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転生、いきなり最悪過ぎだよ!!  作者: 志位斗 茂家波
1章:冒険者になるために
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しょっぱなからやらかした

炎龍帝との生活の弊害が出るようです

SIDEフレイ


 冒険者育成学校へ入学した翌日。


 早々に、まずはどれだけ皆の身体能力や知識があるのかのテストが行われることになった。




 事前に行われていた入学のための試験や、卒業パーティたちからの特別推薦枠に入れられた人たちの実力はある程度判明しているそうだが、それでも細かな今の状態を調べたいらしい。


 要は勉学前と卒業後にどれだけ成長したのか確認し、実感を持たせたうえで無事に卒業させたいそうである。





「と言うわけで、まずは薬草学、治療方法などに関するペーパーテストからか‥‥‥」


 冒険者たるもの、ある程度の知識を持っていなければ、万が一の時に使えない。


【でも、カンニングはいけませんので、私は眠ってますね】

(ナビリンを使う気はないけれども……ナビゲーションシステムのようなのが眠るってどういうことだろう)


 疑問に思いつつも、ナビリンを無視してテストにフレイは挑んだ。


 

 幸いと言うべきか、炎龍帝から学んだ内容とあまり変わらず、薬草関係に関してはほぼ満点にできたであろう。


……治療方法に関しては、うろ覚えのような、前世の知識を使うしかなかったけどね。


 だって炎龍帝との戦闘訓練時、いつも大怪我しまくっては回復効果があるブレスとやらで治されて、まともな治療方法までは学んでいなかったんだよなぁ…‥‥楽に回復できると、こういう所で弊害があるんだな。


 まぁ、そのおかげで全身大火傷や複雑骨折、もげたりなどしても、なんとか治っていたから別に良いのだが…‥よく生きていたな俺……。





 とにもかくにもペーパーテストが終了し、次は身体能力テストである。


 冒険者と言っても、皆が同じ武器、同じ戦い方はせず、それぞれ個性がある。


 例を言うなれば、魔法を特化して魔法使い、武術特化の武闘家、暗殺……というよりも隠れて接近し、偵察を行うアサシンなど、様々な分類に分けられるのだ。




 現状、フレイはまだ魔法を使えていないために魔法使いなどの道はないが、龍魔法はあの儀式で使えるようにはなっているはずだし、今までは素手でも剣や棒術などに手を出してみたい。


 その為に、このテストにてどのようなものに向いているのか調べるのだ。




「次!フレイという人!」

「はい!」


 名前を呼ばれ、テスト用の舞台に立つフレイ。


 目の前には、木刀を持った検査官と言う人がいた。


「魔法に関してはまだ不明だが、使えれば使いたいと‥‥‥この辺りは後の検査で調べるが、今はまず、神あ値能力からテストを行う!」

「はい!」

「そこで、まずは全力でかかってきなさい!!」


 魔法関連に関しては、これは個人のスキルや才能と言った部分が関係するそうなので、今はまず身体能力を図るようだ。


 全力と言われたし…‥‥少なくとも、あのでぶでぶ饅頭祭り達よりも絶対に強い相手だ。


 検査官と言うからには加減されるようだけど、全力言ったからには答えないとね。


「それではーーーーーー始め!!」



 審判役の検査官の人が合図を出し、フレイは素早く動いた。



ドッ!!

「ぐぼぶぅ!?」


…‥‥それは一瞬の出来事であった。


 フレイは単に、全力で駆けだし、素早く間合いを詰め、胴体に拳を叩き込んだだけである。


 ただ、どうもその…‥‥早すぎた。



 検査官がうめき声を上げたときには、拳はめり込んでおり、そのまま体が地面から離れ…‥‥



ズッドォォォォォォォォン!!

