今日くらいの雨だったら
掲載日:2025/10/13
窓を開け、軽く伸びをしていると、ねこが窓際によってきて、すんすんすんと鼻を働かせる。それを見て、わたしも鼻をつかって、外のにおいを確かめる。涼しい空気のにおいは、たしかに秋のもの。そこに冬の気配はまだ、含まれていない。
今日は、あたたかいものが食べたいと、そう思うも、冷蔵庫のなかがさびしい。買いもの行くかなあ。すでに気持ちを読まれていて、ねこは、さみしそう。
―行ってしまうのか?
―ごめんね
―ほんとうに、行ってしまうのか?
―すぐ戻ってくるから
今年も家の近くのキンモクセイに魔法がかけられた。いい香りのするこの時期限定の魔法だ。その香りにねこがそわそわする。キンモクセイの香りに胸がおどるのか、それとも、魔法にかかりたがっているのか。
ねこは、すでに魔法にかかっている。かわいいという魔法だ。その魔法は、期間限定ではなくって、ずっとずっとだ。
結局、買いものには行かなくって、ねこと一緒に寝てばかり。
ねこは、毎日、寝てばかり。わたしも、お休みの日は、寝てばかり。
ねこは、寝る子。だから、寝てばかりでもいい。
わたしは、ねこではないし、子どもでもないのだけれど、お休みの日は、寝る子になる。だから、わたしだって、寝てばかりでいい。




