九十秒だけ、眠れ
赤い光は、最初、細い糸みたいに見えた。
壁の継ぎ目が開いた暗がりの奥で、一本だけ静かに灯っている。
それなのに、地下室の誰よりも強くこちらを見ていた。
> `DEFENSE SUBROUTINE PARTIAL WAKE`
白い文字が浮かぶ。
意味は全部分からない。
でも、身体が先に嫌がった。
あれは灯りじゃない。
こっちを照らすための光じゃない。
こっちを見つけるための光だ。
「動くな」
ドルフが低く言った。
誰に向けたのか分からない声だった。
自分に言い聞かせているようにも聞こえた。
壁の隙間が、もう少しだけ開く。
暗がりの中から現れたのは、腕だった。
人の腕ではない。
関節の少ない黒い筒。先端に、赤い線を宿した細い目がひとつだけついている。金属に見えるのに、長い眠りの埃も錆もほとんどなかった。ずっとそこで待っていたものの顔だった。
ユノが息を呑む。
札を持つ手が、はっきり震えた。
「……何ですか、あれ」
誰も答えなかった。
答えられる人間が、ここにはいなかった。
そのとき、石段の上から足音がした。
「奥様!」
戻ってきたのはガレスだった。
雨色の外套の裾に夜露をつけ、短槍を握ったまま地下へ駆け下りてくる。短く刈った栗色の髪が汗で額に張りつき、左の眉の古い傷が薄い灯りの下でいっそう濃く見えた。黙って立っているだけで夜道に慣れている男だったが、今はその慣れより先に、急いで戻ってきた息の荒さがあった。
「ミナは村まで下ろしました。見回り番に預けています」
それを聞いて、リリエルの胸のどこかが少しだけ緩んだ。
あの子は無事だ。
ガレスは地下室の様子を一目で見た。
中央の板。壁の溝。開きかけた隙間。その奥の赤い光。
立ち尽くしたのは一瞬だけだった。
すぐに槍を構え直す。
「……何をすればいい」
いい問いだ、とリリエルは思った。
何なのかではなく、何をすればいいか。今必要なのは、それだけだった。
だが、答えるより先に赤い光が動いた。
細い線が、ドルフの肩へ滑る。
次にユノ。
セレス。
リリエル。
ガレス。
ひとりずつ、ゆっくり止まる。
選んでいる。
「伏せろ!」
ドルフが叫んだ。
次の瞬間、赤い線の先から、音もなく白い閃きが走った。
板の横の棚が斜めに裂ける。
硬いものが一瞬で熱を持って砕ける音。並んでいた魔石のうち二つが床に跳ね、ひとつはそこでぱきりと割れた。遅れて、焦げた匂いが立つ。
ユノが後ずさる。
母がリリエルの肩を引く。
ガレスが一歩前へ出て、槍の柄で赤い筒を払った。
金属がぶつかる鈍い音。
手応えはあった。
だが浅い。赤い目は一瞬揺れただけで、すぐまたこちらへ戻る。
「硬ぇな」
ドルフが吐き捨てた。
視界の奥で、白い文字がせわしなく流れる。
> `MANUAL OVERRIDE REQUIRED`
> `DEFENSE TARGETING ACTIVE`
> `FALLBACK AUTHORIZATION AVAILABLE`
待っている。
またその文が出る。
> `Fallback authorization waiting...`
喉の奥が熱くなる。
何を待っているのか。
誰を待っているのか。
分からないのに、そこだけ妙に近い。
そして、その近さに、少しだけ心当たりがあった。
さっき見た、白い天井。
光る薄い面。
長い指。
知らないはずなのに、指先だけが知っている作業。
言葉ではなく、口の形だけが喉に残る。
「リリエル」
母の声が飛ぶ。
「できることは」
短い問いだった。
でも、それで十分だった。
説明ではなく、手順。
リリエルは板を見た。
白い文字の列。
赤く点滅する警告。
右端に、ほかより少し暗い欄。
そこへ触れればいいと、指先が知っていた。
怖い。
でも、止まるより先に手が動いた。
「待て!」
ドルフの声を背中で聞きながら、リリエルは板へ走る。
ユノの祈りが重なった。
「天の火よ、夜を裂く清き輪となりて、
我らを外つものより守り給え。
乱れしものを境の外へ退け、
今ここに、ひとときの拒みを置け——!」
祈り札が白く燃え、薄い光の膜がリリエルと赤い目のあいだへ滑り込む。完全ではない。だが、一瞬だけ筒の先が軋むように明滅した。
その一瞬で十分だった。
リリエルの指が、板の暗い欄に触れる。
冷たい。
その冷たさの下に、別の感触がある。
そして、喉が勝手に動いた。
「保守権限。暫定承認。防衛停止」
知らない言葉だった。
自分で喋っているのに、自分のものではない音だった。途中で喉がひっかかる。それでも止まれない。
赤い目が、ぴたりと止まる。
板の上に文字。
> `AUTH: PARTIAL MATCH`
