一串目 中編
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『ミジュイル』視点
お店の前で会った店員さんに案内されて、お店に入ると店内は、落ち着いた照明にカウンター席とテーブル席がまず目に入った。
「カウンター席とテーブル席、そして奥は座敷がございます。お好きな席へどうぞ」
カウンター席の前は、焼く前の串焼きが沢山盛り付けされて置かれたコーナーと目の前でジュウジュウと串焼きを焼いてる所が見れる席だった。
(うわあっ凄い!串焼きの山盛りだわ、あの中から選んで焼いてもらうのね!カウンター席が素敵すぎる。絶対あそこに座りたいわ!)
私は、あそこの席に座りたいと護衛役のティーチに言うと
「はい、はい、分かりました。お嬢様、これは凄いですね。目の前で調理してくれるんですか、ある意味、安心して食事ができますね」
ティーチが感心したように呟いてると、さっきの店員さんがお絞りとお冷やとお皿を持ってきてくれた。
「串焼きの注文の仕方ですが、手元にあるメニュー表からお選び下さいませ。注文が決まったら従業員にお伝えてください。そして、カウンター横の焼く前の串焼きを自分で取る事もできます。取りたい時は、そちらのお皿に食べる分だけ載せたら、近くの従業員にお渡し下さいませ」
あの山盛りの串を自ら取っても良いですって!?早速、お皿を持って行こうとした瞬間。
「ミジュイルお嬢様、もしや、あの山盛りの串を自らお取りになるつもりですか?」
「ティーチ、あの宝の山の前を自分で取れるなら、取りに行くに決まってるわ!止めるなら、しばらく口聞かないわよ!」
「お嬢様、落ちついて、見てください。渡されたお皿は1枚だけです。つまり、2人で取りに取りに行こうって事ですよ」
そう言って、私が持って行こうしたお皿をすかさず、ティーチが持ち直し。
「あわわっ、ごめんなさい。早とちりしちゃったわ。じゃあ、一緒に行きましょ!あ〜っどれも美味しそう。悩むわぁ」
早速、色んな種類の串をを二人で選んでお皿に載せていく。
「お嬢様…今日は食べられそうな分だけ載せてください。って、言ってるそばから、どんどん載せないでください!」
「え〜っだって、どれも美味しそう、はっ野菜が中に入ってる肉巻き!?うわあっ色んなのがある!小さいトマトのとレタス…しそ!チーズも一緒に巻かれてるわ!」
「はあ……」
山盛りの串を持っているティーチに向かって
「ティーチ、ため息ついてないで、店員さんにお皿渡して、焼くのお願いしてちょうだい」
「分かりました。あ、すまないが、これを焼いて貰えるか」
ティーチが店員さんに声をかける。
「はい、こちらの串ですね。かしこまりました。焼きあがるまで、しばらくお待ちくださいませ」
受け取ったお皿を店員さんが持って行くのを見ながら、カウンター前に座り直し、目の前の焼き台を見た。
(焼いてる所が、見れるなんて最高〜っきゃあっジュウジュウ焼かれてる焼き鳥やお肉の串焼き達、たまらないわ〜っ)
「いっらしゃい、串を焼いてる間、今日のお通しサラダを、どうぞ食べてくれ」
私達に、そう声をかけてきたのは、前掛けしたお爺さんだった。柔和な顔をしてるのに纏う空気が普通と違う。内心、何者なのだと私が思っていると、お爺さんは慣れた手つきで、私の目の前に料理を置いていくー。
「あら、シーザーサラダだわ!嬉しい大好きなのよ」
シャキシャキレタスと塩味のあるベーコン、香ばしいクルトン、粉チーズと濃厚なドレッシングを混ぜるサラダ。
「おや、シーザーサラダを知ってる事は、お客さん、もしかして別界の記憶持ちかい?日本のほうかい?」
「あ、はい、そうです。日本です。お爺さんもですか?」
お爺さんの定員は、ニコっと笑顔で
「そう、俺も別界の記憶持ちで、元日本人。生まれは、ここ倭国だ。お客さんは?」
「私も、生まれ育ちも倭国です」
「おや、綺麗な金髪で洋服だったから、てっきり、オストーか伊国や西国辺りの人間かと思ったよ」
「ですよね~私も3歳頃に気づいたんです。えっここは?日本じゃない?私、金髪?どこなのって思っていたら、今のお父様とお母様が私の様子に気づいて、そしたら、記憶持ちの別界人の生まれ変わりって言われて、たまげました」
「はははっ俺もだよ。異世界に産まれんだ!すげえっ、けどバレたらヤバイよなって黙っていたのに、まさか、こっちの世界じゃ普通に受け入られてるって、ある日指摘された時は正直、はあ?って思ったよ。そしたら、ここじゃ別の世界から人間を別界人って言われてるなんて、数百年前に学者先生が転移してきて、「もしや、多世界解釈の中で分岐された別の世界!?」って言ったのがキッカケっを聞いて肩の力が抜けたよ……」
お爺さん!!分かる。私も前世の日本の漫画・アニメ・ノラベ文化のせいで『異世界』って呼んでいたもの…。そしたら『別世界』だもの、それも略して『別界』(べつかい)って意味は分かるけど、違和感が凄いわ。そして現在、私が生まれた倭国は、昔の日本みたいな国なのだ。地域によるけど私がいるここ、東乃所、東は、明治大正時代の街並みをしていて、レトロモダン好きには、たまらない所なのだ。
はじめは、レトロな少女漫画の世界に転生しちゃったかと思ったら、結局、別の平行世界で物語の人物とかの転生の類はこちらの世界では無いと説明された時は心の底から安心した。
(……悪役令嬢とか、ヒロインなんて絶対無理。…って言っても、油断した所でフラグって立つのよ!気をつけねば…うん。)




