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外伝

遅くなって申し訳ありませんでした。

ネタ不足、PC&携帯の不良、交通事故、などが一辺に起きたので…ハイ言い訳ですねすいません。

今回は一応過去話ですが…

・クオリティは低いくせに無駄に長い。

・いつも以上のご都合主義

・文才(笑)

・所々感じる手抜き感


などの問題点があります。

本編にはあまり関係無いので、読まなくても問題ないです。


結論、調子に乗って慣れないことはするべきではない

「シルヴィアさんとはどのような人なのですか?」


お嬢が優雅な動作で焼き魚の骨を処理しながら、味噌汁を啜っている俺に聞いてくる。

場所は夕飯時の食堂。

今日俺は、自室でいつも通り晩飯を作ろうとした所、部屋に備え付けられている冷蔵庫の中に食料が何もないことに気付き、仕方なく食堂に足を運んだのだ。

そしたら、そこでお嬢とバッタリ出くわし、一緒に飯を食べようと誘われ、現在に至る。

俺は味噌汁の入った茶碗から口を離し、味わって飲み込んだ後、口を開く。


「どうしたお嬢?んな藪から棒に」


「いえ、とくに理由はありませんが…強いて言うなら好奇心ですかね。

前に言っていたでしょう?私とシルヴィアさんは同じ人種の人間だと…

そのことをふと思い出しまして…」


「なんとなく気になった、と…まぁ別に構わんがな。

さて、シルヴィアがどんな人間か、か…

俺は半年程しか共にいなかったが、とりあえず自由奔放な奴だったな」


味噌汁の茶碗をテーブルに置き、水の入ったコップを手に取りながら、かつて旅を共にした友人に思考を馳せる。

100人中99人は見惚れる程の大人びた美貌の持ち主…しかし、陽気でノリが良く、何にでもすぐ興味を持つが飽きが早く、その上気分屋と、外見に反して中身は子供っぽい。

北国にフェンリルを殺りに行きたいと言ったかと思えば、その道中にやっぱり南国にトロピカルジュースを飲みに行きたいと言ったりと、いつも即断決行で気紛れに世界を渡り歩き、その地その地で大なり小なりの騒ぎを起こすトラブルメーカー。

ちなみに初対面は、戦場で敵として合間見えた時だった。


「それと、あいつは何より自分の力に絶対の自信と拘りを持っていた」


「拘り…ですか?」


「そそ、一種の哲学だな。

どんな危機的状況下であろうと、相手がどんな強者であろうと、小細工無しに真っ正面から敵を叩き潰す。

正々堂々を体現した誇り高き魔王…それがシルヴィア・ヴァレンスだ」


正々堂々ってのは、強者の戯れと考えている俺には当初理解し難い拘りだった。

どんな手を使おうが勝てば何でもいい、という俺の信条とは真逆。

だからそのことで口論になったこともあった。


そういや、口論から喧嘩に発展してお互い死にかけたっけか…いやぁあの頃の俺は若かった…


その時の喧嘩という名の死闘、もとい地獄絵図を思い出して苦笑する。

しかし、お互いに真っ正面からぶつかったからこそ、その拘りが多少なりとも理解できた。

俺の信条は今でも変わらんが、戯れ程度に正々堂々をするようにはなった。


「ま、お嬢と似ているってのはその点だな」


「?私は自分の力に拘りなんてありませんが…」


「そこじゃねぇよ…

あんたの信念は誰であろうと傷付けない。

あいつの信念は誰であろうと正々堂々。

信念こそ違えど、お互い自分の中にしっかりと確立した芯を持っている。

そこが似てるのさ」


そう、何があろうと己の芯を曲げず信念を貫き通す。

そういった確固とした覚悟を宿した目があいつとお嬢は似ている。


尤も、それらの信念は力あってこそのことだがな…今のお嬢の信念は戯れ言にすぎない。

まぁ、覚悟は本物っぽかったから将来に期待している訳だが…


「ま、いろいろと滅茶苦茶な奴だが、どんな奴相手でも真っ正面からぶつかっていくから、あいつの周りには常に人が集まっていたな。今にして思えば、俺もその中の一人だったのかもしれねぇな…」


あの頃の事を思い出し、つい俺は笑みを零す。

その笑みは、久方振りに洩らす自然な笑みだった。

そんな俺の様子を、お嬢は頬を朱く染めながらぼんやりと眺めていたと思ったら、突然何故か不機嫌そうな顔になる。

小声で「そんな笑顔、初めて見ました…」などと呟いているが、まぁ、聞かなかったことにしておこう。

未だにジト目で此方を見ているお嬢に苦笑を洩らしながら、今のお嬢に何を言っても面倒なことになる、と結論付けた俺は、未だ何かぶつぶつと言っているお嬢の視線が弱まるまで思考を追憶に馳せることにした。








「やれやれ、あのじゃじゃ馬はどこに行ったのやら…」


それは二年前のこと…夕日が真っ赤に輝く時間帯。

知る人ぞ知る標高1500mのとある山「クルルマウンテン」

ここは木々はおいしげ清らかな小川が流れる自然豊かな山だが、その人の手が加えられていない環境の良さ故か、この山には多くの凶暴な魔物が住み着いていることで、有名な山である。

その山の山頂付近で、白い髪に鋭い銀色の眼をした少年、白神煉夜は獣道を彷徨っていた。

理由は、旅の連れである女性が原因である。

その女性は旅の道中にいきなり「山に行きたい!」と言い出し、なんでも、この山の頂上に珍しい鳥がいるとかどうとかで暇つぶしがてらにこの山にきたのだが、到着早々姿を消したからだ。

最初は、いつものことだと考え、連れを無視して自分も登山感覚で楽しんでいた(この時の俺の格好は黒いワイシャツにジーパン…山嘗めてるな…)のだが、山頂付近に到達しても連れの気配は無く、登山も飽きてきたのでそろそろ捜そうかと考え始め、現在に至る。


「あぁ〜、面倒くせぇ…さっさと見つけるか…」


煉夜は気怠げに呟くと、瞳を閉じて魔力を薄く山全体へと漂わせる。

そして、漂わせた魔力を媒体として、己の知覚をその空間へと広げていく。


空間魔法『把握(グラスプ)


この魔法により、この山は麓から山頂まで煉夜の知覚範囲内となった。

今この山の中で起こっている出来事は、全てリアルタイムで煉夜に伝わる。


さて、どこにいるのやら…


彼は頭の中で、山の内部の情報を必要最低限なまでに削り、纏め、処理する。

すると、展開している最中に背後から人の気配を感じ、作業を一時中断する。

目を開きゆっくりと振り返ってみると、そこには造りの荒い着物のような装束を着た壮年の男が、槍を構えて立っていた。


『子供…?何故こんな所に…おいお前、何者だ?何故我々の縄張り内にいる?』


「……あ?」


男は不思議そうに煉夜を見ながら尋ねるが、彼はその言語が理解できず首を傾げる。

煉夜はこれでも世界各国を渡り歩いてきただけあり、大抵の国語は習得している。

しかし、この男の言語は煉夜の知っている国語のどれにも当て嵌らない。

ここで煉夜は男の特徴から考察を立てる。


聞いたことの無い言語に、不自然な格好なのに周囲と一体化しているかのような佇まい…何よりこいつの体から漂う、深く根付いたような山の匂い…こいつ、この山に住んでんのか?どうやらここから少し離れた所に集落があるようだし、この独特な服装や言語から見るに、この山の民族って所か…


