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転生、いきなり最悪過ぎだよ!!  作者: 志位斗 茂家波
1章:冒険者になるために
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目指せやゴルティック山道中 その6

次回辺りにようやく到着できそうだけど、その前にちょっと休憩。

SIDEフレイ


 ゴルティック山へ向けて9日目。


 予定では本日中には到着する予定であったが、ユキカゼとの戦闘の疲れもあって一日休むことにした。


 龍魔法を撃ったことで体にどのような影響があるのかも知りたいし、ユキカゼの詳細な鑑定も行いたいのである。


…‥‥ちなみに、捕らえて縛ったはずの盗賊の頭は、朝になったら消えていた。


 ナビリンいわく、どうやら皆が寝静まっている間に誰かが来て、無理やり連れて行ったらしい。


「仲間とかじゃないのか?」

【いえ、どうやら違うようです。その方々がどの様にこの現状を知ったのかはわかりませんが危険性がなかったようでしたので起こしませんでした】


 ついでに、盗賊の頭を引き渡した形になったのか、頭がいた場所にはお金が置かれていた。


…‥‥取りすがりの(違法性のない)奴隷商人とかであろうか?なんにせよ、何もせずに取引できた感じがするのだが‥‥‥まぁ、それなりの金額を得ているからいいか。


盗賊の場合、犯罪奴隷として売ることができるらしいし、ぼったくられている可能性もあるが手間が省けたことを考えるとさほど気になる物でもない。


 あの盗賊の頭がどうなろうが、関係ないしなぁ…‥‥今度会う機会があれば、きちんと話をしてみたい。







 とりあえず、その件については放置する事にして、まずはユキカゼについての鑑定からしたほうが良さそうであった。



「それじゃあユキカゼ、ちょっとそこに立ってくれ」

「了解でござるよ主殿」


 びしっと綺麗にその場に立つユキカゼ。


 彼女に対して、ナビリンが鑑定機能を発動させ、その鑑定内容が判明した。


―――――――――――

名前:ユキカゼ

種族:精霊(氷・特殊)

性別:女性

所持スキル:「精霊魔法(氷)」「我流剣術」「ソードクリエイト」

称号:「フレイに付いた精霊」「千人斬り」「悪党喰らい」

状態:「人間憑き」

―――――――――――



「‥‥‥なんだこれ?」

「私の時と違うようですの?」


 以前、フラウの鑑定をした時には彼女は風精霊と分かったが…‥‥この「特殊」ってなんだろうか?他のも何やら物騒なのがあるし……


―――――――――――

「精霊(氷・特殊)」

氷を司る精霊だったが、長期に渡って妖刀の影響下に置かれていた事によって性質が変質した。精霊魔法よりも物理攻撃の方に向いている。


「精霊魔法(氷)」:氷の精製に関わる精霊魔法。水の精霊魔法と似ており、そのスキルもあった場合統合され上位のスキルとなる。


「我流剣術」:妖刀「爆雷丸」が今までの持ち主たちの剣術を習得しており、ユキカゼの体を形作る際に付け加えたスキル。多種多様な剣術があり、とりあえず刀さえあればそれなりに戦えるようになる。ただし、まともな剣術に比べると型が定まっていなさすぎるがゆえに、慣れない間は扱いづらい。


「ソードクリエイト」:魔力などで一時的に刀や剣を作ることができるスキル。使用後は数分間刀や剣を実体化させて使用可能だが、力が無くなった瞬間に霧散する。魔力消費も大きいので要注意。


「千人斬り」:人を千人斬った瞬間に追加される称号。「百人斬り」という称号の次にあるが、千人を超えるとそれ以降はカウントされなくなる。なお、これは妖刀爆雷丸に操られていた間についた称号であり、自分の意志で望んだことではないことから消去可能。



「悪党喰らい」:盗賊、山賊、海賊など、ある程度の悪さを行った悪人を切り捨てていた場合につく称号。特殊な効果があって、悪人に関しての気配を察知しやすくなる。


―――――――――――



…‥‥どうやら妖刀に憑かれていた間の経験がしっかりと残っていたがゆえに、このようなスキルや称号を得てしまっていたらしい。


 なんというか、ほぼ剣術に特化しているような構成である。


 まぁ、後半の称号部分が気になるが‥‥まあ、そこまで悪事をしていなかったことの証明にはなりそうである。



「何にせよ、ほぼ近接攻撃特化になっているな」

「ふむ、そのようになったでござるか…‥‥まぁ、不自由という事もないし、大丈夫でござろう」



 とりあえず、試しに今の実力を図るために都合の良いのがないかとあたりを探すと‥‥‥



【感知いたしました。デッドラビットの群れ、10匹ほどです】


 ナビリンが探知機能で都合のいい存在を探知した。


 

