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# 第二十二話:仮面将、降臨
地下都市。
炎の匂いが、
夜に残っていた。
◇
その中心。
◇
戦場が、
不自然に静まる。
◇
足音。
◇
一つ。
◇
重い。
◇
仮面兵たちが、
道を開いた。
◇
現れたのは、
一人の男。
◇
黒と金の仮面。
◇
額には、
角の紋章。
◇
《仮面将・ラグナ》
◇
地下都市侵攻軍、
第一将。
◇
「……やっと来たか」
◇
屋根の上で、
カイが呟く。
◇
血の眼が、
激しく疼いた。
◇
――見える。
◇
この男が動けば、
数百が死ぬ未来。
◇
――だが。
◇
切れない。
◇
分岐が、
絡み合いすぎている。
◇
「ほう……」
◇
ラグナが、
空を見上げた。
◇
仮面越しに、
視線が合う。
◇
「血の眼の子か」
◇
「噂より、
若いな」
◇
次の瞬間。
◇
地面が、
砕け散る。
◇
衝撃波。
◇
市場区が、
半壊した。
◇
悲鳴。
◇
ミラが、
瓦礫の中で
◇
人を庇う。
◇
癒しの光。
◇
だが――
◇
追いつかない。
◇
ラグナの一歩が、
◇
戦場のルールを変える。
◇
「覚えておけ」
◇
「これが、
“将”だ」
◇
剣も、
魔法も、
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届かない距離。
◇
圧倒的な“格”。
◇
カイは、
歯を食いしばる。
◇
(今は……無理だ)
◇
血の眼が、
一つの道を示す。
◇
――撤退。
◇
最小被害。
◇
最大の屈辱。
◇
カイは、
影に溶けた。
◇
ラグナは、
振り返らない。
◇
ただ、
一言だけ残す。
◇
「次は、
本気で狩る」
◇
その言葉が、
地下都市に刻まれた。
◇
◇
――戦争は、
新しい段階に入った。




