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# 第三十三話:仮面の向こう
夜が、
地下都市を包む。
◇
爆煙は、
まだ消えない。
◇
屋上。
◇
カイは、
雨に濡れながら立っていた。
◇
背後。
◇
足音。
◇
「来たか」
◇
低い声。
◇
バルザ。
◇
白い仮面。
◇
「歓迎しよう、
◇
名もなき王」
◇
カイは、
剣を構えない。
◇
「話をしに来た」
◇
バルザは、
笑う。
◇
「殺しに来た、
◇
の間違いだろう?」
◇
「違う」
◇
「終わらせに来た」
◇
沈黙。
◇
雨音だけが、
二人を隔てる。
◇
「仮面は――」
◇
「誰を守るためだ」
◇
カイの問い。
◇
バルザは、
仮面に触れる。
◇
「弱者だ」
◇
「選べない者たち」
◇
「王や英雄に、
◇
未来を奪われる人間だ」
◇
「だから、
◇
我々は選ばない」
◇
「混乱に、
◇
委ねる」
◇
カイは、
首を振る。
◇
「違う」
◇
「お前たちは、
◇
選ばせている」
◇
「恐怖で」
◇
一瞬。
◇
空気が、
張り詰める。
◇
バルザの声が、
低くなる。
◇
「なら聞こう」
◇
「見えない王よ」
◇
「お前は、
◇
何を守る?」
◇
カイは、
目を閉じる。
◇
――最初から、
◇
見えてはいない。
◇
「選ぶ自由を、
◇
守る」
◇
「結果じゃない」
◇
「過程だ」
◇
剣が、
雨を切る。
◇
初撃。
◇
速い。
◇
だが――
◇
刃は、
止まる。
◇
バルザの仮面に、
ヒビ。
◇
「……ほう」
◇
「未来が見えずに、
◇
ここまで来たか」
◇
反撃。
◇
仮面の刃。
◇
屋上が、
砕ける。
◇
一瞬の攻防。
◇
勝敗は、
決まらない。
◇
バルザは、
後退する。
◇
「続きは――」
◇
「世界が、
◇
選んだ後だ」
◇
煙幕。
◇
姿が、
消える。
◇
屋上に残る、
割れた仮面の欠片。
◇
カイは、
それを拾う。
◇
冷たい。
◇
だが――
◇
確かに、
◇
人の温度が、
◇
残っていた。
◇
戦いは、
◇
始まったばかりだ。




