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# 第三十六話:眼ではない


血が、


落ちていた。



石畳の上。



それは、


カイの血だった。



ミラは、


歯を食いしばる。



「もう……



やめて」



カイは、


答えない。



視界が、


歪む。



血の瞳が、



開いたまま、



震えている。



《ブラッド・アイ》



それは、


未来を見る力。



選択の結果を、



強制的に見せる力。



だが――



今回は、



何も見えなかった。



闇。



無音。



「……見えない?」



カイは、


笑った。



「違う」



「もう、



見る必要がない」



ミラは、



息を止める。



「それって……」



カイは、



自分の胸を叩いた。



ドクン。



心臓の音。



「選択は、



ここでする」



「眼じゃない」



「意志だ」



血の光が、



ゆっくりと、



消えていく。



代わりに。



胸の奥から、



黒い熱が、



立ち上る。



空間が、



軋んだ。



魔法陣も、



術式も、



存在しない。



ただ、



立っているだけで。



周囲が、



跪いた。



ミラの膝も、



震える。



「カイ……



今のあなたは……」



カイは、



彼女を見た。



優しく。



だが、



恐ろしく。



「王じゃない」



「怪物でもない」



「ただ――



選び続ける人間だ」



遠くで。



仮面の通信が、



割り込む。



《確認》



《ブラッド・アイ消失》



《第二段階、



完了》



ミラは、



唇を噛む。



「……戻れないね」



カイは、



前を向いた。



「ああ」



「最初から、



戻る道なんてなかった」



世界が、



静かに、



王を認識した。


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