―――――――――

『デッドラビット』

別名「弾丸野郎」。

額にある体格以上の大きな角を使い、強靭な脚力で一気の飛び掛かり相手を串刺しにする兎のようなモンスター。

なお、可愛らしい容姿が多いのが兎のモンスターに多いはずだが、デッドラビットの場合顔のほとんどが角で隠れているために見ることができない。

視界がふさがれているような物であり、ひげで周囲を把握する。

食用にする場合は丸焼きを推奨。焼く工程以外では何故か不味くなってしまう。

――――――――



 ナビリンの指示の元、そのデッドラビットとやらの群れを見つけ、戦闘を挑むことにした。



「では、まいるでござる!!」


 意気込んでユキカゼは突撃した。


 手に素早くスキルのソードクリエイトで刀を手の中に型づくり、斬りかかっていく。


「我流剣術『氷結切り』!!」



 そう言い放つと、ユキカゼの刀が氷の刃へ変化して、デッドラビットの一体を斬りつけた瞬間、その体は切断と同時にできた氷の中に入った。


 どうやら今の剣術は、「我流剣術」と氷の精霊魔法が組み合わさったもので出来ているようで、切った相手を氷の中に閉じ込めるらしい。


 しかもご丁寧にきちんと切断されており、氷の中には真っ二つにされたデッドラビットが存在していた。


「ビビッ!?」

「「「ビビヤァァァア!!」」」


 突然仲間が切られた上に、氷漬けにされたことにデッドラビットたちは驚愕の声を上げ、怒りをあらわにした。


「さてと、ついでにまだまだやるでござる!我流剣術……」


 すっと刀を前に構え、ユキカゼが目をつむる。


 隙ありと思ったのか、怒りに狂ったデッドラビットたちが一斉に飛び掛かり‥‥‥‥


「‥‥と見せかけての精霊魔法『身代わり氷人形』!!」


ドロン


ガガガガッツ!!

「「「「ビビビァァッツ!?」」」」



 なんと驚くべきことに、瞬時にユキカゼがいた場所に彼女そっくりの氷の人形が形成され、その人形にラビットたちが角で串刺しすると、抜けなくなった。


 突き刺した個所から素早く凍結し、動けなくなったところで‥‥‥


「さてと、トドメでござるよ」


 人形を身代わりにして避けていたユキカゼは、動けないデッドラビットたちに向かって刀を構える。


「我流剣術…‥‥『一刀両断』」


 気が付いたときには、彼女のはその場から動き、別の場所に立っていた。


 形成していた刀が霧散すると同時に‥‥‥


ズババババババババババビキッツ!!


