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転生、いきなり最悪過ぎだよ!!  作者: 志位斗 茂家波
1章:冒険者になるために
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こういう時に欲しくなる

誰もが多分、同じようなものを欲しいと思っているはず‥‥‥

SIDEフレイ


…‥‥正直言わせてもらいたい。


「案の定、襲って来たけどさ、こいつらの処分をどうするのかが困るよなぁ‥‥‥」


 目の前に転がる者たちを見ながら、フレイはそうつぶやいた。




 ダンジョン「マブロック」内にて、ナビリンによって探知されていた盗賊まがいの事をしていた輩たち。


 何事もなく、このまますれ違うかと思っていたが、馬鹿なのか阿保なのかマヌケなのか、フレイたちに襲い掛かってきて…‥‥速攻でフルボッコになったのである。




 まだ子供だから楽に勝てるとか思っていたんだろうけれど、それでも弱すぎである。



「いや、でも流石に主殿のやった相手の関節を全部逆方向に曲げたのはやり過ぎだと思うのでござる」

「いや、ユキカゼだって瞬時に相手の頭髪を剃って、驚愕した隙に金的を叩き込んでいたじゃん。それはそれで結構やり過ぎだと思うんだけど」

【…‥‥どっちもどっちなの】

【まぁ、襲い掛かって来た時に思いっきりゲスイ顔をこいつらがしていたので、少し足りないような気もしますが、これで良いでしょうね】


 フレイとユキカゼの言葉に、中にいるフラウは呆れたようにつぶやいた。


 ナビリンは賛成しているようだが‥‥‥なんとなく、もう少しやったほうがいいと暗に言っているような気もする。意外と過激なのかね。




 まぁ、なんにせよこのまま放置するのも良くないだろう。


 命まで奪っていないとはいえ、悪人なのは決定だが…‥‥襲ってきた盗賊まがいのことをしてきた輩は十数人ほど。


 対してフレイ、フラウ、ユキカゼでは運びきれないのだ。


 それに、ここから運んだとしても絶対に色々と面倒な事を言ってごまかして来そうな気がするし…‥‥さてさてどうしたものか。


 襲ってきたら倒すということにしたはいいが、その後が困るんだよなぁ…‥‥。



「‥‥‥あ、そうだ。ナビリン、このダンジョンの床って掘れるか?」

【硬度確認…‥‥おそらく大丈夫でしょう。ただ、ダンジョンは生物のようなものという説もあり、掘ったところで自己再生することがあるようです】

「それで十分だ」

「お?主殿、何かいい解決法があるのでござるか?」

「ああ、フラウも出てきて手伝ってくれ」

【了解なの!】








…‥‥数分後、ダンジョンの床に盗賊まがいの輩たちが植えられた。


 風と氷の精霊魔法を応用して、つららを作ってドリルのように回転させ、手軽に穴を掘ったのである。


 そこに、この盗賊まがいの輩たちの武装やその他金目の物をしっかりとはがしとり、一人ずつ首から下が埋まるようにして設置。


 あとは待っているだけで、ダンジョンが再生し始めて、自動的に埋まるのであった。



 押しつぶされていないのはどういう事なのか気になるが…‥‥まぁ、ダンジョンだから何があっても不思議ではないという一言で片づけるのが良さそうである。



「っと、そう言えばこのはぎ取った装備とかどうしようか?」

「うーん、使えそうなのはないでござるな‥‥‥」

「持っていくの?」

「いや、流石にこの量は無理かなぁ」


 こういう時に、某猫ロボポケットのようなものが欲しいのだが、そう都合よく手元にあるわけがない。


 ナビリンによれば、同じような機能を持つスキルがあり、それを習得できればいいのだが…‥‥持っている人はそんなにいないそうなので、今は手元に持てる分しかできないのである。



 まぁ、換金しても二束三文のものばかりのようなので、とりあえずは放置で良いだろう。


 誰かが彼らを見つけた際に持っていけるように、この場に置いて行ってもいいかもしれない。



【ダンジョン内には他にも冒険者たちがやってきますからね。きちんと「こいつらは盗賊でーす」みたいな看板などを立てて、知らせておけばそちらで勝手に片づけてくれると思います】

「なるほどね」


 ナビリンのアドバイスに従い、手ごろなものとして盗賊まがいの奴らが持って居た防具にがりがりと文字を刻み込む。


 どのような馬鹿なのか詳しく書き記し、その場に立てかけて、ダンジョン調査のためにフレイたちは進むのであった。


…‥‥ついでに、本当に何でも収納できるような道具とか落ちていないか注意深く行こう。マジックアイテムにはそのような物があるらしいけれど、かなり高額って聞くしなぁ‥‥‥。



――――――――――

SIDE放置された盗賊まがいの者たち



「うぐっ…‥‥こ、ここは」


 ふと、その男が目を覚ますと、体の自由が利かなかった。


 いや、よく見れば体が埋められているのだ。


「なんじゃぁこりゃぁぁぁぁあ!?」


 その事実に気が付き、叫ぶがどうにもならない。


 ぴったりというか、隙間もなく埋められており、首から上しか動かないのである。




…‥‥彼らは元々、どこにでもいるような、ただの収入が少なめの冴えない冒険者たちであった。


 だが、ある時ふと冒険者を襲って、その装備を売り払えばいい収入になると気が付き、それならば襲いやすそうな場所を考え、ダンジョン内に籠って盗賊のような事をし始めたのだ。


