モンスター・カーニバルからの逃走劇
なんとなく、某ピンク玉のアニメのBGM「デ○デてん○こまい」って曲を流しながら書いていたりする。
かなり昔だったけれども、またやってほしいなぁと思っていたりする。
「ギャァァァァォォォォォ!!」
「ギピエェェェェェ!!」
「フンガァァァァァ!!」
多種多様なモンスターの咆哮が鳴り響き、地響きと共に大量の群れが出現する。
火を噴くものも混じっているせいか火災が起きたり、爆発したりするその様子はまさに地獄絵図だろう。
「思った以上に移動速度速くないか!?」
【風の精霊魔法で主様の手足に補助をかけているけど、相手の方が速いの!】
【暑苦しいし、苦手な輩でござるよ】
フレイの言葉に対して、さっさと体内に引っ込んだフラウとユキカゼもそう答える。
【凶暴化を確認。どうやら目に映る対象に対して襲うようになっており、通常状態へ戻るには三日ほどかかる予想です】
ナビリンのその言葉は、今はできれば聞きたくなかった…‥‥三日って、かなり長い。
そりゃ、それだけ続いてモンスターたちが暴れまくれば災害になるのは当たり前だし、まともに相手にできるわけでもない。
ゆえに、さっさと逃げたいのだが…‥‥こういう時に限って、素早いモンスターにロックオンされているのだ。
「ギャァァォォォォォス!!」
「ギーギャァァァォォォォォ!!」
「ミギャァァォォォォォ!!」
「だいぶ走っているけれども、振り切れないな!!」
【『ファイヤビートル』と『ヌマルウルフ』、『マグキャット』の集団が現在追跡してきているようです】
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『ファイヤビートル』
全身が真っ赤で、火の粉を散らしながら飛ぶ大型のカブトムシのようなモンスター。
体温が非常に高く、硬い体を持ち、別名「空飛ぶ鉄板』とも呼ばれる。
水が弱点で有り、濡れさえすればひびが入ってとてつもなく脆くなる。
『ヌマルウルフ』
茶色の狼のようなモンスターだが、実はスライムに近いモンスター。
表面は毛皮ではなく泥で覆われているが乾くことはなく、敵に飛び乗って蒸し焼きにする攻撃手段がある。
物理攻撃は泥で吸収されて今一つとなり、魔法も効果が薄い。
ただし、群れで行動するのは他のウルフ系モンスターと変わりはないのだが、彼らの場合はある程度互いんの距離を離す必要性があり、近寄り過ぎると合体してしまい、自重で動けなくなってしまうという弱点がある。
『マグキャット』
「キャット」とつくが、チーターのようなモンスター。
その毛皮は火に対しての抵抗が熱く、重宝されるのだがマグキャット自身の強さもあり、その爪には毒があって、引っかかれた個所が焼けただれたようになってしまう。
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…‥‥どいつもこいつも、まともに相手をしたらかなり危険な奴である。
かと言って、戦闘を逃れようにも振り切れないほどの速度を出しているようだからな…‥‥
水魔法とかが使えればいいけれども、現メンバーで扱えるのは主に風、氷、火…‥‥氷を火で溶かして水にしてしまえばいいんじゃないかという意見がでそうなものだが、そううまいこと行くわけもない。
氷と言うのは水が凍って体積が増えた物…‥‥ゆえに、溶かしたとしてもさほど量が無かったりするのだ。
というかそもそも、大量の水になるような大量の氷を用意すること自体難しい。
ユキカゼが氷の精霊魔法を扱えるが、大規模なものは少々無理だそうだ。
「かと言って、俺自身がその精霊魔法を使ったとしてもなぁ」
【もともと氷の精霊魔法ですからね…‥‥水ではないので、効果は薄いかと】
氷も水も似たようなものだと思っていたのに、案外融通が利かないものである。
何にせよ、今はただひたすら逃げるしかない。正面から戦闘しようにも、物量差で押し切られる未来しか見えないし、龍魔法でやろうとしても規模が大きすぎる上に、魔力の消費が大きすぎる。
「ああもう!!いっそのこと空を飛んで逃げられればいいんだけどな!!」
【飛ぶ?…‥‥あ!!そうなの!!主様、飛行手段はあったの!!】
フレイの言葉を聞き、フラウが何かを思いついたような声を上げた。
