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転生、いきなり最悪過ぎだよ!!  作者: 志位斗 茂家波
1章:冒険者になるために
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一時帰還・一騒動

鼻水が酷い。薬を飲んでも、止まるまでに結構辛い。

…‥‥なんかこう、鼻水をテレポートさせてしまうようなものが欲しくなるなぁ。

SIDEフレイ


…‥‥ダンジョン「マブロック」内の大体の様相は分かって来たが、現メンバーでは最奥部まで逝くのは難しいとフレイは判断し、ダンジョンから帰還した。

 

 外に出るまでにもモンスターが出てきたが、対処は可能であった。


 ただ、あの地面に埋めた盗賊まがいたちがどうなったのか気になりはしたが…‥‥汚物にまみれているらしいと探知機能でそう告げたナビリンの言葉に従い、確認へ向かうのはやめた。


 うん、もう終わったことだし、どうなろうが知った事ではないか。何がどうなってそんなことになったのかは気になるけれども、知ったところで誰も幸せにはなれないだろう。






 そう思いつつ、ダンジョンから出ると、日が沈み始めていた。


「さてと、一応ダンジョン調査としては現戦力じゃここで限界だし‥‥‥‥一旦、これで帰還いた方が良いかな?」

【そうした方が良いと思われます。ただ、もう今日は遅いので宿を取った方が良いと推奨】


 フレイのつぶやきに、ナビリンが反応して答えた。


 

 このダンジョン周辺には、町が形成され始めているので宿屋ならあるはずだ。


 とはいえ、一応ダンジョンへ挑んできたので、まずはここに設立されている仮ギルドに報告を…‥‥






ドッガァァァァン!!

「【【【!?】】】」


 突然聞こえてきた爆発音に、フレイたちはびっくりする。


 その音の方向を見てみれば、空に黒煙が立ち昇っていた。


「うわ、何があった!?」

「ぬ?‥‥‥‥主殿、あそこギルドがあった場所ではござらぬだろうか?」


 目を細め、その煙の方向を見ていたユキカゼがつぶやく言葉に、フレイたちは嫌な予感がした。








「火事だぁぁぁぁ!!」

「急げぇぇ!!水水水水!!」

「水魔法を使える人は急いで消化を手伝ってくれぇぇ!!」


 慌てて向かってみれば、そこにはもくもくと大きな煙と火を上げている仮ギルドがあった。


 どうやら火災が発生したらしく、火の粉が舞っている。


「何があったんだ?」


 周囲に野次馬たちが集まってきていたので、フレイは適当な人にそう問いかけた。


「ん?ああ、どうやらギルドで誰かが馬鹿をやらかしたらしい」

「どうもダンジョン内から持って来た素材の中に『ボンバフロマウス』があったらしく、連鎖的に爆発したそうだぞ」

【『ボンバフロマウス』…‥‥確か、取扱厳重注意指定がされているモンスターですね】


 野次馬たちの説明に、ナビリンがその門sヌターについての情報を出した。


――――――――

『ボンバフロマウス』

99%が巨大なアフロによって包まれた、黒い球体の姿にしか見えないネズミ型のモンスター。

というか、見た目がゲームにあるような爆弾であり、身体が導火線のように細長くなっている。

その死骸の毛はクッションの素材としては中々良好で人気があるのだが、火気厳禁とされている。

理由としては、普通に襲ってくる程度ならば特に攻撃力もなさすぎて簡単に討伐できるのだが、ちょっとした火で引火するとその小さな体では考えられないほどの大爆発を起こすのである。

ゆえに、持ち込む際にはあらかじめ水で濡らして湿気らせておくか、もしくは火に触れないようにしなければならない、取扱厳重注意指定モンスターでもある。

――――――――



 ダンジョンから帰還した冒険者の中に、大量のボンバフロマウスを得た者がいて、ギルドに付属されていた売買を担うところで換金作業中だったらしい。


 だが、その近くで冒険者同士が何らかのトラブルでいざこざを起こし、火の魔法を使った馬鹿がいたらしい。


 ギルド内での喧嘩は冒険者の自己責任なところがあるのだが、燃えてしまいやすいものが多いので火の魔法は余り扱わないようにすると言うのが、暗黙の了解なのだとか。


 だが、それを破って火の魔法を使ったやつのが、文字通り飛び火して、そのボンバフロマウスの死骸に引火し、しかもそれが大量にあったものだから結果として連鎖的に大・爆・発となったそうだ。



