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陰キャの私がクラスのカーストトップ女子に好かれた話  作者: haruca


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2.非日常

いつも通りの学校生活。誰とも話すことなく、授業を受けて部活に行くだけの日々を今日も送る。退屈だなぁ〜と思いつつ自席に座るといつもと違って私に話しかけてくる人がいた。

「やあ、おはよう。今日は良い天気だね。」

「は、はい。そうですね」

私はもごもごしながら答える。人に話しかけられるなんて何時ぶりだろうか。慣れていないものだから反応できないよ。お店の店員さんとの会話がギリの私には厳しいよ……

「今日の体育はバドミントンらしいんだが、どうだろう、私と一緒にやってくれないかな?」

バドミントン……いっつも余ってた私をペアに誘ってくれるなんて……いい人…。

「はい、喜んで!」

「彩花、敬語は辞めないかい?私は君のパトロンだが、友人でありたいとも思っているんだ。」

「うっ、いきなりは難しいって言いますか……。」

今までの学校生活で人と話す機会は先生と話す時か学級委員に何か言われる時くらいだし、そういう時はどうしても敬語だったから敬語がデフォルトになっちゃったんだよな……。

「そうか。君は私と仲良くしてくれないんだね……」

「いやいや、そんな事ない。仲良くしたいよ、仲良くしよ!」

「ふふっ、ようやく砕けた感じで話してくれたね。」

「あっ、本当ですね……良かった。」

突然の事だからタメ口で話せたけど、普段の会話で敬語を使わなくても良くなるのはまだ先の事だろうな……。








そうして迎えた体育の時間。準備体操を終えた私の元に藤原さんはやってきた。

「それじゃあやろうか。」

私は藤原さんと一緒に軽くラリーをしたが、実力が違いすぎる。私は必死にシャトルを追いかけているのに、彼女は優雅に舞を踊っているかのようだ。

そんな私たちを見て、周りの人はコソコソと話をしているようだ。

「なんで藤原さんがあんな奴とペア組んでんの」

「弱みでも握られてんのかな?」

「天上人の慈悲ってやつでしょ。」

なんて事を言われてるんだろうなぁ。別にいいけど。でもこれでいじめがエスカレートしたりはしないよね?したら超困るからね!

ラリーを続けていると差がどんどん開いていく。私は1歩も動かないで済んでいる。それは私が上手いからだとか、腕が長いからとかではなく、藤原さんの返す位置が完璧すぎるのだ。私が打つと何処かに行ってしまうため、彼女は左右に行ったり来たりしている。

すると突然、彼女からの返球が無くなったので、ラケットに注いでいた視線を彼女に向けると、彼女が倒れていた。

「大丈夫!?何があったの?」

「いや、問題ない。少し転んでしまっただけだ。」

そうは言っているが、擦りむいて血が出ている。きっと痛いだろう。

「大丈夫だ。さあ、続けようじゃないか。」

彼女はそう言って笑っているけど、きっと我慢してるのだろう。何故か私はそう感じたのだ。

「ダメ。怪我してるでしょ。私がついて行くから保健室いくよ。」

「……すまないね。」

そうして私は彼女を保健室に連れていった。





「にしても、嬉しいものだね。」

「え?怪我したのに何が嬉しいの?」

怪我をして喜ぶ人……水平思考クイズか?

「いや、君がさっきから敬語を使わずに会話をしてくれているからね。」

「あっそういえば……」

そういえばそうだ。私はさっきから敬語を使っていない。彼女が怪我をした事による焦りだろうか。

「なんかもう大丈夫みたい。一緒にバドミントンしたからかな?」

「なら誘った甲斐があったよ。君と心が通じたようでとても嬉しいよ。」

そう言って微笑む彼女の顔は妖艶で、ついドキッとしてしまった。







彼女は大した怪我でもなかったので、体育の授業は参加出来なかったものの、その後の授業には参加できた。私が心配しすぎただけかな……。そんなに大事じゃなかったみたい。

授業が終わって、私は部活に向かった。今日はデッサンの練習でもしようと思う。何を描くかは決まっていないけど、まあなんでもいいだろう。

「やあ、調子はどうだい?」

「まあぼちぼちだね。いつも通り。」

いつも通り。私のいつも通りって他の人からしたらだいぶショボい気がするけど……まあいいや。

「今日は何をするのかな?」

「今日は特に描きたいものも無いし、デッサンの練習をしようかなって思ってる。」

「それはいいね。私もやってみていいかな?」

「いいよいいよ。一緒にやろ!」

私は彼女と一緒に、そこら辺にあった紙コップのデッサンを始めるのであった。






双方描き終えたので、互いのを見合わせてみると、意外な結果だった。どう考えても藤原さんの方が上手い。私小さい頃から絵を描き続けてきたのに……

「上手いじゃん!そんなに上手いのになんで私のパトロンなんてやってるの?えっもしかしてこれってそういうドッキリですかね……」

「いやいや、ドッキリではないし、君の絵は素敵だよ。」

そんなこと言っても、どう考えても藤原さんの方が上手いじゃん……

「私の絵にはね、感情がないんだ。だから君のような作品は描けない。今回のデッサンのような、見たものをそのまま表現するだけなら確かに私の方が上手いかもしれない。だが、それでは何の意味もないと私は思っている。」

なるほど……。つまり彼女は私の絵に込められた感情を重視しているのか。

「なんか、照れる……」

「ふふっ、可愛いね。」

「かっ、かわ!?へっ!?」

突然可愛いと言われた私は酷く赤面してしまった。

「そうだ。言おうと思っていた事があるのだけども、いいかな?」

「はっはい。どうぞどうぞ。」

話を変えたかったので彼女にそれを促す。彼女は1呼吸置いたあと、少し頬を赤らめて口を開いた

「私は君の事が好きだ。」


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