煉夜は考察しながら『把握』で周辺を調べ、億劫そうに溜め息を一つ吐くと、自分と男を包むように魔力を薄く展開し、また一つ魔法を行使する。


空間魔法『探査サーチ


これは魔力を展開した空間内の存在、物質、概念、現象などのあらゆる事項を、多少大雑把ながら理解することのできる魔法である。これにより、煉夜は目の前の男と疎通できるようにした。

この範囲を狭めることにより効力を高めると『解析(スキャン)』という魔法に変化するのだが…まぁ今は必要無いだろう。


『おい、聞いているのか?まいったな…言葉が通じないのか?』


「あぁ、悪い。ちゃんと通じてるよ。それで、何だっけ?」


『変わった言葉を話すな…まぁいい。

何故子供がこんな所にいるのだ?この山は魔物が多く、そして強いから子供がこれる場所じゃない筈なんだが…』


男は『探査』により伝わる煉夜の言葉に疑問を持つが、意味は大体伝わるので気にしないことにする。


「旅の連れがこの山の中に迷い込んでな。

そいつを探して此処にいるわけだ。

あと、何故俺が此処まで来れたかと言うと…まぁ、運が良かったとしか言いようがねぇな」


煉夜は肩を竦めながら嘘を混ぜて答える。

本当は魔物にはちょくちょく出会したのだが、その全てが煉夜と相対した瞬間、本能的に勝てないと悟り、一目散に逃げ出したのだ。そのことを言わないのは、敵か味方かもわからない相手に自分の情報を少しでも渡さない為だ。

彼の返事を聞いて、男は一つ頷くと構えを解き、肩の力を抜く。


『そうか…いや、奴らの仲間ではなければ問題ないんだ。それにしても災難だったな。こんな山に迷うなんて』


「迷ってる訳ではないが、まったくだ。早く見つけてさっさとおさらばしたいね」


『ふむ…しかしもうすぐ日が沈む。子供一人では危険であろう。

よければ我らの集落に来ないか?』


男の言うとおり真っ赤に輝いていた日は沈みかけ、辺りは薄暗くなってきている。


「あ?見ず知らずの奴相手に随分と親切だな」


『フッ、我らクルト族は下劣なマクル族と違い、義に厚き誇り高き一族だ。

夜の危険な山に子供を放り出しておくほど薄情ではない!』


男は誇るように胸を張りながらニカッと笑い、答える。

煉夜はそんな男を呆れたような目で見た後、やれやれと言わんばかりに肩を竦める。


口振りからして、マクル族とやらと対立しているみたいだな…

このままついて行ったら面倒事に巻き込まれそうな予感が…まぁいい、巻き込まれたら巻き込まれたで暇潰し程度にはなりそうだし、あのトラブルメーカーが厄介事に顔を出さない筈が無い。それに野宿も回避できる。メリットの方が多そうだな。


煉夜は一瞬で思考した後そう結論付け、男について行くことにした。


「へぇ…んじゃ、お言葉に甘えさせてもらおうか」


『そうか。よし、では早速行くとしよう。

…っと、それよりお前の連れとやらは大丈夫なのか?

この山では、此処で生まれ育った我らですら命を落とすこともあるというのに…』


「あぁ、問題無い問題無い。あいつ異常なほど強いから」


『む、しかしだな…』


「ま、それにあいつも馬鹿じゃない。

自分よりも強い相手がいたらちゃんと逃げるだろうし、日が沈んだら下手に動くことはないだろうよ。

何より、もう日が沈む。今から捜しに行ってもしょうがないだろうしな」


勿論、嘘だ。

彼女は自分より強い奴相手でもタダでは退かないだろうし、日が沈もうが何しようが自分の思ったまま行動する大きい子供なのだ。

普通ならそんな奴を放っておくことを心配するのだろうが、煉夜は何も心配していない。

何故なら、先程言ったとおり彼女は異常なまでに強いから。それこそ、やろうと思えば山の一つや二つを消し飛ばせる程に

しかし、男はそのことを知らないし、言ったとしても信じてもらえないだろうから、彼は男の心配を軽くするべく嘘を吐いたのだ。


今から捜しに行こうとか言われたら面倒だからな…


『むぅ、そうか、ならいいが…では今度こそ行こうか』


「あいよ」


渋々ながらも男は頷き、踵を返す。

煉夜もその後に続いていった。



一方その頃。

煉夜の旅に連れ…シルヴィア・ヴァレンスはというと…


「アッハハハハハハ!!もっともっと持ってきなさい!」


『お、良い飲みっぷりだねぇ姉ちゃん。ほれ、もっと飲め飲め』


煉夜のいる地点の丁度反対側に位置するマルクル族の集落で、燃えるような真紅の髪に、均整のとれたスタイルをした、泣き黒子が特徴的な美しき女性…シルヴィアは何故かマクル族の人達と酒盛りをしていた。

彼女は意気揚々と山に入ってから適当に辺りを散策していた所、木々を基地拓いたような場所にあった、マクル族の集落に偶々訪れたのだ。勿論住民達は彼女を怪しがり警戒したが、彼女はいつもの如く、言葉は通じないものの真正面からノリと勢いで接した結果。すぐに打ち解けたられたのだ。

そして、気を良くした族長が少し前に、族長の大きな家…というよりテントで大勢のマルクル族の人間と宴を始めたのだのだが…現在、大半のマクル族の人たちは酔い潰れてダウンしている。

理由は簡単。

シルヴィアの美貌に言い寄ってきた男達と彼女は飲み比べをして、次々と潰していったからだ。

ちなみに彼女は大の酒好きだが、年齢は煉夜より2つ上の16歳…バリバリの未成年である。


『ガッハハハ!!しっかし面白ぇ姉ちゃんだな!!

