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# 第四十話:ルール破壊
世界には、
◇
守られてきた
◇
ルールがある。
◇
そして――
◇
破られるための
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ルールもある。
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結界の中枢。
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黒い塔。
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都市を覆う
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全ての選択が、
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ここへ集まる。
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カイは、
◇
歩いていた。
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剣を抜かず。
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詠唱もせず。
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ただ、
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進む。
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道を塞ぐ
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仮面の兵。
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動かない。
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近づくだけで、
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膝が落ちる。
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「……バルザ」
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低い声。
◇
「聞こえているだろう」
◇
空間が、
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歪む。
◇
仮面の通信。
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《第四段階》
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《個体侵入を確認》
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嘲るような声。
◇
《君は、
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ルールを守る側だ》
◇
《王なのだから》
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カイは、
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立ち止まらない。
◇
「違う」
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「俺は、
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選ぶ側だ」
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床が、
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軋む。
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魔法陣が、
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勝手に崩れる。
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制御不能。
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結界の計算が、
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狂い始める。
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塔の最上階。
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バルザは、
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初めて、
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黙った。
◇
「……何をした」
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カイは、
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塔を見上げる。
◇
「簡単だ」
◇
「選択を、
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一人に集めた」
◇
「全員分、
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俺が選ぶ」
◇
空が、
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割れた。
◇
結界が、
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悲鳴を上げる。
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《警告》
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《選択系統、
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崩壊》
◇
《都市封鎖、
◇
解除不能》
◇
ミラの通信。
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「カイ!
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そんなことしたら――」
◇
「分かってる」
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「だからだ」
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塔の壁が、
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砕ける。
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重力が、
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反転する。
◇
カイは、
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宙を歩く。
◇
バルザが、
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初めて、
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仮面の下で
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歯を噛みしめた。
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「愚かだ……」
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「それは、
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王ではない」
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「自滅だ!」
◇
カイは、
◇
答えた。
◇
「知っている」
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「それでも――」
◇
「この世界に、
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選ばせない」
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結界が、
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完全に、
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割れた。
◇
都市に、
◇
光が戻る。
◇
だが――
◇
カイの背に、
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深い影が落ちた。
◇
代償は、
◇
これからだった。




