一串目 前編
n番煎じのお話が落ちてきました。お手柔らかにお願いします。
とある国の市場の隣にある通り沿いには、いつの頃から、気づいたら『串焼きロード』と言われる通りがある。その通りには様々な料理の屋台や店が出店しているが、1番人気は、歩きながら食べれる『串焼き』料理だ。
それを目当てに来る人々に紛れて、やんごとなき高貴な身分の方達も『串焼き』をお食べになってると、そんな噂がまことしやかに流れている。
◇◇◇
毎日がお祭りのような通り沿い
『串焼きロード』
「美味しー美味しー串焼きありますよ~!!」
「うちは、今日は捕れたての魚を焼いた串焼きだ!!売り切れる前にぜひ買ってくれ!」
「人気のダンジョン産、四つ足牛のホルモン焼きがマジうまだよ!!試しに1本どう?」
「そろそろ、昼だよ!食べ歩くより、そこのテントか涼しい木陰があるベンチで食べるのがオススメだよ~だから、うちの串焼きと冷たい飲み物のセット買わないかい~?」
通りの屋台の売り子達が、張り切ってお客さん達を呼びかける声が聞こえてくる。
そろそろ、昼頃かとー。
串焼き屋、店主代理の私は、日差しが強くなったのを感じて、店の壁に付いてる日よけを広げようと通りに出ると、屋台やお店が連なっている前を沢山の人々が歩いてる中、こちらに2人、うちの店に向かって来るのが見えた。
ゼーゼーハーハーッ肩で息をしてる眼鏡をかけた。おさげ髪の少女と片手にレースの日傘を持つ息切れしてない青年が店の前で、押し問答しながら
「ミジュイルお嬢様、やっぱり私は納得出来ません。外で食べ歩きなんて」
「もう、ティーチ、煩いわね。私は、もう、我慢できないのよ。あっ!あの、すみません。ここの串焼きください!!」
どう見ても、お忍びで来てる貴族のご令嬢様だった。うちの串焼きを買ってくれるのは、嬉しいけれど……
「お嬢さん、今から外はドンドン日差しが強くなって暑くなってきます。食べ歩きするには厳しい時間帯なんですよ?どうしても食べ歩きしたいと言うなら止めませんが…?」
そう、こんな日差しが強い日で、今が丁度、食べ歩きに向かない時間帯なのだ。さらに困る事に、太陽が真上に来て地面を熱して暑くなり、それが原因で歩くとフラフラになりやすいのだ。そう、目の前のお嬢様のように
「えぇっ!?本当だ。さっきより暑いわ!!それに歩きすぎて、足が痛くなってきた気がする。うぇ~ん」
顰めっ面したお付きのお兄さんが
「ミジュイルお嬢様!?大丈夫ですか。だから言ったじゃないですか!途中でリクショーに乗って周りましょうって!!」
リクショーとは人が引いて走る幌付きの小型の二輪車の事だ。うちのお爺さんは『人力車』って言ってたけど、これを作った人間は、同じ世界の知識でも、語源が違うのは、きっと俺と違う国の人間か色々と詳しいヲタクだったかもなと話していたのを思い出す。
「むぅ、リクショーに乗ったら確かに楽よ。けど、私の今日の目的は、串焼きロードを自分の足で歩いて美味しい物を食べる!って決めていたから、まさか、こんなに大変だとは思わなかったわ」
あらら……さっきまで負けん気の強いご令嬢だと思っていましたが、どうしても『串焼き』が食べたくて頑張って歩いてきたんですか、それなら
「お嬢さんとお付きのお兄さん?串焼き食べたいなら、こちらで召し上がりませんか?」
私が指し示したのは、私の家が経営してる店『串焼き屋つばき』に
最初、お嬢さんが串焼きの屋台だと思われた所は、お持ち帰りの商品を渡す出窓で、ちゃんと横には、お店の看板と扉もあるのに何故か、気づかれない?我が店の謎の一つだ。
お店の扉を開けて、お二人を案内する。
「今なら、お好きな席に座れて、疲れた足を休ませながら、焼きたての串焼きを食べれますよ~っ」
「えっ椅子に座って焼きたての串焼きですって!?それって、最高だわ!行くわよティーチ」
「お嬢様!?お待ちください。ああ、もう本当に先にお一人で行かないでください」