我らマルクル族の勇敢な戦士達が、まさか一人相手に飲み負けるたぁな!!』


そう言って楽しげに大笑いするのは、造りの荒い着物のような装束を着た、強面の髭面に屈強な肉体をした男。この民族の長であるマクル族の族長である。

族長は酔い潰れている男達に「情けねぇぞてめぇら!」と渇を入れた後、木製のコップに並々と注がれた酒を一息で飲み干す。


「ヒュウ♪あなたこそ良い飲みっぷりじゃない!」


『ぷっはぁ!ガッハッハッハ!!!あたりめぇよ!俺っちからしたら酒なんざ水も同然よ!!』


「お、言うわねぇ。ま、それは私も同じことだけどね」


そしてお互いに酒を注ぎ足し笑い合う、何故か言語は通じていない筈なのにノリで通じ合う蟒蛇(うわばみ)二人。


『ガッハッハ!こんな気分良く酒を飲めるのは久し振りだぜ!』


「あら、貴方ならどこでも気分良くお酒を飲めそうだけど?」


シルヴィアの言葉に族長は突然笑い止めると、少し目を伏せ、低く重く答える。


『いや、まぁそうなんだがな。今日は一段と気分がいいんだよ。

最近はここまで気分良く飲めねぇからなぁ…愚劣なクルト族や糞鳥のせいでな』


「クルト族?」


シルヴィアは族長を見据え酒を飲みながら、話を聞く態勢を静かにとる。

族長はまた酒を飲み干し、話を続ける。


『この山の反対側にいる連中で、俺っち達と昔から縄張り争いをしている仇敵さ。

この山は元々我らマクル族のモノだったというのに、奴らは自分達のモノだと言い張っていやがる。

最近じゃあ俺達の領地を侵してきやがる始末だ…そのくせ自分達は誇り高いだの何だの言いやがる。

卑怯で下劣な侵略者の分際で何をほざくか…』


「…ならさっさと決着をつければいいじゃない」


『そうしてぇのは山々だが、いつからだったかこの山の山頂にでっけぇ鳥が住み着いちまってなぁ…そいつは滅法強い上に気性が荒くて、迂闊に動けば獲物として目を付けられ喰われちまうんだ…どいつもこいつもこの山を我が物面で占領しやがって』


族長は首を左右に振り、忌々しげに呟いた後、ギリリと奥歯を噛み締める。


『…姉ちゃんには関係無い話だったな。忘れてくれ…あぁ〜、変な空気になっちまった。また飲み直そうや』


そこで多少冷静になったのか、族長は気まずげに頭を掻きながらシルヴィアと自分のコップに酒を注ぎ足す。

しかし、彼女はコップに手を付けず、先程までの人懐っこい目から一変、冷たい氷のような目で族長を見据える。


「…私には、あなた達が勇敢とは思えないわ…」


呟かれた言葉は、凍えるように冷たい声音だった。

族長は突如として目の前の少女から放たれる、静かだが強い気迫に怯むも、一族の長として貶されたことに激昂する。


『…なん、だと…!?お前ぇ!勇敢な我らを愚弄する気かぁ!!!』


激情を露わにする族長に対して、シルヴィアはどこまでも冷ややかに、眉一つ動かさずに詰問するかのように言葉を返す。


「自らを勇敢と名乗るなら何故鳥如きに臆する?

何故陰口を叩くだけで行動しようとしない?

何故打開策を考案しようとしない?」


『そ、それは…』


「今の貴様達は遠くから吠えることしかしない負け犬…勇敢どころかただの臆病者だ」


『ぐっ……!』


次々と紡がれる冷たい言葉と気迫に族長は口ごもる。

シルヴィアはそこから少し声に熱を入れ、更に言葉を続ける。


「本当に勇敢と名乗るならそこに言葉なんて必要ない…勇を見せ付けろ、困難を見事打ち破れ、雄雄しき姿により証明しろ。自分達は真に勇敢だと…」


そこまで言い切って彼女は酒を一気に呷る。


「っはぁ!ま、これは私の持論だけどね〜。好き勝手言っちゃって悪いわね」


そして、飲み終わる頃にはいつもの穏やかな彼女に戻っていた。

先程の豹変振りから一変。カラカラと陽気に笑っている彼女に族長は脱力を覚えながらも、彼女に言い返す。


『…まったくだ。お前に何がわかる…と、言いたいところだが、悔しいがその通りだ…俺っち達は口だけで何も行動しようとしてなかった…』


そこまで言って族長は、シルヴィアと同じ様に酒を一気に呷る。


『…ぷはぁ!!だがな、姉ちゃんの言葉で目が覚めたぜ!

礼を言う!危うく俺っち達は誇りである勇敢さを忘れるところだった!!』


飲み干した後の顔は、目に強い光を湛えた吹っ切れた表情をしていた。

そして族長はニヤリと無骨に笑うと、息を大きく吸い込んで狸寝入りを決め込んでいる同士達に声を掛ける


『思い立ったら吉日ってな…聞いていたか野郎ども!!?聞いていたんなら立ち上がれ!!我らが勇敢さを示すため、早速戦の準備だ!!』


うおぉおおぉおぉおぉおぉおおおぉおぉおおぉ!!!!


その族長の一声で先程まで酔い潰れて倒れていた筈の男達が立ち上がり、一斉に咆哮を上げる。

男達の目にも族長と同じ強い光を湛えていた。





その後族長は、酔った族長に絡まれないよう狸寝入りしていた男達に、罰として戦の準備をさせ、自分は再びシルヴィアと談笑しながら酒盛りをしていた。勿論戦が近いので、酒は控えめに飲んでいる。

二人はせっせと働く男達を酒の肴に談笑していると、族長がふと気付いたかのようにシルヴィアに尋ねる。


『ところで姉ちゃんはよぉ、どうしてこんな所に来たんだい?俺っち達に手伝えることがあれば手伝うが…』


「ん〜?私はねぇ…この山の頂上に生息している…」


シルヴィアは酒を飲みながら答えようとするが、そこであることを思い出す。

途中ではぐれてしまった連れの少年のことを…


「…あぁっ!?そういえば煉夜は!?」


『うおぉっ!?れ、れんや?い、いきなりどうしたんだい姉ちゃん?』


突如辺りを見回しながら大声を出すシルヴィアに、驚きながらも尋ねる族長。しかし彼女は聞こえていないようで、返答せずに頭を抱える。

どうやら目的が近付いていることに浮かれて、煉夜がついてきていないことに気付いていなかったようだ。


「あぁ〜、いつもの安心感が無いと思ったら…そういえばさっき微弱な魔力を察知したけど気がしたけど…十中八九煉夜だったんだろうなぁ…」


『ど、どうしたんだい、姉ちゃん?』


頭を抱えたまま、ブツブツと独り言を言うシルヴィアに、族長は若干オロオロしながら尋ねる。

しかし彼女は反応せず、しばらくそうしていた後、「よし!」と呟き、勢い良く立ち上がる。


「ごめん、私もう行くわ」


『え?あ、オイ!』


「お酒美味しかったわ。いつかまた一緒に飲みましょ。それじゃね〜」


そう言って、シルヴィアは手を振りながらマルクル族の集落から走り去っていった。


『行っちまったよ…ったく、まだ碌に礼もできてないってのに……』


取り残された族長は頭を掻きながら呟く。

そこへ、皮鎧を着込んだ若い男が何かを持って駆け寄ってくる。


おさ!戦の準備ができました!』


男の報告に族長は一つ頷くと静かに立ち上がり、男の持ってきた豪奢な造りの皮鎧を身に着ける。

そして、壁に立てかけられている巨大な斧を手に取り、調子を確かめるかのようにグルンと振るい、肩に担ぐ。


『そうか…よし、夜明けと共に攻め込むぞ…我らが山を取り戻すために!』


『応!!』


そして族長と男は闘志を露にしながら戦士達の元へと向かっていった。

今、静かに、戦いの火蓋は切って落とされようとしていた。







一方その頃…



「さて、どうしたものか…」


場所はクルト族の集落にある、族長の住まいである大きなテントのような建物。

その中で現在、白神煉夜は困っていた。

何故なら、自分が気付いた頃に、何故かクルト族の人間達がせっせと戦の準備をしていたからだ。

それも闘争心に目を爛々と輝かせながら…


どうしてこうなった…つーかまたやらかしたのか、俺は?


