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# 第四十五話:裏切りと救済
精神の檻が、
◇
きしむ音を立てる。
◇
鎖の間に、
◇
わずかな裂け目が生まれた。
◇
その隙間に、
◇
別の影が差し込む。
◇
「……遅かったか」
◇
レオンだった。
◇
彼の瞳は、
◇
迷いと決意の狭間で揺れている。
◇
「来るな……」
◇
ミラが、
◇
苦しそうに声を出す。
◇
「ここは、
◇
心を喰う場所よ」
◇
レオンは、
◇
一歩、踏み出した。
◇
「分かっている」
◇
「だから、
◇
俺が来た」
◇
彼の背後に、
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別の光が揺らめく。
◇
バルザの残滓。
◇
「愚かな選択だ」
◇
声が嘲る。
◇
「再び裏切るのか、レオン」
◇
レオンは、
◇
歯を食いしばった。
◇
「……ああ」
◇
「今度は、
◇
自分を裏切る」
◇
その瞬間、
◇
レオンは胸元に手を当てる。
◇
古い紋章が、
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淡く光った。
◇
「代償は、
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俺の記憶だ」
◇
光が走り、
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精神の鎖を焼き切る。
◇
ミラの足を縛っていた鎖が、
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音を立てて崩れ落ちた。
◇
「レオン……!」
◇
ミラが叫ぶ。
◇
だが、
◇
レオンの表情は、
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すでに色を失っていた。
◇
「これでいい」
◇
「覚えていなくても、
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正しいことはできる」
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バルザの声が、
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怒りに歪む。
◇
「愚か者め……」
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檻が、
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激しく震える。
◇
カイは、
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その光景を見つめていた。
◇
「……ありがとう」
◇
小さく、
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確かに言った。
◇
レオンは、
◇
微かに笑う。
◇
「次は……
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お前が選べ」
◇
光が消え、
◇
レオンの影が薄れていく。
◇
裏切りは、
◇
救済へと変わった。
◇
だが代償は、
◇
あまりにも大きい。
◇
精神の檻は、
◇
完全には壊れていなかった。
◇
次に砕かれるのは、
◇
――誰の心か。




