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それから十年経過して

リメイク前に比べて、色々設定を見直したり、細かくしております。

暫く説明部分も多いでしょうが、そのあたりのご了承もお願いいたします。

「えいっ!」

「まだ甘い!」


 大きく剣を振りかぶった俺の攻撃を、ドラゴンの炎龍帝は軽く風を羽で起こして俺を吹き飛ばし地面に叩きつけた。

 絶対今骨が折れただろと思えるほどの激痛を味わったが、炎龍帝は回復効果を持つ白い炎のブレスを吐いては無理やり俺を回復させ、また戦闘をさせる。


 あの転生から年月が経過し、十歳となっていた俺は炎龍帝からかなり厳しいスパルタを味わっていた。


 内容としては、炎龍帝との戦闘から始まり、野山での薬草などの見分け方や薬の調合方法、教育、家事手伝いなど、ちょっと関係なさそうな物も混じっているが、教えられる分だけ教えまくっているように思えた。


 まぁ、骨折したり、千切れかけたり、全身火あぶりになったりと色々と死にかけもしたが、それでも俺は生きていた。というか、普通に過ごして死にかける環境でもあるからね。


 何しろ現在の居住場所が火山の火口付近で、下手すりゃマグマダイブとなるもん。ゲームとかならリスポーンできるだろうが、現実なら死亡確定だからね。


……よく今まで俺は生きてきたなぁ。普通死ねるぞこの環境。



「二人とも―、昼食が出来たわよー」

「火山ステーキねー」


「おお、もうそんな時間か」

「やっと、やっと昼になったのか‥‥」


 離れた場所から、別のドラゴンたちがやってきて声をかけ、午前の戦闘は終わった。



……実はあのドラゴンたち、炎龍帝の妻たちらしい。


 「たち」となっているのは、どうやらドラゴンは一夫多妻制らしく、炎龍帝は複数の雌のドラゴンを妻として持っているらしい。


 ただ、どうもドラゴンと言うのは強すぎる生き物故か、繁殖ペースは遅く、二百~三百年に1、2頭程度しか子が増えないらしい。


 そのため、こうやって養子というような形で俺がいると、中々子を授からない側としては愛情を注ぎまくるようだ。‥‥人間なのに、赤子の時に龍の乳とかいうものを飲まされたけど、あれ死ぬほど熱かった。


 口の中が火傷したというか、転生早々三途の川を垣間見た瞬間だったな。



 朝食も終わり、また戦闘が開始され日が暮れてあたりが暗くなってきたところでようやく本当に終了となった。






 火口近くに掘られた、火山ならではの大きな温泉に浸かり、汗を流していく。



「うぃーっ、本当に温泉に浸かるゆったりできるなぁ」

「なんか親父臭いよ」


 炎龍帝、見た目はかっこいいドラゴンなのに……こういう時ばかりは残念臭がすごい。


【まぁ、生き物ですからね。物語にあるような威厳を持つような人など、一握りしかいませんよ】

(ある意味残酷な真実なんですが)


 ナビゲーターもとい、ナビリンの言葉に、俺は心の中で返答する。


 どうもこのナビリン、俺にしか聞けないようで、傍から見たら何もないところをしゃべっているように見えて奇妙だと思い、こうやって心で返答するようにしているんだよね。




 何にせよ、こうやって温泉に浸かれるのはありがたい。


 しかもこの温泉、色々と効能があるようで疲労回復、傷を癒すなど結構いいのである。



……転生して一番良いと思えたのが、この温泉に入り放題ということかなぁ。





 とにもかくにも、今日もこれで平和に終わる。


 多少腕がもげかけたり、焼かれたりしたが、まぁ命があるだけ良いだろう。


「おおそうだ、ひとつ言うのを忘れておったな」


 風呂上りに、ふと炎龍帝が思い出したかのようにそうつぶやいた。


「ん?なにかあるの?」

「もうそろそろ、確かあと二年後に、お前の名前を付ける名づけの儀式があるはずだ」

「‥‥‥遅くないかなぁ?」


 

 炎龍帝の言葉に、俺は呆れたようにそうつぶやく。


 そう、実は今の今まで、ずっと俺には名前がなかった。


 というのも、ドラゴンはどうも12歳ごろに名づけの儀式とやらに参加して、そこでようやく名前をもらい、名乗れるということになっているそうなのだ。


 その為、ここ最近の会話としては「おまえ」とかそういう感じにしか言われていないんだよなぁ‥‥‥はぁ。


「ようやくお前に名前が授けられるが、一体どのような名前になるのかは未定だ。だが、ある程度の要望がかなえられるそうだから、今のうちにその事を考え解け」


 あと二年もあるのに、というかなぜこのタイミングで炎龍帝が言うのか。


……それは、ドラゴンの時間感覚が原因らしい。


 かなり長寿なので、昼寝して、十年経過していたとかあるらしく、色々と不便な事もあったそうだ。


 そこである時、ドラゴン同士で決めたのが十二歳になった時に名づけの儀式を行い、大体十二年の感覚を養うことにしたそうである。


 なお、なぜキリの良い十年などにしないのかと言えば、面白みがないからだとか。

……面白みを求めるか?


 何にせよ、二年後にようやく俺に名前が付くらしい。


【ナビの立場としても、ナビする相手に名が付かなければその機能が解放されません】


 ナビリンとしても、俺に名前が付くことは良い事のようである。

 どうも名前がないと、機能が解放されないらしいからね。今のところは「言語翻訳」だけらしいが‥‥‥他に何があるのだろうか?


 いずれにせよ、楽しみに待つだけである‥‥


ちなみに、実はこの十二年と言うのも、もっと細かな訳があったりするのだが、それはまた後程に。

本日12時に2話目投稿予定。

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