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# 第二十一話:彼女は剣を取った
地下都市。
炎と悲鳴が、
夜を満たしていた。
◇
市場区。
◇
逃げ惑う人々。
崩れる建物。
◇
その中心で、
ミラは立ち尽くしていた。
◇
(……カイ)
◇
彼女は、
戦う人間ではない。
◇
癒し手。
導く者。
◇
だが――
◇
仮面兵が、
子供を突き飛ばした。
◇
刃が、振り下ろされる。
◇
次の瞬間。
◇
銀色の閃光。
◇
刃は、
空を切った。
◇
ミラの手に、
剣があった。
◇
震えている。
◇
それでも――
◇
彼女は、
前に出た。
◇
「下がって!」
◇
声は、
確かに響いた。
◇
仮面兵が、
笑う。
◇
「女が、剣?」
◇
ミラの胸が、
強く脈打つ。
◇
(怖い……)
◇
(でも――)
◇
「もう、
奪わせない」
◇
一歩。
◇
剣が、
光を帯びる。
◇
癒しの魔力。
◇
それは本来、
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人を守るための力。
◇
だが今は――
◇
刃に宿った。
◇
衝突。
◇
仮面兵が、
吹き飛ぶ。
◇
致命傷ではない。
◇
だが――
◇
戦意を、
奪うには十分。
◇
その瞬間。
◇
屋根の上。
◇
カイが、
彼女を見ていた。
◇
血の眼が、
反応する。
◇
――ミラが、
ここで死ぬ未来。
◇
――彼女が、
剣を取らなければ。
◇
カイは、
視線を逸らした。
◇
切った。
◇
その未来を。
◇
代償。
◇
胸の奥から、
“安堵”が消える。
◇
(……平気だ)
◇
(そう思うはずなのに)
◇
市場区に、
新しい噂が広がる。
◇
「白い髪の女剣士」
◇
「癒しの光で、
仮面を退けた」
◇
戦場の中で。
◇
ミラは、
剣を握りしめる。
◇
それが――
◇
戻れない一線だと、
◇
まだ、
知らなかった。