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!」


……そのまま吹っ飛んでいった。


 やばい、全力と言われてやり過ぎた感がある。



 冷や汗を流したフレイが周囲を見れば、審判役の検査官も、次の順番を待っていた人たちもあっけに取られていた。


「‥‥‥えーっと、その、あの人大丈夫かな?」

「「「「「絶対に大丈夫じゃないだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」


 ごまかそうと吹っ飛んだ検査官の心配をフレイは述べたが、周囲の人達からほぼ同時に同じツッコミを入れられてしまったのであった‥‥‥‥



―――――――

SIDEふっ飛ばされて飛行中の検査官



…‥‥これは一体どういうことなのか、その検査官は考えていた。


 自分はただ、相手の実力を図るためにいたはずで、全力を出すようにと目の前の少年‥‥‥フレイと言う子へ告げただけである。


 まぁ、12歳と言うらしいし、まだまだ伸びるかな~という軽い気持ちで考えていたが、その考えが甘すぎたことをその検査官は後悔していた。



 開始の合図と同時に、一瞬にして少年の姿が消え、気が付いたときには腹部へ強烈な打撃が入り、そのまま天へ召されてしまったのだ。


 いや、死んではおらず、現在も空を放物線を描いて飛んでいるだけだ。




 だが、徐々に近づく地面を見て、検査官は死を覚悟した。


 ああ、こうなると分かっていたのであれば、手加減をするように頼んだのに。


 この速度で、この高さから落下すれば、ほぼ間違いなく死しかないだろう。



 と、考えていた検査官は‥‥‥‥そのまま何かにつっこんだ。



ドッボォォォォォン!!

「どぁっぷ!?」



 どうやら地面に激突は免れ、何かの液体へ突っ込んだようだ。


 その液体が衝撃の吸収をし、どうやら助かったようである。


「ああ、生きているって素晴らしい…‥‥」


 己の体を確かめ、腹部に強烈な痛みがあるが、生きていることに検査官は涙し……そして気が付いた。


 そう言えば、何の液体に落ちたのだろうかと。



 恐る恐る触れて見れば、かなり甘い香りが漂う黄色い液体。


 舐めて見れば甘く、どうやら蜂蜜らしい。



 だがしかし、この寮の蜂蜜がある場所と言えば…‥‥



ジャキィン!ジャキィン!ジャキィン!!


 何か音が聞こえ、その声の咆哮へ検査官は顔を向け、そして己がどこにいるのか悟った。


「ぎ、『ギガントハニービー』の、巣かよぉぉぉぉぉぉ!?」


――――――――

『ギガントハニービー』

巨大ミツバチのようなモンスター。

ありとあらゆる蜜を蓄え、基本的には友好的であり、人を襲うことはない。

だがしかし、無理やり彼らの蜂蜜を奪おうとしたりすれば、たちどころに鬼神のごとく好戦的になり、執拗に追いかけてその尻にある針で攻撃してくる。

毒はないのだが、同じ大きさの針があったとしてもなぜかこのモンスターの針の方が格段に痛く、気が済むまで刺されまくる。

なお、敵味方関係なく襲うのではなく、的確に蜂蜜を狙った相手だけを狙うので、人込みに紛れようとも意味をなさない。

――――――――


 どうやら検査官が突っ込んだのは、目の前のモンスターたちの蜜が蓄えられたところだったようで、蜜を奪おうとしていると勘違いされたようである。


 口を開け閉めさせて鳴らすこの音は、今から数秒後に攻撃するという警告音で、逃げなければ‥‥‥



「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 全速力で腹の痛みも忘れ、検査官は必死になって逃げだす。


 背後からはビーたちの群れが追いかけてきて、恐ろしい光景となっていた。


 

…‥‥この後、救護に駆け付けた検査官の仲間たちは検査官を無事に見つけたのだが、しばらくその検査官は引き籠りになったそうである。

……一番損な役割を検査官が持ってしまったようだ。

というか、早々にやらかしてしまったようである。

さてさて、次の犠牲者は誰だ?

次回に続く!!


主人公、早々にやらかした。全力を出すと強いけど、これでもまだまだ炎龍帝に勝てないからなぁ‥‥‥道は長いな。


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