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# 第二十六話:見えない王


静寂。



地下都市ノクス


夜明けは来たが、


光は弱かった。



瓦礫の丘。



カイは、


膝を抱えて座っている。



左眼は、


白布で覆われていた。



血は、


もう流れていない。



だが――



何も、


見えなかった。



未来も。


分岐も。



「……静かだ」



それが、


最初の違和感だった。



世界が、


“うるさくない”。



足音。



近づく気配。



ミラだった。



彼女は、


何も言わず、



カイの前に座る。



包帯を、


そっと外す。



閉じた左眼。



赤い輝きは、


もうない。



「……本当に、


見えないの?」



「見えない」



短い答え。



ミラは、


唇を噛んだ。



「私の未来も?」



カイは、


少し考えてから、



首を横に振る。



「今は……


君しか、


見てない」



沈黙。



風が、


瓦礫を鳴らす。



その時。



地下各地で、


同時に噂が走る。



「王は死んだ」



「いや、生きている」



「名もなき王が、


戻った」



ギャングたちが、


動き出す。



空白を、


埋めようと。



カイは、


立ち上がろうとして、



よろけた。



世界の距離感が、


狂っている。



ミラが、


支える。



「無理しないで」



「……無理だ」



「王は、


座っていられない」



自嘲の笑み。



その瞬間。



遠くで、


爆発音。



悲鳴。



新しい争い。



カイは、


目を閉じる。



――いや。



最初から、


閉じていた。



「見えなくても――」



「歩ける」



剣を、


手探りで掴む。



未来は、


見えない。



だが――



選ぶことは、


まだできる。



瓦礫の上に、


立つ影。



名もなき王は、



“見えないまま”、



再び、


歩き出した。


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