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# 第三十話:破られた掟
雨は、
地下にも降っていた。
◇
地下都市。
◇
排水路の水音が、
絶え間なく響く。
◇
カイは、
一つの墓標の前に立っていた。
◇
名は、
刻まれていない。
◇
レオン。
◇
剣を、
地面に突き立てる。
◇
血眼の掟。
◇
《未来を視た者は、
◇
その結果に、
◇
手を出してはならない》
◇
干渉すれば、
◇
全てが崩れる。
◇
代償は、
◇
必ず払う。
◇
カイは、
静かに息を吸う。
◇
「……知ってる」
◇
「だから、
◇
破る」
◇
剣を、
墓標から引き抜く。
◇
その瞬間。
◇
胸の奥が、
焼けるように痛んだ。
◇
見えない眼が、
◇
内側で、
◇
開く。
◇
未来ではない。
◇
“過去”。
◇
無数の血眼の王。
◇
孤独。
◇
裏切り。
◇
同じ選択。
◇
同じ結末。
◇
「もう、
◇
選ばせない」
◇
雨の向こう。
◇
ミラが、
立っていた。
◇
「それは――
◇
掟への反逆よ」
◇
「血眼は、
◇
世界を壊す」
◇
カイは、
首を振る。
◇
「違う」
◇
「壊したのは、
◇
掟だ」
◇
沈黙。
◇
遠くで。
◇
鐘が鳴る。
◇
緊急警報。
◇
仮面の組織。
◇
中央区に、
◇
同時爆破。
◇
“美しい混乱”。
◇
ミラは、
拳を握る。
◇
「行くのね」
◇
「ああ」
◇
「未来が見えなくても――」
◇
「俺は、
◇
選ぶ」
◇
二人は、
雨の中を走り出す。
◇
その背後。
◇
墓標が、
静かに崩れた。
◇
血眼の掟は、
◇
この日、
◇
確かに、
◇
破られた。




