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# 第三十九話:再会は敵として
鉄靴の音が、
◇
街路に、
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規則正しく響く。
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結界内。
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治安部隊、
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王都鎮圧軍。
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先頭に立つ男。
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短い金髪。
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見慣れた背中。
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ミラは、
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息を呑んだ。
◇
「……レオン?」
◇
男は、
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振り返る。
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冷たい目。
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かつての仲間。
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今は、
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命令の剣。
◇
「久しぶりだな」
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レオンの声。
◇
「暴王」
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空気が、
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凍る。
◇
ミラが、
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一歩前へ。
◇
「違う!
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彼は――」
◇
レオンは、
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首を振った。
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「もう聞いた」
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「街は、
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一つ消えた」
◇
「理由は、
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どうあれ」
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「責任者は、
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目の前にいる」
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兵士たちが、
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槍を構える。
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カイは、
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前に出た。
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「俺だ」
◇
「止めに来たなら、
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剣を抜け」
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レオンの拳が、
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震える。
◇
「……俺は」
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「選ばない、
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と言った」
◇
「だが」
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「選ばないために、
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止める」
◇
剣が、
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抜かれる。
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澄んだ音。
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「暴王を、
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拘束する」
◇
命令。
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兵が、
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走る。
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瞬間。
◇
空間が、
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沈む。
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術式なし。
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詠唱なし。
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ただ、
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カイが立つ。
◇
兵士たちは、
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膝をついた。
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重力が、
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逆らわない。
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レオンだけが、
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踏みとどまる。
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「……相変わらず、
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化け物だな」
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カイは、
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目を伏せた。
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「そうだ」
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「だから、
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お前は人間でいろ」
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二人の間に、
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火花が散る。
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ミラは、
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叫んだ。
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「やめて!」
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だが――
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剣と、
◇
拳が、
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ぶつかる。
◇
再会は、
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敵として。
◇
そして、
◇
選択は、
◇
もう戻らない。




