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# 第十八話:血の眼


地下都市ノクスの最奥。


人の気配が、途切れる場所。



崩れた図書塔があった。


石と鉄で組まれた、


かつての研究施設。



カイは、そこに立っていた。



(呼ばれている……)



扉は、最初から開いていた。



内部。



埃に埋もれた書架。


割れた水晶。


壁一面の、


古い魔法陣。



中央の台座に、


一冊の黒い書が置かれている。



《血眼継承録》



手を伸ばした瞬間。



左眼が、


灼けるように痛んだ。



視界が、赤く染まる。



――映像。



燃える都市。



逃げ惑う人々。



空に浮かぶ、


無数の“眼”。



その中心に、


一人の男が立っている。



同じ眼。


同じ顔。



(……先祖?)



声が、直接脳に響く。



「見るな。――代わりに、選べ」



「この眼は、


“真実”を見るためのものではない」



「“切り捨てる未来”を、


選ぶための力だ」



映像が変わる。



仮面の軍勢。



王都の崩壊。



ミラが、


血に染まって倒れている。



心臓が、跳ねた。



「代償は、


命ではない」



「お前の――」



「感情だ」



怒り。


悲しみ。


迷い。



見るたびに、


一つずつ、失われる。



「それでも、使うか?」



問い。



カイは、


拳を握った。



「……使う」



「失ってでも、


守るものがある」



書が、


静かに崩れ落ちる。



左眼から、


赤い光が漏れた。



痛みは、ない。



代わりに――



胸の奥が、


少しだけ、冷えた。



外。



地下都市が、騒がしい。



警鐘。



「仮面が動いたぞ!」



カイは、空を見上げる。



いや――



“まだ見ていない未来”を、



見据えていた。



その左眼は、



血の色に、


静かに、輝いていた。


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