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# 第二十八話:王の重さ


鐘の音。



地下都市ノクス



中央広場は、


人で埋め尽くされていた。



恐怖。


期待。



そして――



諦め。



高台。



ザイードは、


両手を広げる。



「秩序を与える!」



「食料も、


安全も、



俺が保証する!」



歓声。



だが――



一拍、


遅れていた。



その遅れに、


気づいた者は少ない。



群衆の端。



杖代わりの剣を持つ男が、


静かに立っていた。



カイ。



見えない視線が、


広場を測る。



足音。



一人の傭兵が、


前に出た。



「止まれ」



「王の前だ」



カイは、


首を傾ける。



「……軽い」



次の瞬間。



剣が、


地面を叩く。



衝撃。



波紋のように、


恐怖が広がる。



傭兵は、


膝をついた。



骨が、


悲鳴を上げる。



沈黙。



ザイードの笑顔が、


固まった。



「誰だ!」



「名を名乗れ!」



カイは、


一歩前へ。



「名は――」



言葉を、


飲み込む。



「……ない」



ざわめき。



その時。



群衆の中から、


一人が走り出る。



かつての仲間。



レオン。



「やめろ、カイ!」



「ここで戦えば、



皆が死ぬ!」



裏切り。



いや――



選択。



レオンは、


ザイードの前に立つ。



盾のように。



「俺は、


この街を守る」



「お前じゃない」



一瞬。



カイの手が、


震えた。



そして――



止まった。



剣は、


振るわれない。



代わりに。



仮面の影が、


屋根から降りる。



刃の閃き。



赤。



レオンは、


倒れた。



「王の前で、



選ぶな」



低い声。



仮面の男。



「選ばされる」



悲鳴。



混乱。



ザイードは、


逃げ出す。



カイは、


レオンの血に触れる。



重い。



剣よりも。



「……これが」



「王の重さか」



見えない王は、



初めて、



何かを、



守れなかった。


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