デジャヴというのか、それとも別件だけど再びというのか
二度あることは三度ある‥‥‥まぁ、今回で2回目?ですけどね。3回目があるのならば、どうしてやるべきか。
SIDEフレイ
帰還途中に、フレイたちはテラダッシュバードに襲われるということがありながらも、そこから学園がある都市エルストリアまでの間には、特に何事もなく過ごせた。
「お、もうすぐ到着だな」
前方に見えてきたエルストリアを見て、フレイはそうつぶやく。
ここまでの道のりでは、とくに問題もなかったけれども…‥‥
「ん?どうしたの主様?」
「いや、何か嫌な予感というか、喜劇が起こる予感がしたというか」
「それはどんな予感でござるか?」
体から出て、横を歩ているフラウとユキカゼが尋ねたので、フレイはそう曖昧に言葉を濁した。
なんというか、こういう時に限って勘が当たることがあるのだが‥‥‥この辺りそうな予感と言うのが、どこかデジャヴを感じさせるんだよなぁ。
【そう言えば、以前に「春風が吹く」というパーティと訪れた際に、でぶでぶ饅頭祭りの襲撃というなの喜劇がありましたよね】
「あ、それだ」
ナビリンの言葉に、フレイはポンッと納得して手を打った。
懐かしい…‥‥というほどでもないが、以前あるパーティと都市に来た時に、でぶでぶ饅頭祭りもとい本人たちは自称黄金騎士団とかいう輩たちに絡まれたことがあったのだ。
まぁ、結果としてはフルボッコにしてあげたのだが…‥‥その当時感じたことと、今回の予感が似ているのである。
となれば、もしやまた絡ま閲るようなことがあるのではなかろうか?
「…‥‥まぁ、流石に2度も同じような輩に絡まれることはないか」
「何の話なの?」
「フラウたちが来る前に、ちょっとある喜劇のような事が起きたことを思い出したんだよな」
「ほぅ、気になるでござるな」
フラウたちが興味津々のようなのだが、とりあえず今はさっさと卒業試験での出来事を学園に報告するために、後で話すことを約束し…‥‥都市内へ入ると、ナビリンがふと声を出した。
【あ】
「ん?どうしたナビリン?」
【‥‥‥‥何と言うか、2度目の遭遇がありますよ】
その言葉だけで、フレイは己の認識の甘さを悟ったのであった。
「またかよ‥‥‥」
なぜこうも厄介事というか、面倒ごとに巻き込まれるのだろうか…‥‥お祓いとかできないかなぁ。
―――――――――
SIDE自称「銀色騎士団」、皆の認識「第2のでぶでぶ饅頭祭り」
「…‥‥お、あいつか?」
「ああ、間違いないはずだ!!あの平民のせいで、俺様は実家を勘当されて、苦しい生活を送る羽目になったんだぞ!!」
建物の影にて、フレイたちの後をこっそり追う集団がいた。
彼らはいわゆる第2のでぶでぶ饅頭祭りとも言われる集団で有り、冒険者育成学園で卒業を見込めなかったり、落ちこぼれ、途中退学した者たちが固まった者たちでもあった。
そして、今の時期に行われている卒業試験から帰還してくる学生たちを狙い、疲労しているだろうから身ぐるみを剥いで自分たちのものにしてやろうと企む、夜盗まがいの集団とも言われているのである。
…‥‥まぁ、卒業試験を受講できる人たちはそれなりに実力があり、大抵返り討ちに会ってしまうのだが。
しかも、彼らにとって不本意かもしれないが、卒業試験のおまけ的な模擬盗賊団として認識されていたりするのであった。
逃げ足だけは早かったので捕まりはしなかったし、襲われた方も楽に撃退できるうえに対人戦の経験を積めるので、とくにこれと言って咎められることはなかった。
流石にやり過ぎたら、初代でぶでぶ饅頭祭りの二の舞であろうが‥‥‥‥とにもかくにも、次のターゲットとしてフレイたちを彼らは見定めた。
「男一人に、女二人か‥‥‥まだ幼い容姿とは言え、片方の女の子は中々育ちが良さそうじゃねぇか」
「ああ、違法奴隷を行っている知り合いがいるし、そちらに売り渡せそうだよな」
「いやまて、あいつは平民だけど、とんでもない馬鹿力も持って居る。ここまで撃退されている俺様たちにとって、正面から襲うのは不味い」
「じゃぁどうするんだ?」
「‥‥‥人質が一番いいんじゃないか?」
その案が出て、とりあえずフレイの横にいる少女の片方‥‥‥なんとなく育ちが良さそうな黒髪ポニテの少女の方を彼らは人質に取ることにした。
少女の内、片方が精霊なのは聞いたことがあるが、もう片方のその少女は見たことがないし、人質にするならするで、つかんだときに柔らかそうな方を選びたかったのである。
そして後をこっそりつけると、フレイたちが近道でもするつもりなのか、路地裏に入り込んだところを見て、彼らはチャンスだと思った。
「よし、あの先で仕掛けるぞ!!」
「「「おおう!!」」」
合図と共に全員で突撃し、、彼らは作戦を実行した‥‥‥‥が、運が悪かった。
いや、そもそもフレイたちの実力が彼ら以上にあると言うのも理由となるのだが‥‥‥何よりも、彼らが人質に取ろうとした少女が精霊であり、そして近接戦闘に特化していたことが、彼らの破滅の理由となっただろう。
掴もうとしたところで察知され、背負い投げを決められる。
殴って黙らせようとしたところで、避けられ顔面に肘内を決められる。
ナイフで脅そうとして、逆に小さな氷の刃のようなもので、男の証を切り捨てられるか潰される。
…‥‥人質の選択を間違えたと言うのもあったのだが、その事に彼らが気が付くのは、全滅し、フレイの魔法で髪の毛をアフロのごとく爆発させられた利、フラウの精霊魔法で出来る風の刃で全身の毛を剃られたり、バーコードのようにカットされたり、挙句の果てにはユキカゼが全員の着ている物をすべて切り裂き、叩きのめされ、路上に放置されて、気が付いたときには民衆に醜態をさらされまくった後なのであった‥‥‥‥
過剰防衛?やりすぎた?いや、油断している方が悪い。
人を見かけで判断してしまった代償を彼らは痛いほど味わったようだ。
まぁ、前のでぶでぶ饅頭祭りの時とは違って、きちんと処置をして放置したのだが…‥
何にせよ、次回に続く!!
……というか、命を奪わなかったけれども、社会的な死をもたらしたような気がする。
【オマケ】
①フラウを人質にしていたら?
・至近距離で風の精霊魔法
・そもそも宙に逃げて捕まらない
②フレイの場合は?
・捕まえる前にふっ飛ばされる。経験者もいるしね。
・ナビリンの探知でバレバレだし、浮遊のスキルを得たばかりなので実験台にする。
実はこの2の選択肢も一度書いてみたが…‥‥まぁ、ちょっとグロイことになったんでやめた。