 それが思いのほか的中し、ダンジョン内に籠っては冒険者たちを襲い、ある程度の戦利品を獲て、換金して酒や娼館通いをするなど、享楽にふけっていたのである。



 やっていることは悪いことだと分かっていたが…‥‥人は一度味わった満足感から、抜け出すことは難しい。


 そのため、足が付く前に各地のダンジョンをめぐり、盗賊行為をずっと繰り返していた。




 だが、本日はその天罰が下った。


 最初はある冒険者たちを襲い、満足していったんダンジョンから出ようと動いていたが、前の方から歩いてくる者たちを彼らは見つけた。


 見れば、年齢的にもまだ幼いような子供であり、冒険者の真似事でもしているのかと微笑ましく思ったのだが、仲間の一人が少々残虐な趣味を持って居たようで、この子供たちを襲撃して、あまり収入は得られなさそうだけど、面白おかしく遊べそうだと誘い、襲撃することにしたのである。



…‥‥それが彼らの破滅となった。



 もはや首から下は完全に埋まり、このまま放置されていればモンスターがやってきて、彼らの命を奪うだろう。


「うううううう、頭から喰われる未来なんて嫌すぎるだろ……」

「そもそもお前が、あの子供たちを襲おうって言ったのが間違いじゃねぇか!!」

「それを言うならば賛同したお前たちにも問題があるだろ!!」

「うっせぇ!!今はそれどころじゃないし、何とか抜け出すのが先じゃねぇか!!」


 言い争いをしていたが、一人がそう叫び、一旦争いをやめた。


 そう、今やるべきなのは罵り合うことではなく、いかにしてここから抜け出すかという事だ。




 幸いというべきか、ここはダンジョン。


 冒険者たちが入り込んでくる場所、つまり人の出入りがある事は確実なのだ。


「大声で叫んで助けを求めるか?」

「ああ、そうした方が良いだろう」

「疲れるだろうし、交代制で行くか?」


 何とか助かりそうな希望を彼らは見出し、いざ実行しようとした時…‥‥ふと、ある事に彼らは気が付いた。


「…‥‥そういえばさ、さっきからなんか肌に触れると思ったらさ、俺ら裸になってないか?」

「「「え?」」」


 動かせないとはいえ、一応感覚はある。


 そして、その感覚によって動けない体をよーく確認してみれば…‥‥衣服まですべてなくなっていた。


「身ぐるみはがされていただと!?埋められたことに関してだけで、そっちには全然気が付かなかったぁぁぁ!!」

「いや、おい待て!!傍に俺達の装備一式があるぞ!!脱がすだけ脱がして、置いていきやがったのか!?」

「この状態だと、助けを呼んだとしてもその装備が奪われるだけの可能性もあるし、何よりも素っ裸で人前にさらけ出せるかぁぁぁ!!」


 悲痛な悲鳴を上げ、最悪の状況に気が付いて彼らは泣きわめく。



 その声は大きく、ダンジョン内に潜んでいたモンスターたちが存在に気が付き、ゆっくりと彼らに近づく。


「うおっ!?しまった!!」


 その存在に気が付いた一人が叫んだ時には、すでに彼らは囲まれていた。


「お、落ち着け!!偶然かもしれんが、こいつらは人を喰うようなタイプじゃない!!」

「へ?‥‥‥あ、ほんとうだ」


 彼らが目にしたのは、小さな亀のようなモンスターであった。



――――――――

『アースタートル』

のんびり穏やかな性格をした、温厚なモンスター。

しかし、その頑丈な甲羅は非常に防御力が高く、腹部までしっかりと守っているために甲羅目当てで倒そうとしても、不可能に近い。

幸い、人を襲うような事は通常は(・・・)しないのだが‥‥‥

――――――――


「あれ?ちょっと待てよ?」

「どうした?」

「こいつらって温厚だけど、確か昼寝の邪魔をされた時に必ずその相手に仕返しをするよな?」

「そうだったはずだな。確か噛みつくとかではなく、粘液を…‥‥」


 そこまで言って、その場に居た全員ははっと気が付いた。


 もしかして、さっきから騒いでいたせいで、昼寝をしていたアースタートルたちを起こしてしまったのではないのだろうかと。


 アースタートルたちは温厚だが、昼寝が非常に好きで邪魔されるとひどく怒り…‥‥彼らはそこから自分たちの身にどのような悲劇が起こるのか予想が付いてしまった。







…‥‥数十分後、ある冒険者たちが異臭を感じ、近寄ってみれば、それはそれは悲惨な顔をして地面に埋まっていた者たちがいたらしい。


 悪行なんかをしっかり描いた看板が立てられていたが、その書いた主とは違うものによってその悲惨すぎる状態にされたことは一目瞭然であった。


 一応、悪党とはいえ掘りだされたが、犯罪奴隷として売られる際に、ある意味ついている奴隷として、それなりの値段で出されたのであったが、「何が」ついているのかは誰もが言いたくなかったそうであった…‥‥

何が、とは言わないのは、一応悪党とはいえ、人としての尊厳を持たせようと思ったからである。

流石にフレイたちも、まさかこうなるとは思っていなかったしね。

何にせよ、まだまだダンジョンを進むために、次回に続く!!


……後に、この盗賊まがいの中で、ある者は語る。

「これこそが、真の身の破滅であり、そしてただ子供にやられるよりも、よっぽどひどい天罰が下った」と。

そして、少し先の未来で、彼らはその出来事を絶対に脳内から消そうと性根を入れ替えて死に物狂いで働き、そこそこましな人生を送ることになったのであった。

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