「…‥‥当事者たち、死んでないよね?」

【爆発までのタイムラグがあるようですからね。その分を使って避難した者が大勢いたそうなので、おそらく逃亡しているかと】


 何にせよ、仮ギルドが爆発によって吹き飛び、火災が発生したと言うのがこの状況のようであった。


 必死に消火作業がされているが…‥‥‥焼け石に水と言うか、もう遅い感じがする。



【探知機能で念のために探ってみましたが、ギルド内に生命反応はありません。避難済みかと思われます】


 その言葉だけだと、なんか死体とかもありそうで怖いな‥‥‥‥。





……数時間後、辺りは完全に日が沈み、月明りが見る手がかりになったころに、ようやく鎮火したギルドの姿がそこにあった。


 元からボロボロに近かったが、もはや灰と化して何もなかったかのようになっていた。


 不幸中の幸いというべきか、周囲には飛び火しなかったようで、ギルドだけ犠牲になった形となったようであった。



「鎮火したし、どうやら皆避難済みで犠牲者はいなかったようだけど…‥‥ギルドで報告することができなくなったな」

「仮設置されても、この状況じゃまともに動かなそうでござるな」

【もう夜も遅いの】

【何にせよ、とりあえず近場の宿屋で宿泊を推奨。ダンジョン調査についての報告は学園に帰還して行い、ギルドへの報告は今回は見送りましょう】


 とにもかくにも、火災を免れた町中の宿屋を適用に選び、フレイたちは一泊していくのであった。




――――――――――――――

SIDEナビリン


(…‥‥にしても、妙ですね)


 真夜中、フレイのスキルであるナビリンは考えていた。


 フレイの中では現在、フラウとユキカゼが入って寝ているので、彼女達を起こさないようにしつつ、考え始めた。



 今回のボンバフロマウスの爆発だが、いくつか不審な点があった。


 まず、この地にあるダンジョンマブロックから得たモンスターという情報があったのだが、そんなに大量にいたのかということである。


 ナビリン自身が持つ探知機能でダンジョン内のモンスターの大体の把握はしていたのだが、その中にボンバフロマウスの反応はなかった(・・・・)のだ。


 だが、あの野次馬たちの説明によればダンジョンから持ち込まれたらしいというので、ナビリンが把握できていなかった可能性もあるとは言い切れないのだが…‥‥そこまで大量にあるものに、気が付かないものであろうか?



 次に、爆発で炎上したことだが、そう都合よく飛び火するものかという疑問があった。


 換金作業中に喧嘩する者たちがいて、その中の魔法を使った人物によって引火したと言うのだが…‥‥あまりにもピンポイントすぎるような気がしたのである。


 いくら喧嘩している最中だったとはいえ、火の魔法は明らかに殺傷能力が高いのは分かっていることである。


 適性などがあるとはいえ、たかが喧嘩で火の魔法を扱うだろうか?しかも、ちょっと予算不足でぼろそうなギルド内で迂闊に引火させるだけでも火事になりそうなものなのに、躊躇なく使うというのもおかしい。


 そして、まるでそこに爆発するものがあると分かっていたかのように、ピンポイントで飛び火させ、引火させたようにも感じられたのだ。



(…‥‥偶々そこに爆発物が換金作業中で、偶々喧嘩が起き、偶々火の魔法を使い、偶々引火した…‥‥と、いくら何でも物事がうまいこと重なり過ぎているように思えますね)



 偶然が連鎖したとしても、こうもうまく連続でつながる物であろうか?


 まるで、爆発物を持ち込んできたものと、引火させたものが共謀し、示し合わせたようにも感じさせられる。


(でも、仮にわざとやったのだとしても目的が分かりませんね…‥‥ギルドを爆破しても再建されるでしょうし…‥‥いや、もしかして、ギルドそのものを狙ったわけじゃないかもしれませんね)



 ギルドに集まるのは冒険者ばかりである。


 そして、この地に集まっていたのは、誰もがここにできたダンジョン目当てに訪れた物ばかりであり、それはつまりダンジョンの内部を探索する者たちばかりという事もでもある。



(その探索されるのを防ぐために、冒険者たちを一網打尽するために、やらかした方たちがいる可能性がありますね…‥‥まるで、ダンジョン内に不都合があって、それを隠すような気もしますね)


 まぁ、今回のはあくまでも偶然が起きた結果とも言える。


 けれども、その怪しい可能性‥‥‥‥ダンジョンそのものに近づけたくないような可能性に気が付き、ナビリンは悩む。


…‥‥フレイのナビゲーションシステムをするスキルとして存在するナビリン。


 本当にただのナビゲーションとして動くのならまだしも、こうやって自我を持っているがゆえに思考し、そして導き出してしまった結論に頭を悩ませる。


 自分がこうも動けない存在で、確かめられないと言うのをナビリンは歯がゆく想いつつも、この予想をフレイたちに話すことを辞めた。


 フレイの不利益になりそうなことでもあり、関わり合うのは不味いと思ったのである。




‥‥‥‥だがしかし、ナビリンといえども知らなかった。


 フレイの運の悪さというか、薄幸さの度合いは、ナビゲーションシステムのスキルでもあるナビリンにとっても、予想できないほどであるという事を。


 その事に気が付くのは、翌日の事であった…‥‥

関わりたくないものほど、関わってしまう。

関係ないはずなのに、いつの間にか当事者に。

初めての事で、いつも何かしらのトラブルに見舞われるフレイの運の悪さは、ナビリンの予想を超えているのであった。

次回に続く!!


……ナビリン、自我があるゆえに体が無いのが歯がゆしいこともある。とはいえ、まだ当分体を持たせる予定はない。持ったところで、なんか作者の他の作品のとあるやつと似たようなのになってしまうという都合もあるけれどね。


【なぜあの屑女神、私をスキルにした。体を持たせてくれれば便利だったのに‥‥‥‥】

byナビリン、恨みの一言。当の女神、ただ今さらなる降格&さらなる左遷&再登場決定

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