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# 第四十八話:大陸規模の無選択


空が、



一斉に沈黙した。



太陽は昇っているはずなのに、



光が届かない。



大陸全域。



都市も、



村も、



戦場も。



すべてが、



同じ瞬間に止まった。



人々は、



立ったまま、



剣を振り上げたまま、



涙を流したまま、



動かなくなる。



――選択が、消えた。



「始めよう」



バルザの声が、



大陸そのものに響く。



「痛みのない世界を」



精神の檻の残骸の上で、



カイは、その光景を“見ていた”。



血眼が、



無数の未来を映し出す。



止まった世界。



争いのない都市。



笑顔だけが存在する人々。



――だが。



その未来のすべてに、



“意志”が存在しない。



「……これが、



お前の理想か」



カイの声は、



低く震える。



遠くで、



ミラが目を覚ました。



彼女の周囲だけ、



時間が流れている。



「カイ……?」



彼女の胸の光が、



血眼と共鳴する。



バルザが、



姿を現す。



「選択は、



苦しみを生む」



「ならば、



最初から与えなければいい」



大陸を覆う巨大な魔法陣が、



空に浮かび上がる。



それは、



無数の“目”の形をしていた。



「血眼よ」



バルザが叫ぶ。



「見えているはずだ」



「この世界が、



どれほど美しいかを!」



カイは、



ゆっくり首を振る。



「……確かに」



「壊れない」



「でも――」



血眼が、



さらに深く赤く染まる。



「生きていない」



その瞬間、



カイの足元から、



亀裂が走る。



精神の檻の残骸が、



完全に崩れ落ちた。



ミラが、



一歩、前に出る。



「私も、



見た」



「痛みはある」



「でも、



選べる世界がいい」



二人の意志が、



重なる。



だが、



大陸全体を覆う魔法陣は、



すでに完成していた。



止まった世界の中で、



動けるのは、



ほんのわずか。



最後の選択まで、



残された時間は――



あまりにも短い。


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