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# 第三十八話:暴王
名は、
一度付けられると、
◇
剥がれない。
◇
広場。
◇
結界の下。
◇
人々は、
◇
距離を取った。
◇
恐怖。
◇
期待。
◇
そして――
◇
責任転嫁。
◇
「暴王だ……」
◇
誰かが、
◇
呟いた。
◇
「血の王」
◇
「選ばせる怪物」
◇
言葉は、
◇
刃になる。
◇
ミラは、
◇
歯を食いしばる。
◇
「違う……
◇
彼は――」
◇
カイは、
◇
手を上げた。
◇
止める。
◇
「いい」
◇
「それで」
◇
群衆が、
◇
ざわめく。
◇
仮面の兵が、
◇
動いた。
◇
《残り三十分》
◇
《未提出》
◇
警告。
◇
空が、
◇
赤く染まる。
◇
結界の一角が、
◇
軋んだ。
◇
カイは、
◇
一歩、
◇
前に出る。
◇
「俺が――」
◇
ミラが、
◇
腕を掴む。
◇
「ダメ!」
◇
カイは、
◇
彼女を見る。
◇
静かに。
◇
「誰かが、
◇
選ばれるなら」
◇
「俺でいい」
◇
その瞬間。
◇
地鳴り。
◇
遠方の区域が、
◇
光に包まれる。
◇
――消えた。
◇
悲鳴。
◇
沈黙。
◇
《第三段階》
◇
《区域消去、
◇
実行》
◇
人々は、
◇
膝をつく。
◇
「なぜ……」
◇
「差し出したのに……」
◇
カイは、
◇
歯を食いしばる。
◇
「……だからだ」
◇
「選択を、
◇
他人に投げたからだ」
◇
仮面の通信。
◇
バルザの声。
◇
《素晴らしい》
◇
《君は、
◇
よく似合う》
◇
《暴王の名が》
◇
ミラの涙が、
◇
落ちる。
◇
カイは、
◇
背を向けた。
◇
「……覚えておけ」
◇
「この名は、
◇
俺が背負う」
◇
「お前たちが、
◇
選ばずに済むように」
◇
群衆の上に、
◇
影が落ちた。
◇
王冠の形をした、
◇
影だった。




