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# 第五十話:選択する世界
世界は、
◇
まだ止まっていた。
◇
空に浮かぶ巨大な魔法陣。
◇
無数の“目”。
◇
それは、
◇
全てを見下ろし、
◇
全てを決める檻。
◇
「終わりだ、カイ」
◇
バルザの声が、
◇
世界そのものから響く。
◇
「お前は、
◇
すでに答えを見た」
◇
「失わない未来を、
◇
拒んだのだ」
◇
カイは、
◇
ゆっくりと前に出る。
◇
血眼は、
◇
燃えるように赤い。
◇
「……ああ」
◇
「拒んだ」
◇
「だが、
◇
答えはそこじゃない」
◇
バルザの前に、
◇
無数の未来が展開する。
◇
世界が救われる未来。
◇
世界が壊れる未来。
◇
カイが死ぬ未来。
◇
カイが生き残る未来。
◇
その全てを、
◇
血眼は“見ていた”。
◇
「一つだけ、
◇
見えない未来がある」
◇
バルザが、
◇
低く呟く。
◇
カイは、
◇
微笑んだ。
◇
「それが、
◇
人間だ」
◇
彼は、
◇
自分の胸に手を当てる。
◇
「俺は、
◇
未来を決めない」
◇
「世界に、
◇
返す」
◇
その瞬間、
◇
血眼が、
◇
自らを閉じ始めた。
◇
「なにを……!」
◇
バルザの叫び。
◇
「見える未来を、
◇
捨てるのか!」
◇
「捨てるんじゃない」
◇
カイは、
◇
静かに言う。
◇
「委ねる」
◇
血の光が、
◇
空へと放たれる。
◇
巨大な魔法陣に、
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深い亀裂が走った。
◇
“目”が、
◇
次々と閉じていく。
◇
世界が、
◇
動き出す。
◇
風が吹く。
◇
剣が落ちる。
◇
涙が、
◇
地面に落ちる。
◇
人々が、
◇
再び選び始める。
◇
「ば、
◇
馬鹿な……」
◇
バルザの存在が、
◇
崩れ始める。
◇
「管理なき世界は、
◇
必ず争う……!」
◇
「そうだ」
◇
カイは、
◇
はっきりと答えた。
◇
「それでも」
◇
「選ぶのは、
◇
俺たちだ」
◇
バルザは、
◇
光の中へ溶けていく。
◇
最後に残ったのは、
◇
静寂。
◇
そして、
◇
ミラの声。
◇
「……カイ」
◇
彼女は、
◇
駆け寄る。
◇
世界は、
◇
救われた。
◇
だが、
◇
代償は残る。
◇
カイの瞳は、
◇
もう赤くない。
◇
血眼は、
◇
二度と開かない。
◇
それでも、
◇
彼は前を見る。
◇
「これからは」
◇
「見えない未来を、
◇
歩く」
◇
ミラは、
◇
強く頷いた。
◇
「一緒に」
◇
二人は、
◇
止まっていた世界の中を、
◇
歩き出す。
◇
――選択する世界へ。
◇
第一部・完。




