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# 第四十六話:鏡の中の恐怖
世界が、
◇
ひび割れた。
◇
精神の檻が軋む中、
◇
ミラの足元だけが、
◇
不自然に沈み込む。
◇
「え……?」
◇
次の瞬間、
◇
彼女の姿は、
◇
音もなく消えた。
◇
「ミラ!」
◇
カイの叫びは、
◇
闇に吸い込まれる。
◇
――
◇
目を開けたミラは、
◇
無数の鏡に囲まれていた。
◇
円形の空間。
◇
天井も、
◇
床も、
◇
すべてが鏡。
◇
そこに映るのは、
◇
無数の“自分”。
◇
笑うミラ。
◇
泣くミラ。
◇
怒るミラ。
◇
そして――
◇
何も選ばなかったミラ。
◇
「……違う」
◇
ミラは後ずさる。
◇
鏡の中の声が、
◇
一斉に囁いた。
◇
『あなたは、
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いつも誰かの後ろに立っていた』
◇
『選ばなかった』
◇
『選べなかった』
◇
頭を抱えるミラ。
◇
「やめて……!」
◇
すると、
◇
一枚の鏡だけが、
◇
歪んだ光を放つ。
◇
そこに映ったのは、
◇
幼い日の記憶。
◇
燃える村。
◇
逃げる人々。
◇
動けず、
◇
立ち尽くす自分。
◇
『あの時も』
◇
『あなたは選ばなかった』
◇
ミラの膝が、
◇
床に落ちる。
◇
「……違う」
◇
震える声で、
◇
彼女は言った。
◇
「怖かっただけ……」
◇
沈黙。
◇
そして、
◇
ミラは、
◇
ゆっくり立ち上がる。
◇
「でも」
◇
「今は違う」
◇
鏡に手を伸ばす。
◇
「私は、
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ここに立つと選んだ」
◇
「カイの隣に」
◇
鏡が、
◇
音を立てて砕け散る。
◇
一枚、
◇
また一枚。
◇
空間が、
◇
白く染まっていく。
◇
最後に残った鏡には、
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涙を流しながら、
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前を向くミラが映っていた。
◇
「……これが、私」
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その瞬間、
◇
彼女の背後に、
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小さな光が灯る。
◇
選択の証。
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精神の檻の外で、
◇
カイが、
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何かを感じ、
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静かに目を開いた。
◇
――
◇
二人の意志が、
◇
再び繋がろうとしていた。