「え?何かあるのか?」
【主様は私達のスキルを使えているの!!なら、私のスキル「浮遊」が使えるかもしれないの!!】
「‥‥‥‥その手があったか!?」
『努力習得』のスキルをフレイは持っており、そのスキルによってフラウたちのスキルをフレイは修得していた。
そして、今までは攻撃手段を増やすために精霊魔法を習得していたのだが…‥‥思い出してみれば、彼女達は精霊魔法以外のも他のスキルを持っていた。
その中でも、フラウには「浮遊」というスキルがあり、一応修得できるかもしれないものであったのだ。
なお、ユキカゼにはないのだが、彼女の場合は妖刀に取り憑かれる前にはあったらしい。変質したせいで無くなったそうだが‥‥‥‥とにもかくにも、修得できるのであれば、何とかして得ておきたい。
「って、『浮遊』のスキルってどう努力して修得しろと!?」
努力習得のスキルの場合、対象のスキルについての知識を得たりして得るのだが…‥‥浮遊って、どういう感じなのか。
ひとえに浮遊するという言葉があっても、ふよふよと浮かんだり、拘束で移動したり、某戦闘民族のような高速移動もあるので、具体的な飛び方が今一つわからないのだ。
【とにもかくにも、今のフラウさんのアイディアは採用するにあたります。とりあえずはぴょんぴょん跳ねながら必死になって飛ぶイメージを持ってやることを推奨いたします】
「冷静なアドバイスだけど、なんかおかしいような気がするんだが…‥‥」
何にせよ、「浮遊」のスキルを得ればこの状況が改善される可能性がある。
ならば、得るためにも何とか頑張って見よう。
…‥‥それから1時間後、ひたすら跳ねたり、スキップしたり、空中大回転などを決めたりしているうちに、いつの間にか浮遊のスキルの修得が確認されたことをナビリンから聞き、フレイは「浮遊」のスキルを用いて飛んでみたのであったが…‥‥
「…‥‥想像以上に遅いんだけど!?」
確かに浮遊できたのだが、これなら走ったほうが早いレベルの飛行速度であった。
うん、まぁ元々フラウも普段はこれで周囲を飛んでいたりするが、そう急いで進んでいることもなかったし、徒歩での移動の方が多かったもんね。
何にせよ、これでは意味がないような…‥‥‥あ。
「待てよ?」
そこでふと、フレイは思いついた。
ただ浮かぶだけで移動速度が遅すぎるスキルだが…‥‥それはあくまでもこのスキル単体を使用した時のみ。
だがしかし、今はそれ以外も使用可能だ。
「フラウは風の精霊魔法で飛行補助を頼む!!ユキカゼは氷魔法で、小さくても良いから飛行の安定性を保つための安定翼を形成してくれ!!」
【【了解(でござる)!!】
フレイが地面を蹴り上げ、浮遊のスキルを使用して大空に浮かぶと同時に、フラウが風の精霊魔法によって推進力を生み出す。
そして、飛行中の風の抵抗を考えてユキカゼに形成してもらった氷の翼を展開して、フレイは空を舞った。
‥‥‥‥この目論見はうまいこと成功し、フレイたちは大空へ逃れた。
眼下にはモンスターの群れがいたが、構うことなくそのまま大空を舞えるようになったアドバンテージを活かして、フレイたちはその場から離脱して振り切ったのであった…‥‥
「って、高すぎたぁぁぁぁぁぁ!」
‥‥‥‥そして、勢い有り過ぎてかなりの高度となってしまい、地面まで距離があり過ぎたせいで、フレイが高所恐怖症になりかけたのは言うまでもない。
ここでなっていたら、今後使用しないかもしれなかったが‥‥‥‥まぁ、精霊たちの補助があったおかげでギリギリのところで精神的に守られたとだけは言えるだろう。
「浮遊」のスキルは得たが、高所恐怖症になりかけたフレイ。
今後も使用したいが‥‥‥‥まぁ、要改善なので使用機会は少なそうである。
何にせよ、何とか逃げ切ったようなので次回に続く!!
…‥‥フラウには「浮遊」のスキルはあるけれども、ユキカゼに無いのは妖刀の影響があったと思われる。
ユキカゼは妖刀に憑かれたせいで、他の精霊とは少々異なる性質があるからね。
何にせよ、「努力習得」のスキルに関して詳しい説明を入れてなかったので、今後まとめた際にきちんと載せておくことを、ここに宣言します。…‥‥飛ぶのは面白そうだけど、着地がかなり怖そうなんだよね。