> `FALLBACK MAINTENANCE PRIVILEGE ACCEPTED`
> `DEFENSE SUBROUTINE: SUSPEND / 90 SEC`
九十秒。
意味が落ちてきた瞬間、リリエルは叫んだ。
「止まった! でも九十秒だけ!」
ガレスが即座に動いた。
一歩踏み込み、槍の石突で赤い筒を強く打つ。今度は抵抗が違う。さっきより鈍い。眠りかけたみたいに動きが遅い。
ドルフも横から短鉈を叩き込む。
火花。低い音。
筒の先端が斜めに歪み、赤い線が乱れて壁の方へ流れた。
ユノがその隙に札を二枚投げる。
「天の火よ、散らず、揺らがず、
今ここに留まりて、
眠りかけたものを縫い留めよ——!」
紙札は金属に張りつき、淡い光でそこだけを縫い留めた。
「今のうちに!」
母が言う。
リリエルは板にかじりついた。
九十秒しかない。
表示の下に、新しい欄が開いている。
> `EMERGENCY MAINTENANCE PATH`
> `Northern auxiliary line degraded`
> `Replace cell / Reset flow / Confirm route`
三つ。
替える。
流れを戻す。
経路を確定する。
「ドルフ!」
リリエルは壁の棚を指さした。
「左から三番目の、ひびの入った石! それを抜いて、右端の生きてる石と入れ替えて!」
「これか!」
「それ!」
ドルフはもう動いていた。
こういうとき、この人は速い。分からない言葉でも、工房の仕事に置き換わった瞬間に迷いが消える。
ガレスが赤い筒を槍で押さえつける。
広い肩で踏ん張ると、狭い地下室がさらに狭く見えた。傷の走る眉の下で、目だけがやけに静かだった。
母は板の脇を見ていた。
「ここ。細い欄が減っているわ」
リリエルも見た。
北へ向かう流れの量みたいなものが、脈打つたびに細くなる。
「そこ、右に。もっと」
母の細い指が、板の脇の溝を横へ滑らせる。
反応した。
北側の赤い点滅が、ひとつだけ白く戻る。
上の方で、かすかに灯りが点く音がした気がした。
「入れ替えた!」
ドルフが言う。
板の表示が変わる。
> `CELL REPLACED`
> `FLOW RESET PARTIAL`
> `ROUTE CONFIRMATION PENDING`
最後が残っている。
リリエルは板の線を見た。
村の見取り図に似た線。そのうち北へ向かう一本だけが、途中でわずかに揺れている。
祠から北端へ向かう途中。
丘の中腹。
「……そこ」
喉の奥に、言葉の形が落ちてきた。
「北側補助灯。経路修正。整列」
祈りではない。
願いでもない。
剥き出しの命令だった。
板の上の線が、ほんの少しまっすぐになる。
白い点。
赤い点。
白い点。
白い点。
白い点。
外で、今度ははっきり分かる音がした。
ぱちり。
ひとつ。
またひとつ。
北の補助灯が、順番に戻っていく。
同時に、赤い筒ががくりと力を失った。
ユノの札の光がふっと弱まる。
ドルフが追撃すると、今度は抵抗がなく、赤い筒は壁の隙間へ半ば落ち込むように沈んだ。
板の表示が変わる。
> `NORTHERN AUXILIARY CLUSTER STABLE`
> `DEFENSE SUBROUTINE RETURNING TO SLEEP`
誰も、すぐには喋らなかった。
狭い地下室に、五人分の荒い息だけが残る。
リリエルも、いつのまにか肩が小刻みに揺れていた。
母が最初に息を吐いた。
「……保ったのね」
確認するような声だった。
「今はな」
ドルフが答える。
その言い方で、完全には終わっていないことが分かる。
ユノは札を持ったまま、赤い筒が沈んだ壁の隙間を見ていた。顔色は悪い。だが真っ白ではない。崩れたあとに、別の足場を探している顔だった。
ガレスは槍を下ろし、短く息を吐いた。
「……さっきのは何だった」
傷のある眉の下で、目だけがまっすぐリリエルを見る。怖がってはいない。だが、警戒はしている。初めて見るものを、初めて見るまま受け止める兵士の目だった。
リリエルは答えられなかった。
代わりに、板の上へまた新しい文字が出た。
> `MAINTENANCE LOG AVAILABLE`
> `PRIMARY OPERATOR STATUS: LOST`
> `FALLBACK USER STATUS: PARTIAL`
> `RETURN WITH FULL AUTHORIZATION`
失われた。
本来ここを管理するはずだった誰かは、もういない。
だから仕組みは代わりを待っていた。
待っていて、リリエルが来た。
けれどリリエルは途中までしか通らない。
「まだある」
リリエルは小さく言った。