煉夜は自分の座っている傍らにある、酒の入った木製のコップを恨めしげに見た後、溜め息を吐いた。

どうしてこうなったのかというと、時を少し遡る。


とりあえず煉夜と男が集落に着いたところで、どうやら煉夜が出会った男はこの一族の族長だったことが判明。

そこで、煉夜は久し振りの客人としてクルトの人々から盛大に持て成された。

ここまではまだよかった。

煉夜は民族料理もマルクの人々

しかし、その場に酒が出て来たのがマズかった。

マクルの族長と同じくクルトの族長も大の酒好きらしく、煉夜に酒を飲ませようとしたのだ…14歳の子供に…

当初は普通に酒が好きな煉夜は、自分が未成年だということを華麗にスルーしてのんびりと飲んでいた。しかし、途中から興が乗ってきた族長と何故か飲み比べに移行。

最初は断っていた煉夜だが、酔っているのかしつこく絡んでくる族長にうんざりしてきた為、最終的には承諾し、飲み比べをしたのだ。


それにより彼の悪癖が姿を現す。


それは飲み比べの最終局面でのこと…酒がいい感じに回り、族長が飲みながら山頂の鳥のことや山の反対にいる仇敵マクル族について愚痴っていた所…


「口を慎め下郎。貴様の中身の無い話を聞いていては酒が不味くなるであろう」


それは姿を現した。

彼はシルヴィアの影響で彼女程ではないが酒には大分強い。しかし、酔いがある一線を超えると、性格…否、人格がランダムで変化するという悪癖を持つのだ。

気弱になったり、陽気になったり、寡黙になったり、熱血になったりとその種は様々。

しかもそんな状態でも実力には微塵も影響がない…否、酔いにより自制を失っている場合もある為、普段よりも凶悪になっている場合もあるのでタチが悪い。

そして、今回はどうやらハズレが出たらしい。

今回の人格は『俺様』キャラ…その結果


「クッハハハハハハハ!このような在り方で誇り高いとは片腹痛いわ」


「あぁ、成る程。貴様等の誇りとやらは、鳥の脅威に震えながらひきこもり陰口を叩くということか。

ククク、これはすまない。

ならば胸を張るがいい。貴様等は十二分に誇り高いと言えよう」


「慢心せずしてなにが魔王か!」


「鳥と愚族如きに何を躊躇う?

この山が自分達の物だと言うならば、攻めろ奪え蹂躙しろ」


「悔しいか?屈辱か?腹立だしいか?ならばこの俺様に見せてみろ。貴様らの誇りとやらを。

そして先程の俺様の言葉を訂正させてみるがいい!」


途中で何故か『我様』が入ったが、奇しくもシルヴィアと似たような内容で尊大に傲慢に彼らを煽りに煽りまくったのだ。

逆らうことすら許さぬ強烈な覇気、威厳、威圧感、気迫の全てを以ってして。

その結果、現在に至る。

素面に戻った彼も、記憶に無いとはいえ流石にこの事態を少々マズいと思い


俺には関係ない事とはいえ、引き金を引いたのは俺だし、どうしたものか…


一瞬真面目に考え


まぁ、成り行きに任せるか


一瞬でその思考を放棄した。

面白ければすべてよし、これぞ煉夜クオリティー…全く以って傍迷惑である。


『旅の者よ。内容こそ少々アレだったが、我らの目を覚ましてくれて感謝する』


「ん?あぁ…」


そこへ、族長の男が煉夜に礼を言いながら歩み寄ってくる。

その手には槍が握られており、体には豪奢な皮鎧に、ファーのような毛皮を纏っている。戦装束というやつであろう。

煉夜はそんな男に適当に相槌を打っておく。如何せん何を言ったのか記憶に無い為、礼を言われてもリアクションに困るだけなのだ。

ちなみに、現在煉夜は『探査』を使っていない。

何故なら最初に使った『探査』と今までの僅かな会話をもとに、この言語を解読、理解、習得することができたからだ。流石にある一つの才能以外は優秀なだけはある。


『しかし済まないな、こんなバタバタしていて…本当は最後まで持て成してやりたかったが、お前の言葉を聞いて皆燃え上がってしまってな。悪いがこれ以上の持て成しは無理なようだ』


「何を言ってるのやら…俺はあんたらから十分すぎるほど世話になった。

俺があんたらに礼を言うことはあっても、あんたらが俺に謝ることなんざ何もねぇんだよ」


申し訳なさそうに頭を下げようとする族長に、煉夜は気怠げに手をヒラヒラと振りながら答える。

その態度と雰囲気に、族長は少しばかり驚いたような顔をする。


「…どうした?」


『……いや、最初はただませているだけかと思ったが、今ではお前が全く少年に見えないんだが…』


「残念、俺は正真正銘14歳のただのクソガキだよ…他より幾分生意気なな」


『そのクソガキ相手に我らは焚き付けられたのか。まったく、悪い冗談だな』


「クハハハハ」


肩を竦めながら苦笑する族長に、煉夜は焚き付けた記憶が無いので笑って誤魔化す。


『まぁ、それはいいとして、我らはこれからマクル族に宣戦布告をして、夜明けと共に奴らへと攻め込む』


「ふむ、奇襲でもすればよかろうに…」


『我等は誇り高いのだ…真の意味でな』


「律儀…いや、難儀だねぇ…」


誇らしげに胸を張る族長に、煉夜は呆れた様子で肩を竦める。


『確かに難儀であろうが、宣戦布告した上で我等が勝利したのなら、我等の誇りは完璧に証明される。そうだろう?』


「さてな…ま、そうなれば俺は消えさせて貰うぞ。流石に戦に巻き込まれるのは御免だからな。なにより面倒だし」


間違っても焚き付けた張本人が言うような台詞ではない。

しかし族長はそれを気にした様子はなく、鷹揚に頷く。


『それがいいだろう。ここまで攻め込ませるつもりは毛頭ないが、万が一ということがある。それに、鳥という弊害もいるしな』


「鳥ね…」


煉夜は、そういえばアイツの目的はその鳥だったなー。生息地は山頂…だったか?

