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# 第五十話:選択する世界


世界は、



まだ止まっていた。



空に浮かぶ巨大な魔法陣。



無数の“目”。



それは、



全てを見下ろし、



全てを決める檻。



「終わりだ、カイ」



バルザの声が、



世界そのものから響く。



「お前は、



すでに答えを見た」



「失わない未来を、



拒んだのだ」



カイは、



ゆっくりと前に出る。



血眼は、



燃えるように赤い。



「……ああ」



「拒んだ」



「だが、



答えはそこじゃない」



バルザの前に、



無数の未来が展開する。



世界が救われる未来。



世界が壊れる未来。



カイが死ぬ未来。



カイが生き残る未来。



その全てを、



血眼は“見ていた”。



「一つだけ、



見えない未来がある」



バルザが、



低く呟く。



カイは、



微笑んだ。



「それが、



人間だ」



彼は、



自分の胸に手を当てる。



「俺は、



未来を決めない」



「世界に、



返す」



その瞬間、



血眼が、



自らを閉じ始めた。



「なにを……!」



バルザの叫び。



「見える未来を、



捨てるのか!」



「捨てるんじゃない」



カイは、



静かに言う。



「委ねる」



血の光が、



空へと放たれる。



巨大な魔法陣に、



深い亀裂が走った。



“目”が、



次々と閉じていく。



世界が、



動き出す。



風が吹く。



剣が落ちる。



涙が、



地面に落ちる。



人々が、



再び選び始める。



「ば、



馬鹿な……」



バルザの存在が、



崩れ始める。



「管理なき世界は、



必ず争う……!」



「そうだ」



カイは、



はっきりと答えた。



「それでも」



「選ぶのは、



俺たちだ」



バルザは、



光の中へ溶けていく。



最後に残ったのは、



静寂。



そして、



ミラの声。



「……カイ」



彼女は、



駆け寄る。



世界は、



救われた。



だが、



代償は残る。



カイの瞳は、



もう赤くない。



血眼は、



二度と開かない。



それでも、



彼は前を見る。



「これからは」



「見えない未来を、



歩く」



ミラは、



強く頷いた。



「一緒に」



二人は、



止まっていた世界の中を、



歩き出す。



――選択する世界へ。



第一部・完。


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