「何が」
母が聞く。
リリエルは板を見たまま答えた。
「この部屋だけじゃない。わたし、まだ途中までしか入れてない」
ドルフが顔をしかめる。
「今日は潜るな」
それは強い声だった。
反対の余地を残さない声。
「灯りは今、持ち直した。上はもう夜だ。灰牙の血も流れてる。これ以上やるなら、帰り道ごと危なくなる」
正しい、とリリエルは思った。
正しいからこそ悔しかった。
母がノートを開く。
「今日はここまでにしましょう」
そう言ってから、板を見て付け加える。
「でも、次は準備して来る。人も、道具も、紙も」
ガレスが低く言う。
「槍もいる」
ドルフが鼻を鳴らす。
「今の壁の腕みてえなのが、もう一つあったら面倒だ」
ユノは少し遅れて言った。
「……札も、持ってきます」
その声は少しだけ変わっていた。
祈りを捧げるためではなく、使える手順として持ってくる声だった。
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地上へ戻る階段は、下りるときより長く感じた。
上へ出ると、夜はもう村の輪郭を半分呑んでいた。
だが北の補助灯は生きている。さっきまで落ちていた場所に、細い青白い列が戻っている。
それだけで終わるなら、まだ良かった。
祠の前には、人がいた。
父だった。
エドガルは、いつもより厚い上着を引っかけただけで丘まで来たらしく、襟元が少し乱れていた。日に焼けた顔の疲れが、今夜は隠れていない。困ったときほど少し下がる眉尻が、今は下がる前で止まっていた。父の後ろには、見回り番が二人。さらにその下の坂には、灯りを持った村人たちまで集まりかけている。
誰も大声では騒いでいない。
でも、皆、祠を見る。
その次に、リリエルを見る。
見つかってしまった、とリリエルは思った。
地下の部屋だけではない。
そこへ入って、戻ってきた自分も。
「戻ったか」
父の一言は短かった。
怒っているようにも、安心しているようにも聞こえる。たぶん、その両方だった。
母が先に言った。
「北の補助灯は一度戻しました。今夜のあいだは保ちます」
「今夜のあいだは、か」
父の声が低くなる。
それを聞いて、後ろの村人たちのざわめきがさらに静まった。
今夜は大丈夫。
でも明日は分からない。
その意味は、誰にでも分かる。
父の視線が、祠の開いた床石を通り過ぎて、リリエルに落ちる。
重かった。
広場の村人たちの視線とは違う。
逃げないかわりに、逸らしてくれもしない視線だった。
「詳しい話は屋敷で聞く」
それだけ言って、父はガレスを見る。
「お前は先に下りて、村へ近づく奴を止めろ。今夜はここへ入れさせるな」
「承知しました」
ガレスが即座に動く。
その横でドルフが工具箱を持ち上げる。
「おっさんどもに覗かせたら、変に触るな」
「分かってる」
父は短く返した。
それから、ようやくリリエルを見る。
「お前は、一人で行ったのか」
「……違う」
リリエルは首を振った。
「みんなで」
父の眉がわずかに動く。
その返答が気に入ったのか、そうでないのかは分からなかった。
ただ、そのあとで父は叱らなかった。
叱るより先に、考えなければならないことが多すぎたのだろう。
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屋敷の書斎へ戻るころには、夜はすっかり深くなっていた。
父は椅子へ座る前に言った。
「最初から話せ」
応接間ではなく書斎なのが、余計につらかった。
ここは父が領主として話を聞く部屋だ。
ドルフが先に口を開く。
「祠が開いた。下に部屋があった。灯りは全部つながってた。北の補助灯が落ちたのも、そこで詰まりが起きてたからだ」
言葉は荒いが、順番は守っている。
工房の職人は説明が下手でも、嘘はつかない。
ユノが低い声で続けた。
「祈り場では、ありませんでした」
その一言がいちばん重かった。
父の顔色が変わる。
「では何だ」
ユノは答えられなかった。
代わりに、リリエルの方を見る。
その視線の中に、申し訳なさがあった。
自分では説明できないから、八歳の子どもに預ける。そのことを、彼は恥じているのだと分かった。
父の視線もこちらへ来る。
「リリエル」
呼ばれた瞬間、急に足元が頼りなくなった。
地下の板の前でも、赤い目の前でも、こんなふうにはならなかった。父に呼ばれるだけで、八歳の自分に戻る。
「お前は、何を見た」
何を、と聞かれても困る。
板。文字。地下の部屋。
でも、そんなことを言っているのではないと分かった。
父は続けた。
「お前だけが分かるものがあるんだな」
嘘は、つけなかった。
リリエルは小さく頷いた。
