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転生、いきなり最悪過ぎだよ!!  作者: 志位斗 茂家波
1章:冒険者になるために
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謎の少女について

春よ来い。けれど花粉は来て欲しくない。

……スギ花粉を某焼き払えの巨人に命じて一掃できればいいんだけどなぁ。

SIDE学園長セドリッカ


「グランドバイコーンが出現?しかもそれを倒したのかぃ」


 フレイがグランドバイコーンを倒してから約一時間後、学園長セドリッカの元にその情報が届いていた。


 フレイ自身が届け出をするよりも早く、正確な情報が到達しているのは、学園長側に、いや、学園長独自のそれなりの情報収集能力があるからである。



「ふむぅ、確かグランドバイコーンはぶちゃけ言ってほぼ害獣とでも言うべきモンスターだから、討伐されたのは喜ばしい事だがぁ‥‥‥」


 顎に手を当て、考え込むセドリッカ。


 今回、授業の一環で実践訓練を生徒たちにさせていたという事もあり、別に誰がどれだけのモンスターを討伐できようが、何も問題はない。


 具体的には、ゴブリンを狩ろうが、スライムを狩ろうが、一応どれだけの実践に使える実力があるのかを図るのが目的だからである。


 まぁ、中には身の程知らずというか、今の自分の力量を測れずに挑み、敗北した上に他の生徒たちに迷惑をかける様なアンポンタンもいるのだが、それはどうでもいい。後でしっかり金をむしり取って弁償して貰ったり、将来の有益性のある生徒たちの治療費へ回し、得られたであろう利益を失わないようにするだけで済むからだ。


……なお、以前フレイがフルボッコにしたでぶでぶ饅頭祭り(自称黄金騎士団)の連中も、金をむしり取られた被害者面をするふてぶてしい加害者共であったのは言うまでもない。


 

 取れる時は限界ギリギリまで取ればいいとして、今回重要なのは、グランドバイコーンがでた理由であった。


「報告によると‥‥‥少女を保護したのかぁ。グランドバイコーンがこの少女を追いかけてきたのだとすれば別にそう不思議な事ではないがぁ…‥‥そもそもグランドバイコーンってこんな人里近くにまで来たかなぁ?」



 ユニコーンであれば清らかな乙女を好むが、バイコーンはその反対に嫌うのである。

 

 特に、このグランドバイコーンは性癖が特殊なものも多いそうだが、それでも一応人里にはめったに近寄らないようなモンスターでもあるのだ。


 清らかな乙女を追いかけまわす変質者のようなものと考えれば分かりやすいのだが、それでも人が良そうな場所まで追いかけてくるのはめったにない。



 相当興奮していたか、あるいは……


「‥‥‥その少女が清らかな乙女である事への怒りもあるのだろうけれども、それ以前にもっと別のものがあるなぁ」


 大体の予想が付くが、今はすぐに動くわけにもいかなさそうである。


 どうも別の報告がすぐに届いたのだが、このタイミングででぶでぶ饅頭祭り2号予備軍が動き出したそうなのだ。



 こちらの対処を先にして、とりあえず抑えられそうなら抑えたうえで脅迫し、金をせびり取った方が良いかと思い、一旦その少女とやらの詮索を辞めるのであった。


「金の臭いもするけど、まずは将来の投資のために害虫駆除に投資しないとねぇ」


――――――――――――――――――

SIDEフレイ



「‥‥‥保護したのはいいけれども、まったく目を覚まさないな」


 学園に戻り、保健室にて保護した少女をベッドに寝かせ、その横に置いた椅子に座りながらフレイはつぶやいた。


 目の前で少女はスヤスヤ寝ているが、身体は以前として半透明なまま。


 流石に全裸は不味いので、とりあえず上着を着せて先生方の元へ戻り報告はしたが‥‥‥まずはここで手当てをした方が良いということで、保健室に連れていかれたのである。


 外傷はないようだが、疲労がひどく、今は休ませた方が良いという保険医の指示の元ベッドに寝かせ、教師たちは学園長の元へ報告しに行ったが…‥‥。



(ナビリン、この少女が何者か鑑定したか?)

【はい、鑑定済みです。予想通りの結果でしたが、ご覧になりますでしょうか?】

(見せてくれ)


―――――――――――

名前:名無し。ついていない。

種族:魔精霊

性別:女性

所持スキル及び称号にはロックがかけられ詳細不明。

状態:「魔力欠乏」「魔堕ち」「宿り器大破」


「魔力欠乏」:所持魔力が残量0に等しい状態。幸い回復力はあるので放置すれば自然と治るが、落ち着くまで気絶してしまう。

「魔堕ち」:精霊が悪い方へ堕ちてしまった状態。清らかな力が濁り、弱ってしまう。

「宿り器大破」:この精霊が宿っていた器が破損し、修復不可能な状態に陥ってしまったがゆえに、休む場所を無くしてしまった状態。何かに宿らさなければ「魔堕ち」から回復不可能。



『精霊』

モンスターでも人でもなく、全く異なる未だに正体不明の生命体。

実体を持つ者、持たない者、中途半端に持つ者と様々であるが、共通しているのは何かに宿り、そして清らかな存在であるという事である。

彼らに力を借りれば、武器ならば威力向上もしくは属性付与、日用品ならば性能向上と言った具合に、良い手助けをしてくれる。

宿っていた者が無くなってしまうと、ストレスが溜まってしまい、「魔堕ち」状態になってモンスターを引き寄せやすくなってしまう。

―――――――――――



「…‥‥精霊だったのか」

【「魔堕ち」と言う状態異常によって、「魔精霊」と化してモンスターを引き寄せやすくなっているようですけれどね。現在魔力の回復を行っているようですが、ペースがやや遅めであり、また、宿る物がないためにあまり思わしくない状態だと言えます】



 そりゃモンスターや人間ではないだろうが…‥‥なんにせよ、このまま放置はできないだろう。


 自力で回復はできるが、根本的な問題…‥‥本来、精霊たちが宿るべきものがなければ改善しないそうなので、何かに宿らせる必要があるらしい。


 

【モンスターに追われていたことを考えると、この魔堕ち状態が原因なので早めに改善させた方が良いですが‥‥‥一体何に宿らせるべきでしょうかね】

「ナビゲーションシステムでもあるナビリンが疑問を投げかけてどうするんだよ……」


 思わずフレイはそうつぶやいた。


 とにもかくにも、宿らせるとかそういう話以前に、まずはこの少女が目を覚ましてくれないと何も進まない。


 とりあえず、候補になりそうなものを考えるべきかなとフレイは思うのであった…‥‥

とりあえず少女が目を覚ますのを待つ間に、なにかいいものがないか探すフレイ。

一方で、学園長セドリッカは一旦問題ごとの対処に乗り出すようだ。

とにもかくにも、目を覚ましてくれないことには話が進まないから、早く起きてほしいところである。

次回に続く!!


……学園長、一応守銭奴。

生徒がいなければ学園が成り立たないし、卒業後に名声を上げてもらって、ここを卒業し手とか言う話を広めてほしいのもある。

ゆえに、生徒たちをしっかりと育て上げ、搾り取れそうなところは絞り上げるのだ。

……なんか本当に守銭奴なのか、甚だ疑問を持ってしまったけれどね。これはあれか、面倒臭いツンデレか。

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