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# 第二十五話:名もなき選択


夜明け前。


地下都市ノクスは、


息を殺していた。



旧評議塔。



高く、


冷たい塔。



ラグナは、


円形広間の中央に立つ。



鎖に繋がれた、


ミラ。



「来ると思っていた」



仮面将は、


ゆっくりと告げる。



「血の眼は、


感情に弱い」



その言葉に、


返事はない。



天井。



静かに、


ひびが走る。



一歩。



影から、


カイが現れた。



左眼は、


深い赤。



だが――



揺れていない。



「取引だ」



ラグナが言う。



「彼女と引き換えに、


地下から去れ」



「二度と、


我々に刃を向けるな」



沈黙。



ミラが、


首を振る。



「ダメ……」



「それは――」



カイは、


一歩、前に出た。



「選択は、


二つじゃない」



血の眼が、


世界を映す。



――彼女を救う未来。



――街が滅ぶ未来。



――そして。



――どちらにも属さない、



歪んだ一本の道。



「……馬鹿な」



ラグナが、


仮面の奥で息を呑む。



「それは、


選択じゃない」



「未来を――」



「名付けない」



カイは、


自分の左眼に、


刃を向けた。



ミラが、


叫ぶ。



「やめて!」



次の瞬間。



血の眼が、



“閉じた”。



世界から、


分岐が消える。



未来が、


見えなくなる。



代償。



視界が、


白く染まる。



痛み。



だが――



恐怖は、


なかった。



鎖が、


崩れ落ちる。



ラグナの結界が、


不完全になる。



理解不能。



予測不能。



それが――



仮面の支配を、



壊した。



爆音。



塔が、


傾く。



ミラは、


解放された。



カイは、


膝をつく。



左眼から、


血が溢れる。



「なぜだ……」



ラグナの声が、


震える。



「未来を、


捨ててまで」



カイは、


顔を上げた。



「違う」



「奪われる前に、


捨てた」



「俺は――」



「名前で、


縛られない」



崩壊。



評議塔が、


夜に沈む。



地下都市は、


静まり返った。



その日から。



人々は、


彼をこう呼ぶ。



――名もなき王。


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