などと考え、とりあえず次の目的地を決定する。


「さて、そろそろ俺はお暇させてもらうとしよう。

随分と世話になった、感謝する」


そして、煉夜はユラリと立ち上がり礼を言うと、そのまま立ち去ろうと歩き出す。

しかし族長は静かに、出入り口に手を掛けている彼を呼び止める。


『待て、最後に一ついいか?』


「ん?」


『…お前は何者なんだ?』


族長が真剣な顔で煉夜に問う。

族長も流石に気になったのだろう。彼の子供とは信じられない程の雰囲気、態度、思考、物腰。

そして何より、当初こそ気にしていなかったが、自分達の仲間ですら命を落とすこともあるこの危険な山で、武装もせずに散歩をするかのような軽装でいることが…

族長はさりげなく煉夜との距離を測りながら槍を持つ手に力を入れる。

もし彼が一族に…この山に仇なす存在だったら始末するために…

しかし煉夜はその族長の意図を理解しながらも態度を変えず、のんびりと首だけ振り返り


「神の域に足を踏み入れし者」


と、真顔で答えた。


『……は?』


「なんてな、じゃな~」


予想外の回答に族長が一瞬呆けている隙に、彼は笑いながら、闇に溶けるかのように去っていった。


『……』


『族長、そろそろ出発の刻です』


『そうか、わかった…』


彼は煉夜と入れ替わるかのように入ってきた仲間に一つ頷くと、気持ちを切り替え仲間の下へと向かった。決戦の時は近づいていく…










そして夜明けを迎えた「クルルマウンテン」


この山の中腹地点にある大きく広く拓けた場所で、両陣営の集団は対峙していた。


片や誇りと義を重んじるクルト族


片や武と勇を重んじるマクル族


長きに渡り争い続けてきた両一族が今ここに、雌雄を決しようとしていた。

その場は大勢の人間がいるにも関わらず静かで、しかし、そんな静寂とは裏腹にその場にいる人間全てに抑えきれな闘争心が宿っており、じっと戦いの時を今か今かと待ち続けている。

それはまるで少しの衝撃で爆ぜる爆弾のようで、もしも誰かが、少しでも抑えこんでいる敵意を相手に向けたら、その瞬間戦闘になる…そんな緊迫した空気が漂っていた。

その危うい雰囲気の中、両陣営に動きがあった。

集団の先頭に立っていた同じような豪奢な皮鎧を着こんだ男が前に出てくる。

その二人こそ対立する二つの一族、マクルとクルトの頂点…如いては、この山の頂点に成りうる二人でもある。

二人はお互いの獲物がギリギリ届かない位置まで歩み寄る。


『どちらがこの山、クルルに相応しいか…長きに渡る争いに決着をつけよう』


『フン、元よりそのつもり…山を去る準備はしてきたか?軟弱なクルトの一族よ』


『ぬかせ、それはこちらの台詞だ。鳥の前にお前達を蹴散らしてくれる』


『ハッ!それこそ俺っちの台詞よ。お前ぇ達はあの鳥の前座なんだよ』


両者は舌戦とも呼べぬような拙いな言い争いをした後しばし睨み合い、踵を返し再び自陣営へと戻る。

そして、勢い良く振り返り両手を大きく広げ、己が誇る戦士達を鼓舞する


『共に行こう!誇り高きクルトの戦士たちよ!!あの誇りなき蛮族を見事打ち倒そうぞ!』


『俺っちに遅れんじゃねぇぞ!?勇敢なるマクルの戦士達よ!我らが力にてあの軟弱者共を蹴散らそうぞ!!』


戦士達はその声に応えるように雄たけびを上げ、闘争心を最大にまで引き上げる。

その気迫により、その場周辺にいる魔物は逃げ出し、木々は脈動するかのようにざわめく。


『『全員、突撃…』』


そして今正に、決戦の火蓋が切って落とされようとした瞬間。


『あ、あの鳥は!?』


突然戦士の慌てたような声が戦場に響き渡る。

そしてその一拍後に


『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』


地を揺るがす程の咆哮が空から降ってきた。

皆が上空を仰ぎ見てみると、そこには出たばかりの日をバックに、翼を大きく広げた姿の、深緑の巨大な鷹…

ある神話では「死者を呑み込む者」という意味の名を持つ存在…

凶鳥『フレスベルグ』が戦士達を見下ろしていた。



「あらら、予想外の展開になったな…」


突然のフレスベルグの登場に、先程までの闘志は何処へやら慌てふためく戦士達。

その様子を煉夜は木の上から眺めながら呟く。彼は族長にはああ言ったものの、シルヴィアの行方が知らない今、無駄に動かずトラブルメーカーである彼女が来そうなトラブルの場であるこの場に足を運んだのだ


…というのは建前で、本当は珍しいもの見たさに来ただけなのだが…


「しっかし、パニくりすぎだなぁ、オイ。

戦士を名乗るなら不測の事態でも対処してもらいたい所だが…」


などと批評しながらも動く気配の無い煉夜。

どうやら本格参戦するつもりはないらしい。


ま、一飯の恩もあるし、ピンチになったら手伝おうかね


彼がそんなことを考えているうちに、フレスベルグが両陣営の丁度中間に降り立ち、暴れ始める。

それにより戦士達は爪で切り裂かれ、翼が起こす風により吹き飛ばされ、少しずつその数を減らしていっている。

しかし、自分達を狙う敵が目の前にいるにも関わらず、誰も動こうとしない。否、動けない。

フレスベルグから放たれる威圧感が、殺気が、何より迫りくる死の恐怖が、皆の足を地に縫い付けて離さないのだ。


おいおい、もうかよ…


煉夜はその様子を見てつまらなそうに溜め息を吐くと、魔力を練り上げる。

だがそこへ、力強い声が響き渡る。


「争っている場合?目の前にあなた達の仇敵がいる。

ならあなた達のするべきことは?

慌てること?怯えること?逃げ出すこと?

違うわよね。

あなた達は勇敢にして誇り高き戦士…じゃあするべきことは一つの筈よ」


その声は決して大きな声ではないが、スルリと耳に入ってくる。

挑発するような、それでいて鼓舞するかのような言葉。

その言霊に込められし意志は、困難に負けない勇敢さと、決して挫けない誇り高さ

それは戦士達に浸透するかのように響き渡り、彼らの瞳に力を取り戻させるには十分だった。


『ハァ、また忘れる所だったぜ…』

『あぁ、昨晩思い出したばかりだってのに…』

『そうだ、俺達はまだ何もしていないじゃないか』

『このまま喰われてたまるかよ』


一人が闘志を取り戻し、己を鼓舞するかのように呟くと、それは伝染するように広がっていき、大きなざわめきとなる。

更にそのざわめきは徐々に雄叫びへと変化していき、最終的にはその場全ての戦士に力が甦った。

そこから彼らの快進撃が始まった。剣で斬り、槍で穿ち、鎚で叩き、斧で裂き、弓で射抜く。

いくら吹き飛ばされようとも、いくら傷つこうとも、彼らは決して臆することも退くこともせずに立ち向かう。

誇り高く勇敢に…

その戦士達の怒涛の攻めにより、徐々に傷付いていくフレスベルグは、翼を大きく広げる。

そして、その翼を羽ばたかせ、逃げるかのように空へと飛んでいく。


『見ろよ!逃げていくぞ!』

『やった、追い払ってやったぞ!』

『ざまぁみろ!!』


飛んでいくフレスベルグを見て歓喜する一同。

しかし、喜ぶ戦士達を尻目に、族長二人には嫌な予感を感じていた。

それは長年この山で魔物達と戦ってきた経験と勘が告げる警報。


「グルルルルル…!」


『!?』


そして二人は見た。

フレスベルグの瞳には、未だに闘志が微塵も失せていないことを


『マズイッ!!すぐに弓を番えろ!!』


『奴を空へと逃がすな!

