとは、驚愕しすぎてもうどうしようもないでござる」

【正直言って、我自身もツッコミを入れたくなるような内容だった】



 連れてきた張本人である神龍帝すらも、どうやらこのバッホーン……先祖から受け継がれた名を持つボルドには、ちょっと驚愕したらしい。


【まぁ、確認はできただろう。‥‥‥ボルドよ、こいつの下に仕える気はあるか?】

「ブルル……バヒヒン」


 神龍帝の問いかけに、少し考えた後、ボルドは頷いた。


 どうやら了承したらしく、フレイの前に座り込む。


「って、私たちは承諾していないのですが・・・・・」

【諦めましょう。今はまだ、反論して勝てる相手ではありません】


 フラウの言葉に、ナビリンがそうつぶやく。



【それでは、目的も果たした。では、さらばだ】


 そういうと、神龍帝は翼を広げ、天高く舞い上がり、姿が見えなくなったのであった‥‥‥




「‥‥‥ところで、主様にどう説明するの?」

「まぁ、回復してからきちんとしたほうが良さそうでござるな」


 ちょっと説明に困る状況に、フラウとユキカゼはそろって溜息を吐くのであった。



【‥‥‥しかし、本当にただ実力を測るだけに、神龍帝が来たのでしょうかね?いやまぁ、暇そうなところもあるのですが…‥‥】




……ナビリンのそのつぶやきは、聞かれなかった。

深く考えすぎのようにも思え、以降は特に考えなかった。

だがしかし、それは将来的に解答が・・・・・

次回に続く!


新たなメンバーに、ネオ・バッホーンのボルドが加わった!!先祖はオスだったが、今回はメスで登場!!

「何か違いがあるの?」

【しいているのであれば、メスの方がバッホーンは強かったりするんですよ。元々は逆ハーレムを形成する種族なので、先祖のボルドさんのようなハーレム形式は異常なんですよね】

「すごい家庭だったに違いなさそうでござるな」

【ええ、確かに(いろいろな意味で)すごかったそうです】


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