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# 第二十三話:裏切りの名前


地下都市ノクス


避難路の最奥。



崩れた礼拝堂。



ここは、


かつて仲間と



約束を交わした場所。



カイ、ミラ、


そして――



第三の影。



「……久しぶりだな」



声の主は、


ロウ。



かつての仲間。


斥候。



誰よりも、


地下の道に詳しかった男。



ミラの表情が、


凍りつく。



「ロウ……?」



彼は、


仮面を持っていない。



だが――



首元。



薄く刻まれた、


仮面の紋章。



「いつから……」



ミラの声が、


震える。



ロウは、


笑った。



「最初からじゃない」



「でも――」



「信じるのは、


楽だった」



カイの血の眼が、


反応する。



――見える。



ロウが、


仲間を売った未来。



――同時に。



彼が、


誰かを守る未来。



二つ。



重なっている。



切れない。



「理由は?」



カイの声は、


静かだった。



「生きるためだ」



「英雄ごっこじゃ、


腹は満たせない」



ロウは、


一歩下がる。



その背後。



影が、


動いた。



仮面兵。



包囲。



「ミラは渡す」



「お前は――」



「ここで、


消えてもらう」



ミラが、


叫ぶ。



「やめて!」



ロウの手が、


震えた。



一瞬。



血の眼が、


一つの未来を示す。



――今、斬れば。



ミラは助かる。



――だが。



ロウは、


完全に堕ちる。



カイは、


刃を下ろさない。



「……名前を呼ぶな」



「裏切った瞬間、


お前はもう――」



「仲間じゃない」



ロウの目が、


見開かれる。



その隙。



爆煙。



仮面兵が、


突入する。



混戦。



ミラが、


引き離される。



「カイ!」



叫びが、


闇に消える。



煙が晴れた時。



ロウの姿は、



なかった。



地面に、


落ちていたのは――



一枚の仮面。



内側に、


刻まれた名。



《ロウ》



カイは、


それを拾い上げる。



胸の奥が、



何も、


感じなかった。



それが――



一番、



怖かった。


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