売られた喧嘩は買う時もある
戦闘シーン…‥‥なのかな?
SIDEフレイ
「ジャゲェェェェェェェ!!」
ダッシュして、体当たりを仕掛けてくるテラダッシュバード。
頑丈な牙や爪、脚力を持つようだが、基本の攻撃は単純に体当たりのようだ。
ただ、その攻撃方法は単純なだけに、巨体と強靭な脚力で威力を増しているようである。
だがしかし、その単純明快な突進ならば避けるのは容易い。
「よっと!」
「ジャゲェェ!?」
ギリギリのところを見切り、横にかわす。
かわされたのに驚いたようだが、素早くテラダッシュバードは反転し、すぐさま突撃しなおす。
避けて、避けて、避けて、避けて…‥‥なんか闘牛っぽいな。
赤い布があれば雰囲気あったが…‥‥避けてばかりでは芸がない。
「ジャゲジャゲジャゲジャゲェェェェ!!」
そして避けられてばかりでいら立ったのか、相手は攻撃法を変える。
大きく息を吸い込んで‥‥‥‥
「ジャゲェェェラァァァァ!!」
ぶじゅわぁぁぁぁぁあ!!
「うわっ!?なんか吐いてきた!?」
息を吸い込んだかと思うと、何かの液体を勢いよく吐き出してきた。
間一髪でかわすと、液体がかかった部分がじゅるじゅると溶解した。
「溶解液ってやつか…‥‥こりゃ当たるとまずいな」
【鑑定完了。どうやら胃液を吐いているようですね】
【胃液なの?】
【当たると溶けるでござるな…‥‥攻撃手段としては、かなり強そうでござるがな】
とはいえ、防ぐ手段がないわけではない。
「ジャゲジャゲジャゲジャゲェ!!」
「また吐く気か‥‥‥だけど、似たような者はこっちだってできるんだよ!フラウ、補助を頼む!」
【了解なの!!】
ただの炎魔法でやるには力不足だが、補助アリのこれならばいけるはずだ。
「必殺の‥‥『炎龍帝のブレス (プチ)』!!」
テラダッシュバードの液体に合わせ、フレイは火を吐く。
火吹き芸に近いが、それでも威力はかなりあり、そして火をより一層燃やすには風がある方が良い。
フラウの風邪の精霊魔法の補助が加わる事で‥‥‥‥一気にその威力は増した。
ゴォォォォォォォォォォ!!
風の精霊魔法によって勢いが増し、吐き出された炎は渦を巻いて液体とぶつかる。
ジュワァァァア、ボジュワァァン!!
ぶつかり合った瞬間、液体が蒸発し、期待となる前に炎に焼き尽くされ、消滅していく。
そればかりか勢いよく押しのけ、テラダッシュバードを飲み込んだのであった‥‥‥‥。
「…‥‥ジャジャゲェェェ‥‥‥‥ボシュッツ」
全身真っ黒こげになり、そのままテラダッシュバードは倒れた。
辺りには肉が焼けた匂いが漂い、周囲で見守っていたダッシュバードたちはその場から素早く逃げだしていた。
「…‥‥倒したってことで良いのかな?」
「よっと…‥‥ほぅ、ふむふむ…‥‥倒せているでござるよ!」
にゅっと体から出て、テラダッシュバードに触って検死したユキカゼはそう答えた。
「うわぁ、なんかすごいいい匂いなの」
同じく出てきたフラウがつぶやいたが…‥‥言われてみれば、確かに良い匂いだ。
「…‥‥ナビリン、これって食べれるっけ?」
【食用可能です。一応、血抜きした方が良いかと思いましたが、鑑定して見る限り血液も蒸発しているのでその必要性はありません】
ナビリンのお墨付きのようだし、とりあえず腹ごしらえで良いだろう。
先ほどまで戦っていた強敵だけど、勝者としてその血肉をきちんと味合わせてもらおう‥‥‥‥
「って、なにこれ美味しい!?」
まさかのウナギのかば焼き味であった。ただ焼いただけなのに、どうなっているのだろうか…‥‥というか、鳥要素関係ないじゃん!!
…‥‥それだけうまいってことは、売ればかなりの金になったのかも?
学園長辺りに知られれば、かなりもったいないと泣きそうだ。
とりあえず、次回に続く!!
…‥‥でもウナギって、小骨が歯の隙間に入って痛い時があるんだよねぇ。