 瞬時にデッドラビットたちが細切れにされ、瞬間冷凍されて凍結された。



「…‥‥ふぅ、疲れたでござひょへぇぇ」

バタン


「ちょ、ユキカゼ!?」


 戦闘が終了し、急に脱力した声を上げて倒れたユキカゼにフレイたちは慌てて駆け寄った。


「どうしたんだよユキカゼ!初戦闘早々に何で倒れるんだよ!」

「あ、主殿……なんか拙者物凄く疲れ‥‥‥」


 抱えて見ると、ぐったりと力が入らないようであった。


【…‥‥どうやら「ソードクリエイト」のスキルが原因ですね】


 その様子を確認して、ナビリンがそう口にした。



 どうやらその「ソードクリエイト」のスキルで刀とかは形成できるものの、予想以上に魔力などの消費が激しいらしい。


 戦闘中は気にならない程度だが、戦闘終了しスキルを解除した瞬間に一気に疲労が来るというおまけ付きのようだ。


 どう考えても、ほとんど使えないようなスキルである。


 しかも、ユキカゼは精霊だけど、フラウと違って妖刀の影響を受けすぎて性質が変化し、持っている魔力量が通常の精霊よりも少なかったようだ。


 結果として、戦闘が終わった途端にぶっ倒れてしまったというわけであった。



「となると、ユキカゼが今後戦闘に出るとしたら、スキルを使わずに何か武器を持たせた方が良いってことか‥‥‥」

【すまないでござる主殿、早々に迷惑をかけてしまったようで……】


 回復のため、フレイの中に入ったユキカゼが申し訳なさそうに答えた。


「いや、別に良いさ。早いうちに判明したからね」


 これが今回の目的でるダンジョン調査中であったらまずかったかもしれないが、幸いな事にまだ練習のような物。


 ゆえに、早期に判明したからこそ対応策も素早く取れるのである。



【うーん、私の場合はサポートに尽くすから気が付かなかったことなの】


 ユキカゼの状態をしっかりと同族として確認するために、フレイの中に入ったフラウがそう口にする。


 彼女の場合、基本的にフレイの中から精霊魔法によるサポートが多かったために、このような事は起きなかったのである。


「となれば、解決策としてはユキカゼはスキルを使わない方が良いのかな?」

【どうやら剣術や通常の精霊魔法であれば消費は少ないので、ソードクリエイトのスキルの使用のみを抑えればいいかと】


 単純にそのスキルが一番消費するだけで、他は普通に使ってもさほど支障はないらしい。


 だが、そうなってくると…‥‥武器を買う必要性が出てくる。


「‥‥‥まぁ、そもそも俺も武器なしじゃやばいと、妖刀を持ったユキカゼとの戦闘でわかったからな。というか、ダンジョン調査をする前に皆それぞれで持っておいた方が良いだろうし、何処かで調達する必要性があるなぁ‥‥‥」



 今後の課題が見えてきたが、そのあたりをどう解消すればいいのか問題であり、フレイは溜息を吐くのであった…‥‥



――――――――――

SIDEセドリッカ学園長


「買い取り値から輸送費を差し引いて、そこから生かすための食糧値を抜き、懸賞金と犯罪奴隷市場価格を足せば‥‥‥‥おおおおおおおお!!そこそこの儲けがでるのかぁ!」


 学園にて、セドリッカ学園長は金の計算をして、歓喜の声を上げていた。



 ここから人の足ではかなりの距離にある場所。


 そこで学園長の配下が、フレイによって討伐された盗賊の頭をきちんと購入代金を置いて、監禁したという情報が来て、計算してみたところそれなりの儲けが出たことが判明したのである。



 さらに言うならば、その盗賊はフレイたちを襲撃するように買収されていた盗賊だったようで、その肩慣らしに商人たちを襲っていたようだが‥‥‥その商人たちは違法奴隷商人という事も判明した。


 盗賊の頭から裏を取れば雇ったところにたどり着いて、馬鹿な事をしたことに対する賠償金を払ってもらうこともできるし、違法奴隷商人たちはこちらはこちらでその動きを監視すれば、より金を搾り取って破滅させることもできるのである。


 見張っているだけで良い儲け話ができ、悪も滅ぼせてまさに一石二鳥。


 いや、ついでにフレイたちの戦闘技術も上がって、冒険者になった時に更に稼ぎそうなので一石三鳥までいくだろう。



 馬鹿共ホイホイ…‥‥とまでは少々言いにくいことだが、それでもなかなかの儲けを生み出してくれるフレイたちは、学園長にとって絶対に大事にしたくなるような相手であった。



「ふふふふふふふふふふふぅ、笑いが止まらないとはまさにこの事かぁ。それに、どうやらまた精霊を仲間にした情報もあるし…‥‥ダンジョン調査が失敗したとしても、彼らには絶対に合格点を上げて冒険者にしてあげたいねぇ。まぁ失敗するような光景は見えないけどねぇ」


 輝くような満足げな笑みを浮かべ、セドリッカ学園長はそうつぶやく。



 目に狂いがないどころか、滅多にない大当たりを引いたようであり、フレイたちが卒業してもその先で協力体制を引いて儲けられるようにしたいと思うのであった‥‥‥


…‥‥なお、どうやって長距離にいるはずのフレイたちの動向を知ることができたかについては、関係者以外知る事がないのであった。

学園長は学園長で笑いが止まらず、このあと顎が外れるのはまた別のお話。

とりあえず今は、ユキカゼについて知ることもできたので、目的へ向かって進むのである。

何にせよ、次回に続く!!


…‥‥フラウがサポートならば、ユキカゼは接近戦特化かな。精霊だけど、妖刀のせいで変質した影響があるようだしね。ソードクリエイトのスキルに関しては、フレイが習得できればなかなかいい感じに使いこなせそうだけど…‥‥習得するまでちょっとかかりそうかな。

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