何でもいい、奴を撃ち落とせぇ!!』


フレスベルグは空を急旋回し、戦士達の方へと向き直ると口を大きく開く。

族長の怒号に戦士達は慌てて弓を番えるが、気付いた頃にはもう遅く、フレスベルグは既に矢の射程範囲外まで飛んでおり、その大きく開いた口に、膨大な風の力が収束されていく。

どうやらフレスベルグは、戦士達を捕食の対象ではなく殲滅すべき敵と認めたらしい。


『おい…なんだよアレ……』

『風…か?』

『あんなの放たれたら…』

『クソッ!どうすれば…!』


その力は優にこの山の一部を吹き飛ばす程の威力を秘めており、それを本能的に悟った戦士達はその荒れ狂う力の奔流の前に死の覚悟をした。


その時だった。


「堕ちろ阿呆鳥」


何処からとも無く聞こえてきた呟きと共に、世界が何者かに支配されたかのように灰銀色に染め上げられる。それと同時に、収束されていた風の力は消え失せ、空に留まっていたいたフレスベルグは、羽ばたいているにも関わらずその体は急速に落下し、地面に勢い良く叩きつけられる。

更に、落下したフレスベルグに向かって幾十もの武器が上空から降り注ぎ、フレスベルグの翼を正確に貫いていく。


「ギャオオオオオオオオ!!?」


フレスベルグは悲痛な叫びを上げる。

その翼は数多の武器の襲撃を受けて傷つき貫かれ、見るも無残なまでにボロボロになっている。これではもう飛ぶことはできないだろう。

戦士達は突然の事態に皆が呆然としていると、クルトの族長にだけある声が聞こえてくる。


「これで一飯の恩は返したぞ。

後は自分達で片付けろ」


それは、自分達の目を覚ましてくれた、不思議な雰囲気をした少年の声だった。

「…今起こったことについては何も言うまい…ただ、感謝するぞ少年」

族長はその声に口の中でそう礼を言うと、すぐさまフレスベルグに向かって駆けながら戦士達に号令をかける


『何を呆けてやがるお前達!!今が好機だ!クルトの誇りを見せ付けてやれ!!』

『マクルもだ!てめぇらクルトに先越されやがったら承知しねぇぞ!!?』


二人の族長の声に我に返った戦士達は、雄叫びを上げながら再びフレスベルグへと特攻していく。

一つの一族は決して退かず、勇ましく誇り高く

一つの一族は決して臆せず、雄雄しく勇敢に

そして二つの一族は一丸なり、自分達の山に仇す存在を追い込んでいき


『『ハアァァァァァァァァァァァァァァ!!!!』』


マクルとクルト。二つの族長が高く飛び上がり、フレスベルグの額に己の獲物を同時に叩きつけた。


「ギャオオオオオオオオォォォ……」


その一撃によりフレスベルグは甲高い咆哮を上げ、それを最後にそのまま息絶えた。


『ハァ、ハァ、やった…のか…?』


『あぁ、やったんだ…!』


『俺達の勝ちだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!


フレスベルグの死を確認すると、戦士達は一斉に勝ち鬨を上げる。

そこに最早対立しあっていた二つの一族などは無く、皆が喜びを分かち合い、お互いを讃え合うその光景は、一つの家族のようにも見えた。


『けっ、見ろよあいつらをよ。いがみ合ってたのを忘れて喜び合ってやがる』


『それは俺達とて同じことだろう』


『…あぁ、そうだな』


族長二人は、今にも宴会騒ぎになりそうな程騒いでいる仲間達を少し遠くから眺める。


『あぁ〜あ、折角覚悟まで決めて来たってのに、今のあいつら見てたらいがみ合ってたのが馬鹿みたいに思えてきちまった』


『奇遇だな。俺も丁度そう思っていた所だ』


『…おい、クルトの』


『何だ、マクルの…』


『お前ぇ達中々やるじゃねぇか。ちっとばかし見直したぜ』


『…ふっ、お前たちもな』


そして二人は顔を見合わせ笑い合った。

その様子を近くの茂みから眺める影が二つ

一人は微笑ましそうに手を取り合っている族長二人の様子を眺め、もう一人は木に気怠げに凭れ掛かり眠そうに欠伸をかみ殺している。

その二人とは言わずもがな、つい先程合流を果たしたシルヴィアと煉夜であった。


「うんうん、仲良きことは美しきかな…」


「…喧嘩後の高校生みたいなノリだな。

ま、何はともあれ、あるべき形に戻った…って所か?」


「あるべき形?」


煉夜の言葉に視線を彼の方に向け、首を傾げるシルヴィア。


「疑問に思わなかったか?違う民族であるあいつらが何故普通に会話できてるとか…」


「あ、そういえばそうね。世界回ってきたけどあんな言語初めて聞くし…」


「その初めて聞く言語をノリで理解できるお前はなんなんだろうか…まぁ、それはいいとして、あくまでこれは俺の推論だが、恐らくあの二つの民族は元々一つの民族だったんじゃねぇか?」


彼らは言語、格好、集落、戦闘力、戦闘法、ついでに族長が酒好き…それら全ての点が酷似している。

それらの点と、その他様々な要素を用いた彼の推論は、概ね的を射てていた。

シルヴィアも思うところがあったのか、頷いている。


「なるほどねぇ…つまり、マクルとクルトで『マクルト族』って感じ?」


「知るか。言ったろ?これは推論にすぎない」


もう興味が無いといった素振りで、彼は手をヒラヒラと振り、視線をチラリとシルヴィアに向ける


「ま、それはいいとして…随分面倒な仕組みをしたものだな。いつもの気まぐれか?」


「ん〜、それもあるけど、今回はちょっとしたお節介かな。

マクルの族長さんが『クルトと鳥のせいで気分良くお酒が飲めない』って言ってたのよ。やっぱりお酒は楽しんで飲んで欲しいからね〜」


そう、戦が始まる直前にフレスベルグをあの場に誘き寄せ、更に戦士達を煽り、団結させたのはシルヴィアの差し金だったのだ。

煉夜からしてみれば、無駄な干渉をするな、めんどくさい…と、言いたいところなのだが、記憶に無いとはいえ彼もまたクルトを嗾けて干渉してしまった為に、あまり強くは言えない。


「また妙な理由だな…なら目的であるあの鳥をさっさと殺って、あの二つを搗ち合わせればよかったものを…」


「それでも良かったんだけどねぇ、あのままあの二つの一族が争っていたら、どちらが勝ったとしてもやっぱり気分良くはならないと思ったのよ。

やっぱお酒好きがお酒を飲むなら、気分良く飲まないと嘘だしね〜」


「結局酒かよ…ま、要するに、共通の強大な敵を出現させることで奴らを団結。あわよくば和解させようとした、と…やれやれ、いろいろと穴だらけな計画だが、よく成功したもんだ…」


