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# 第四十七話:血眼の覚醒
鼓動が、
◇
世界と重なった。
◇
精神の檻の中心で、
◇
カイは一人、
◇
立っていた。
◇
ミラの気配が、
◇
遠く、
◇
しかし確かに感じられる。
◇
「……生きている」
◇
その事実が、
◇
胸を焼いた。
◇
次の瞬間、
◇
激痛が走る。
◇
視界が、
◇
赤く染まった。
◇
右目。
◇
左目。
◇
両方が、
◇
内側から裂ける感覚。
◇
「来たか……」
◇
遠い記憶が、
◇
脳裏に溢れ出す。
◇
――血の儀式。
◇
――選ばれた子供。
◇
――泣き叫ぶ一族。
◇
『開眼すれば、
◇
世界を壊す』
◇
『だが、
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閉じれば、
◇
全てを失う』
◇
誰かの声。
◇
父か、
◇
母か。
◇
「……だから、
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俺は閉じていた」
◇
カイは、
◇
歯を食いしばる。
◇
だが今、
◇
閉じる理由はない。
◇
「守るものがある」
◇
瞳が、
◇
完全に開いた。
◇
血のような光が、
◇
空間を染め上げる。
◇
鎖が、
◇
悲鳴を上げて砕け散る。
◇
精神の檻が、
◇
崩壊を始めた。
◇
「これが……
◇
血眼」
◇
視界の先に、
◇
無数の未来が重なる。
◇
選択。
◇
後悔。
◇
犠牲。
◇
すべてが、
◇
同時に見える。
◇
「……酷い力だ」
◇
だが、
◇
それでも。
◇
「俺は、
◇
選ぶ」
◇
遠くで、
◇
バルザの声が、
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初めて焦りを帯びる。
◇
「その目を……
◇
使うな!」
◇
カイは、
◇
一歩踏み出した。
◇
血眼が、
◇
未来を切り裂く。
◇
精神の檻の外で、
◇
ミラの胸の光が、
◇
強く脈打った。
◇
二人の選択が、
◇
ついに重なろうとしていた。




