表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/24

016

# 第十六話:地下都市


石段は、終わりが見えなかった。


湿った空気。


苔の匂い。


王都の喧騒は、遥か上だ。



地下へ降りるほど、


世界は別の顔を見せる。



松明の光が連なり、


巨大な空洞が姿を現した。



――地下都市ノクス



違法な魔道具。


偽の身分証。


賞金首を売る掲示板。



「ここが……」


カイは、息を吐いた。



人々の視線が、刺さる。


恐怖でも、敵意でもない。



値踏みだ。



「新顔か?」


背中に刺青を入れた男が声をかける。



「用件だけ言え」



男は笑う。


「いい目をしてる」



路地裏。



闇市の酒場。



そこにいたのは、


仮面ではないが、


似た匂いの連中だった。



「王都の怪物が来たぞ」


囁き。



「特級指名手配……本物か?」



カイは、否定しなかった。



「情報を買いたい」



酒場が、静まる。



「誰のだ?」



「白い仮面」



一瞬。


空気が、凍る。



「その名は、禁句だ」



「命が、安いなら別だがな」



(当たりだ)



突然、


天井が揺れた。



爆音。



魔法弾が、酒場を貫く。



「伏せろ!」



混乱。


悲鳴。



煙の中。



黒装束の集団。


顔は、布で隠れている。



「賞金首だ」



「生死は問わない」



(もう来たか)



カイは、剣を抜く。



左眼が、開く。



地下都市の灯りが、歪む。



敵の配置。


逃走路。



――十分。



一瞬で、距離を詰める。



刃は、殺さない。



腕。


脚。


魔法の核。



次々と、無力化されていく。



最後の一人が、震えながら後退する。



「誰の差し金だ」



「……仮面」



「どの仮面だ」



男は、笑った。



「全部だ」



次の瞬間。



男の首元に、


黒い針が突き刺さる。



即死。



屋根の上。



白い仮面。



「歓迎しよう」



「地下へ来た以上、


ルールは我々が決める」



カイは、仮面を見上げた。



「探してたのは、


お前たちだ」



仮面は、首を傾ける。



「なら――」



「試してみるか」



地下都市ノクスに、



静かな、


しかし確かな戦火が、



灯った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