少なくともフレスベルグは、一流の魔導士でもそこそこ苦戦するようなCランク魔獣だ。

魔法が使えない生身の人間が束になっても勝てるような相手ではない。

それこそ体術や『気』での戦闘を生業とする武導士でもない限り。

それなのに彼らは、多少の介入こそあったものの、あの鳥を見事下したのだ。

そのことに煉夜は密かに驚いていたりする。


「何言ってるのよ。私と貴方がいるのよ?失敗するはずないじゃない♪」


満面の笑みを浮かべながら断言するシルヴィアに、どんな理屈だ…と、呆れながら思う煉夜。

だが、彼女はできないことは絶対に言わないし、何より彼女に理屈は通用しないのを理解しているため、口には出さず、苦笑を返すだけに止める。


「ハァ…まぁ別にいいがな。

それで?よかったのか?」


「ん?何が?」


「あの鳥が今回の目的だったんじゃなかったのか?」


「あぁ、それなら大丈夫よ。目的はこれから達成するから」


「あ?どういうこと――――あぁ、成る程ね」


二人はここから少し離れた上空から、強い気配の大群が迫ってきているのを感じる。

その気配を感じて煉夜は納得の声を上げると、その正体を確認するため、瞳を閉じ『把握』を発動、襲撃者達が迫り来る空まで展開する。そして、その気配の正体は、彼の予想通りのモノであった。


「あの鳥の大群か…どうやら最後の咆哮は仲間を呼ぶ為のモノだったらしいな」


その気配の正体とは、先程二つの一族が倒したフレスベルグが、死の間際に呼び寄せた仲間の大群だった。

煉夜は『把握』を解き目を開けると、シルヴィアに「どうすんだ?」と気怠げに尋ねる。


「決まっている。真正面から打ち滅ぼす」


投げやりな問いの応えは、冷たい声で返された。

その返答に違和感を感じた煉夜は、視線をシルヴィアに向けてみると、そこにいたのは一人の魔王だった。

眼光は冷たく鋭利に細められ、身に秘めた莫大な魔力は彼女を中心に渦を巻くかのよう解き放たれる。

更に全身には燃えるように荒々しい闘気と覇気を纏い、その雄雄しく勇ましい姿はまさに威風堂々。

それは、普段穏やかで陽気な彼女の謂わば臨戦態勢。

これぞ魔道の最高峰に君臨せし天壌之三位、魔王シルヴィア・ヴァレンスの真の姿。

それを見た煉夜は、僅かに驚いた顔をした後、珍しい物を見たといった風にニヤリと笑う。


「へぇ、随分と珍しいな。

あの程度の連中にお前がマジになるなんざ」


「何、彼らの勝利に水を差そうとする輩を潰そうと思ってな…」


「へぇ…ま、こんなことしてる間にも敵さん迫って来てるし、とりあえず戦場そらへと移動するとしようか」


煉夜がそう言うと、二人の目の前に灰銀色の『門』が出現する。

それは敵が迫ってきているであろう空へと繋っている。

シルヴィアは一つ頷き『門』を潜ると、煉夜もその後に続き『門』を潜った。




二人はクルルマウンテンの遥か上空に位置する場所に繋げた『門』から空へと出る。

高度は4000m以上。日が出たばかりの空はどこまでも青く美しく、眼下には雲で霞んで見えるが、クルルマウンテンは勿論、その近くに位置する森や、遥か先にある町までの壮観な景色を一望すことができる。

しかし彼らはそれらには全くの興味を向けず、煉夜はすぐさま『創造』により半透明の灰銀色の足場を創り、その上に着地する。そこから更に、彼は『空間』を操作し、自分達の周辺の気圧や温度などを地上と同じにする。

高度4000m。

この場所は、少し運動しただけでも酸欠になるほど空気が薄く、気温は優に氷点下を超えている。決して人がマトモに戦闘できるような環境ではない。しかし彼は、そのマイナス要素を魔法により払拭したのだ。


「…相変わらずの特異な魔法だな」


「我が事ながら同感だ。

さて、舞台は整えたぞ。サポートは必要か?」


「貴方が出るまでも無い…私だけで十分だ」


「そうか、なら久々のお前の本気を傍観させてもらうとしよう」


そう言うと彼は、自分の役目は終わったと言わんばかりにシルヴィアの後ろへと下がる。

彼女はそんな彼に礼をすると、前方を見据える。

そこには、風を纏い猛スピードで接近してくる緑のが見える。

それこそ標的であるフレスベルグの大群である。

彼女はそれらを確認すると足元から魔方陣を出現させ、手を大きく天に掲げる。そして、獰猛な笑みと共に呪文を唱える。


「これは、私から戦士達へ送る祝砲だ。

『我が手に来たれ、九つの堅牢に封じられし災厄よ!

今こそ終焉の(とき)

其は悲哀、絶望、破滅を振り撒きし煉獄の業火!!』」


高らかに唱えられた呪文により、彼女の強大な魔力がマナを媒体とし、圧倒的な力となって渦を巻くように彼女の手に集っていく。禍々しいほど紅く、神々しいまでの光を放ちながら…


「いきなり全力か…こりゃすぐに終わるな…」


その力の余波で衣服と髪を靡かせながら、煉夜は予想ではなく確信を以て呟く。


今から始まるのは正々堂々とした戦闘ではない。


正々堂々とした真正面からの蹂躙。 


それから10分後、フレスベルグの大群は圧倒的な力の下殲滅された。








「やれやれ、こいつの全力を見誤った俺が馬鹿だった…」


クルルマウンテンから遠く離れた道路にて、のんびりと歩きながら煉夜は気怠げに呟く。

その原因は先程の殲滅戦にある。

彼はシルヴィアが魔法を放つ前に、その光景が地上の人目に付かないないよう、空間隠蔽の結界を張ったのだ…が、彼女の代名詞とも呼べる広範囲殲滅魔法の威力が煉夜の予想を上回り、フレスベルグの大群ごと結界を破壊してしまったのだ。

その結果、空で起こった一種の災害の如き光景を偶々見ていた一般人が、慌てて騎士団にこのことを連絡してしまい、要請を受けた騎士団と鬼ごっこをするハメに……尤も、鬼ごっこと言っても、途中から逃げるのが面倒になり、逃げる側が追ってきた鬼を全員伸すという、逆鬼ごっこになってしまったが…


それにしても、やっぱこういう事態に備えて政府か協議会にコネでも作っておいた方がいいのかね…?


「煉夜、煉夜!」


煉夜が半ば真剣にこれからのことを考えていると、先を歩いていたシルヴィアは燃えるような真紅の髪を靡かせ、満面の笑みを浮かべながら此方に振り返る。

その誰もが見惚れるような笑顔に、煉夜は嫌な予感を感じられずにはいられない。

この笑顔をしている時の彼女は、大抵碌なことを考えていないからだ。


「海に行きたい!!」


予感的中。

いつもの如く放たれるシルヴィアの思いつき発言に、煉夜は辟易しながら眉間に皺を寄せ、こめかみを指で叩く。この二人旅は、元は彼女が自分に付いて来る形で始まった…筈なのだが、何故今は彼女が主導権を握っているのだろうか?

