VS ???
大雨が降っていたのに、今はいい天気。
いや、暑いというか……今年の天候はなんか極端だなぁ。
SIDEフレイ
「しかしバッホーンの群れってなんかすごいなぁ‥‥‥」
ミルクを取り終えたフレイたちは、上空から群れが通り過ぎるのを待っていた。
数が多いというか、大群の強さを持つように見える。
【‥‥‥っ!?警戒警戒警戒!!】
と、そこで突然ナビリンがそう叫んだ。
【適性反応急速接近中!!正体不明!!鑑定不可能!!】
【鑑定不可能なの!?】
【え!?どこどこ‥‥‥って主殿、後ろ後ろでござるよ!!】
「何っ!?」
ユキカゼの言葉を聞き、フレイはすぐに後方を向き……その接近してきたものに気が付いた。
見た目はバッホーンに近いと、一瞬は思えた。
だがしかし、よく見ればあちこちが異なる。
「ブブルルルヒバッホゥヒィィィィン!!」
鳴き声がどこか馬が混ざっているようで、足が馬のようになっている。
そして背中には大きな翼が生えており、真っ白な翼と言うよりも、光り輝いている翼である。
頭の方には額部分に大きな角が一つと、トナカイのような大きな角が二つ。
バチバチババチバチゥ!!
「げっ!?」
ゆっくりと観察できそうだったが、そうはいかないようだ。
急に接近されて、角の間にはいくつもの電撃の塊のようなものが生成され……
「ブルルルバッヒィィィン!!」
チュビィィィィィィィィン!!
某宇宙戦艦のごとく、強力な電撃が一気に放たれた。
【うわ!!避けるの!!】
慌ててフラウが中から風の精霊魔法を使って、浮いていたフレイの身体を横へ動かすと、さっきまでいた場所を強力な電気光線…‥‥いや、ビームと言うべきものが通り過ぎていった。
【‥‥‥直撃していたら、ほぼ間違いなくやられていたでしょうね】
ナビリンがごくりと唾をのむように、そう口にする。
そして今の電撃光線を放った方を見れば、余裕そうな顔で第2波の用意をしていた。
【第2波の用意のようです。鑑定不可能。仮名称として『バッホーンキメラ』と命名。空中戦闘はこちらが不利と推測します】
空中戦は浮遊のスキルとフラウの風の精霊魔法による補助があるとは言え、得意分野ではない。
むしろ、あのバッホーンキメラの方が得意そうだ。
よく見れば、あの翼は電撃のような物で出来ているようだし…‥‥このままじゃ相手の方に良いようにされる。
「地上戦に持ち込みたいが…‥っと、また来た!!」
ズッバァァアン!!と再び電撃光線が放たれ、ギリギリのところでフレイはかわす。
「一気に接近して、地上に叩き落すか。フラウ!」
【了解なの!!加速させるの!】
フラウに指示をだし、風の精霊魔法によって一気にフレイは加速した。
「ブルバッホヒン!!」
フレイが接近戦を仕掛けようとしていることが分かったのか、バッホーンキメラはあえてそれに乗るように、第3波をやめ、相手側からも接近してきた。
「奴から真正面に来るか!それはそれで好都合!」
ギリギリまで互いに接近し、フレイはそのタイミングを計る。
いや、より正確なタイミングを、ユキカゼに任せた。
フレイ自身でやるよりも、動きをユキカゼの合図に任せた方が良いと思えたのだ。
ナビリンでもいいが、相手の鑑定が不可能な状態なので、正確性に不安が残り、フラウではこれには向いていない。
そのため、動体視力ではユキカゼの方が優れているというのもあって、彼女に任せたのだ。
【っ!!今でござるよ!】
ユキカゼの言葉を聞き、フレイはその言葉に従い、素早く上へかわす。
「バルフォン!?」
その行動に驚いたのか、バッホーンキメラが声を上げるが、もう遅い。
「地上へ落ちろ!『龍の怪力 (プチ)』&炎魔法『フレイムナックル』!!」
スキルの同時併用により、本家のドラゴンには及ばないが、強靭な力と、炎魔法で単純に加速した燃える拳を一気にバッホーンキメラの背中へ叩き込む。
ドッゴォォォォォン!!
強力な一撃によって、バッホーンキメラの電撃の翼が霧散し、地上へ叩きつけられた。
だが‥‥‥
「ブルルバッフォヒゥイィィィン!!」
「やっぱり今の一撃でやられないか‥‥‥」
地上へ落ちてすぐに、立ち上がる粉塵の中、飛び出してバッホーンキメラはすぐに戦闘態勢に移った。
かなりのタフさがあるようだが、空中戦から地上戦へ切り替えてしまえば、こちらとしても得意分野・・・・・
「ん?待てよ?」
……わざわざ叩き落した相手に連れて、地上へ降りて戦う必要はないのでは?
「‥‥‥作戦変更!!炎魔法『フレイムメテオラッシュ』!!」
空中からの爆撃のほうが手早いとフレイは判断し、炎の塊をいくつも生成し、地上へ降り注ぎ始めるのであった…‥‥
「バッフルフォォォォン!?」
【これなら楽にいけるの!】
【ちょっと外道のような気もするが、まぁ別に良いでござる!拙者らも補助をするでござるよ!】
フラウとユキカゼの、風と氷の精霊魔法も加わり、猛烈な爆撃がさらに威力を増すのであった。
……外道なような気もするが、相手が不意打ちしてきたのでこれで相殺で有ろう。
また翼を生やしてやってくるような気もするが、その暇を与えなければいいだけどの話である。
しかし、鑑定が通用しないのはなぜなのだろうか?
一方的な爆撃しつつ、次回に続く!
「‥‥‥流石にこれは、予想していなかったなあ」