父の目が、ほんの少しだけ閉じた。
怒っているのか、疲れたのか、祈っているのか分からない顔だった。
「どうして黙っていた」
その声は静かだった。
静かだから、余計につらい。
「……言っても、たぶん分からないから」
「言わなければ、なお分からん」
「分かってる」
思ったより強い声が出た。
自分でも驚いたし、父も驚いた顔をした。
「分かってる。でも……言葉がないの」
喉が熱くなった。
泣きたいわけではない。けれど、泣く前の体に似ていた。
「見えるの。知らない文字が。分かるの。どう触ればいいか。でも、どうして分かるのかは分からない。だから、うまく言えない」
部屋が静かになった。
ランプの芯が小さく鳴く音だけがした。
父はしばらく何も言わなかった。
やがて、ゆっくり息を吐く。
「それで、危ない場所に入った」
「入らないと灯りが落ちた」
リリエルは言った。
言ったあとで、自分が父に言い返していることに気づいた。止められなかった。
「入らなかったら、もっと落ちた」
今度こそ父は怒ると思った。
けれど怒ったのは父ではなく、母だった。
「二人とも、そこまで」
声は高くなかった。
高くないのに、空気だけがぴたりと止まる。
「お父様は、あなたが死ぬかもしれなかったことに怒っているの。あなたは、入らなければ村が危なかったと思っている。どちらも本当でしょう」
真ん中に線を引く声だった。
父は机の縁に手を置いたまま、目を閉じた。
その横顔は急に年を取って見えた。困ったときに少し下がる眉尻が、今度はきちんと下がっていた。
「……そうだ」
短く言う。
「そうだ。私は、お前を危ない場所へやりたくない」
その言葉を聞いた瞬間、リリエルは急に怒れなくなった。
父は領主だから止めるのではない。
父だから止めるのだ。
「でも」
それでも、口は止まらなかった。
「でも、わたしにしか読めないなら、どうするの」
誰もすぐには答えなかった。
その沈黙のあと、それまで壁際で黙っていたガレスが口を開いた。
「一人で行かせなければいい」
全員が振り向く。
ガレスは入り口の近くに立ったまま、槍を壁へ預けていた。若いが、こういう部屋で余計な遠慮をしない男だった。
一度だけ父の顔色を見た。
それでも、黙ってはいられなかったらしい。
「読めるのがお嬢様だけなら、読む役はお嬢様にしかできない。なら、護る役を別につければいい」
父がガレスを見る。
怒りもしないし褒めもしない。ただ、本気で考え始めた人の顔になる。
「お前は簡単に言うな」
「簡単ではありません」
ガレスは即答した。
「でも今夜、それで北の補助灯は持ち直した」
正しい。
それが正しいとき、人は反論しにくい。
ドルフが鼻を鳴らす。
「俺も同感だ。あのお嬢ちゃんを地下に入れたくねえ気持ちは分かるが、入れねえと直らねえもんもある」
ユノも、少し遅れて頷いた。
「……私も、そう思います」
父はしばらく黙ったまま、机の上の地図を見ていた。
やがて、ゆっくりと椅子へ座る。
「分かった」
その一言で、部屋の空気が少し変わる。
「好きにしろ、という意味ではない。今後は勝手に行くな。潜るなら、私の許可を取れ。人をつける。時間を決める。準備なしでは二度と入らせん」
それは許可ではなく、条件だった。
でも条件が出たということは、完全な否定ではない。
リリエルは小さく頷いた。
「はい」
父は次に母を見る。
「記録はお前がまとめろ。ドルフさんは必要な道具を書き出してください。ユノ殿は、丘の祠について神殿に残っている古い記録を探れますか」
「探します」
ユノは今度は迷わなかった。
「ガレス。明日から北側の見回りを倍にしろ。祠へ近づく者がいたら止めろ。ただし、噂を広げるな」
「承知しました」
父は最後にリリエルを見た。
「お前は、今夜は寝ろ」
その言葉が、急に子ども扱いみたいで少し腹が立った。
でも、たぶん本当に眠った方がいい顔をしているのだろう。母が何も言わないのが、その証拠だった。
会議みたいなものはそこで終わった。
部屋を出るとき、母がリリエルに紙を一枚渡した。
帳簿の切れ端だった。
そこに整った字で短く書いてある。
見た順番を全部書きなさい。忘れる前に。
慰めではない。
母らしかった。
リリエルはその紙を見て、少しだけ笑いそうになった。
少しだけ、だけれど。
その夜、窓の外の北の灯りは静かに点いていた。
でも、もう昨日までの灯りではなかった。
その下に部屋があることを知っている。
その奥で赤い目が眠ることも知っている。
そして何より、今夜から、自分がそこへ入る側だと皆に知られた。
灯りの輪の外にあるものは、前より少しも遠くなっていない。
ただ、戻る道だけが少し狭くなった気がした。




