修行云々よりも、まずは先にやらなければならないことが
ちょっと短め
主人公の不運って、どのぐらいのものだろうか‥‥‥
SIDEフレイ
卒業試験としての、ダンジョン調査の報告は終えた。
学園長からはそれで合格ということで、ついでに実力を伸ばすための修行のために、紹介状を貰った。
であれば、あとはその修行の場所へ向かうのだが‥‥‥‥
「でもその前に、先に冒険者として登録しないとね」
「ああ、それを忘れていたの」
「うっかりしていたでござるな」
わざわざ冒険者育成学園に入っていたのは何のためか?
それはもちろん、冒険者になるためには、まず必要不可欠な知識を得て、準備を万端にするためである。
ついでに、学園に入っておけば最初からある程度保証されたランクからのスタートとなるようだし、先に登録を済ませた方が良いだろう。
というわけで、まずは目的の冒険者登録ができる場所へ、フレイたちは向かった。
さっさと登録し、修行の場所へ向かうつもりであったが‥‥‥‥フレイの運の悪さと言うのは、こういう初めての時にどうも発揮されるらしい。
冒険者となるために、登録するための施設、各都市、町、村などにあるとされるギルド。
そのギルド手前に、フレイたちはたどり着いた。
「ここで登録して、冒険者となるんだろうけれども‥‥‥何か騒がしくないか?」
建物としては、変わった円柱状の目立ったものだったがゆえに、場所は分かりやすかった。
けれども、なにやら中が騒がしいような……
『うっせぇぇl!!てめぇぇ表出やがれぇぇぇ!!』
『ああん!!ふっざけんなババァ!!年増の癖に!!』
『誰が年増の腐った根性で、ひねくれた性格の乱暴ババァだごらぁぁ!!』
『そこまでは言ってねぇよ!!』
何か喧嘩をしているような怒号が聞こえ、響きわたる。
修羅場というやつなのか、それとも単なる痴話げんかというやつなのだろうか?
いずれにせよ、触らぬ神に祟りなしともいうし、騒ぎが収まるまで…‥‥
【あ、不味いです】
「え?」
ナビリンの言葉に、フレイが声を上げたその瞬間‥‥‥‥目のまえが爆ぜた。
ドッガァァァァァァァァン!!
それはそれは、大きな爆発で有り、ギルドが文字通り吹っ飛んだ。
「‥‥‥ナビリン、中で何があった?」
【探知機能などでデータを収集し、推察するに……中で喧嘩し、魔法を放ちましたね。しかも、それなりに威力の高い奴をぶっ放したようです】
ナビリンの探知機能いわく、中には数名の冒険者らしい人たちがいたが、喧嘩していたらしい。
で、魔法使いも何人かおり、喧嘩していた者の中には反応からしてかなりの実力者もいたようだ。
喧嘩をし、ヒートアップしたところで、手加減無しの本気の爆発する魔法を放ち、運悪く燃えやすい素材があったそうで、引火して…‥‥大爆発となったようだ。
なんというか、ダンジョン「マブロック」のところにあったギルドの悲劇を再現したような光景に、フレイたちは何も言えないのであった…‥‥
…‥‥何とも言えない不運というべきだろうか。
登録しようとした矢先で、ギルドが吹っ飛んだ。
死人が出ていなければいいが……なぜこうなったし。
次回に続く!!
※本来ギルド内の喧嘩は冒険者の自己責任。このケースだとだれも止めなかったので巻き添えを喰らったようなものだが‥‥‥‥大丈夫かな、この世界のギルドと冒険者。