毎回そう思わずにはいられない。

しかし、彼女に抗議をした所で、口論になり、全力で駄々を捏ねられ、最終的に面倒になり承諾する…という流れが容易に想像できるので、半ば諦観している。


行く宛ても目的も無いし、基本的に面白いからべつにいいんだがな


まぁ、本人はハプニングとトラブルに塗れた現状を気に入っているようなので、問題無いのだろう

ハプニングとトラブルは人生を彩る香辛料…それが彼の持論らしい


しっかし山の次は海か…本当に突拍子無ぇな…まぁこの思いつき発言も最近慣れてきたが…


「やれやれ、今度は何だ?」


「リヴァイアサンを見てみたい!」


前言撤回

多少慣れたつもりだったが、この突拍子の無さはそうそう慣れられるモノではなかったらしい。


「よりにもよってSランク魔獣…それも海神の一角かよ…下手すりゃ死ぬぞ?」


「大丈夫よ。私と煉夜ならねっ♪」


呆れ果てている煉夜に対し、シルヴィアは楽しげに笑いながら手を差し伸べる。

その真っ直ぐな笑顔を見て眩しげに煉夜は目を細める。


「ハイハイ。仰せのままに、『煉獄姫れんごくき』様」


そして、彼はそんな彼女に苦笑を浮かべながら、わざとらしい程恭しくその手を取る。


「うんうん、くるしゅうないぞ、『神域』君♪」


その煉夜の態度に楽しそうに益々笑みを深めるシルヴィア。

二人は出会ってからまだ数ヶ月しか共にいない。

しかし、この二人の間には確かな絆があった。

それは何で繋がっているのかはわからない。

だが、例え敵同士になろうとも、この絆はそう簡単には切れないと、二人は自覚こそ無いが感覚的に感じていた。


「で?どこの海に行くかは決まってるのか?」


「えっ?」


「えっ?」


『……』


尤も彼らにとっては、そんな絆云々なんてことはどうでもいいことなのかもしれない。

ただ一緒にいれば楽しそう。

それだけで共にいるに足る理由になるのだから。




「――ん―――の―か?―――れん―――煉!聞いているのですか!?」


「んぁ?」


いきなり耳元からの大音量。それにより俺は我に返る。

その音源に目を向けてみると、お嬢が心配そうに此方を見ていた。


「…なんだ?」


「なんだ?ではありません!さっきから話しかけているのにずっと上の空で…どうかしたのですか?」


「ん?あぁ、今日何か面白い番組はあったかね、と考えていただけだ」


俺は片手をヒラヒラと振りながら適当に誤魔化し、もう片方の手で味噌汁を飲む。

その味噌汁はすっかり温くなっており、味も風味も幾分か落ちていた。

どうやら俺は、思ったより長く追憶に耽ていたらしい。


「番組ですか?今日は確か…『グルルン滞在記』がありましたね」


「あぁ、あの妙に間延びしたナレーションの」


俺のあからさまな誤魔化しの言葉に、律儀に考え返答してくれるお嬢に内心苦笑する。


素直だねぇ。

アイツがいい女ってなら、お嬢はいい娘って感じだな


そんなどうでもいいことを考えんながら、俺はお嬢と適当に談笑しながら冷めた料理を胃に収める。

元々上品に飯を食べるお嬢は食事速度が大分遅いが、俺は少々長いこと物思いに耽ていた為、食事が終わるのは同じぐらいだった。

俺達は食い終わった後水を一杯飲むと席を立つ。


「さて、飯も食い終わったことだし、帰るか」


「ハイ、そうですね」


歩き出す俺の少し後ろから付いて来るお嬢。

そして食堂から出ると、外はすっかり暗くなっており、空には三日月が輝いていた。

そこでふと俺は過去を思い返していたせいか、ある知人の教えを思い出す。


「あぁ、そういや女の夜道は危険らしいからな。必要なら送ってくが?」


「え?い、いえ!そ、そんな煉の手を煩わせるなんて!…で、でも確かにこの前のようなこともありますし、お、送ってくれるというならばそれに越したことはないですけど…しかし…」


お嬢は顔を赤くしながらどもりまくると、俺の顔をチラチラと見る。

そして、もじもじと、恐る恐る聞いてくる


「…お、送り狼に、なりません、よね…?」


その問いと態度に俺は腹の内で爆笑しながら、表面上は歪み一つない微笑を浮かべ、肩を竦める。


「生憎、そこまで女に餓えてもいないんでね」


「え!?ど、どういうことですか!?」


「さてねぇ…」


詰め寄ってくるお嬢を適当にはぐらかしながら、お嬢を送るべく女子寮付近まで歩いて行く。


「ま、待ちなさい煉!説明しなさい!」


その俺の後ろを顔を真っ赤にしたお嬢が追っかけてくる。

あの頃の刺激的でスリリングな毎日も楽しかったが、どうやら俺はこんな生温い生活も楽しいと感じてきてしまっているようだ。

それが俺にとって幸か不幸かはわからんが、まぁいつも通り、愉快に生きさせてもらうとしよう。

空に浮かぶ三日月は、そんな二人を微笑ましげに見るかのように、優しく辺りを照らし出していた。




[おまけ]


「ふぅ…こんなもんかね」


時刻は夜中の10時。

一通り生徒の夕飯を作り終えた食堂のおばちゃんは、誰もいない食堂の掃除を終えると、カウンター奥にある休憩用の椅子に腰掛け、備え付けられているテレビ(おばちゃん専用)に電源を点ける。

おばちゃんが面白い番組は無いかとリモコンでチャンネルを変えていると、食堂の入り口の扉が開き、恐らく鍛錬服なのであろう、ライダースーツと軽鎧を混ぜたような服(?)を着た銀髪の少女が入ってくる。

その少女はカウンターの横に置かれてある券売機に硬貨を投入し、出てきた券を取ると、カウンターの奥でテレビを見ているおばちゃんに声を掛ける。


「すみません、日替わり定食セットをお願いします」


「あら、いらっしゃいフィリスちゃん。今日もこんな時間まで鍛錬かい?」


こんな時間に来た少女…フィリスに、おばちゃんは顔色一つ変えずに笑顔で対応する。

どうやら彼女はこの時間帯によく食堂を利用しているようだ。

尤も、既に食堂の利用時間は過ぎているため、何かしらの理由がありそうだが…


「ええ、私はまだまだ未熟ですので…」


「偉いねぇ。毎日毎日こんな時間まで…よし!そんな頑張り屋なあんたには腕によりをかけて作って上げるよ!いっぱい食べるんだよ」


「ありがとうございます」


おばちゃんはフィリスから食券を受け取ると腕まくりをし、気合い十分に厨房に入っていく。

フィリスは席に着くと、ふとカウンターの奥で点けっぱなしになっているテレビに目を向ける。

そこには…


『人気アイドルの姫川葵が〜〜、義と勇を重んじる〜〜、『マルクル族』に〜出会った〜〜〜』


番組のOPで、今人気絶頂のアイドルと、紅白の鉢巻をした族長二人が酒を片手に肩を組んでる姿が映っていた。

今日も世界は平和です

ハイ、外伝が無事(?)書き終わりホッとしているとなラーです。

途中まではノリノリだったんですが、これは所々省略しないと収まらないと気付き、いろいろ削りました…ハイ、言い訳です。

しかし、このクルルマウンテン編は何話にも分けて書きたかった…不完全燃焼です…

まぁ、また機会があれば今度はちゃんとした企画を立てたいですね。


次からは普通に本編を再開します!

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