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悪魔の電車

もしあなたが何の気なしに生きているこの世界

もう一つの世界があったらどうしますか?

    悪魔の電車

                                   

 朝の通勤ラッシュというものはどこか虚しさみたいなものを感じないだろうかと考えだしてからはや5年気づけば私は社会の歯車となり大して毎日が変わらない日常を送ることに対して、最初の頃と比べてあまり嫌ではなくなってきていた。これはどういうわけか慣れというべきなのかそれは最中ではない。

 人間習慣づけていくことで苦だとなかなか感じなくなっていくというものがある。

 それはうまい言葉に乗せられているだけではないだろうか。これは仕事にだけ適応されることではない。何でもそうだ、もちろん全てのことに対して当てはまるわけではないが。

 例えば例を出すとすると忘れ物をよくしてしまうとする、メモ帳に前日用意するものを全て書き上げてそれを見ながら家を出る前に再度確認するということだ。これを習慣づけなさいと言われたら最初はとんでもなく嫌なことだ。まずそれができていたら忘れ物をすることはあまりないのだから。それに言われて気づくようなことではない。自分も答えを知っているしそれが嫌だからやらないのだ。先生や上司に言われてやり始めるがそれは義務となり始める。

 周りからメモを見ていないのかと攻められやらなくてはいけない状況に置かれてしまうのだ。これは自分の意思だと言えるのだろうか。追い込まれたからやる私はそう言ったものがとことん嫌いであった。だが私は慣れてしまった職場に会社に飼い慣らされ始めている。今の私を見たら昔の私はなんていうだろうかと時々考えることがあるけれど。それすらも消えかけている。

 

 通勤ラッシュ真っ最中。ゴーゴーと鳴り響く駅のホームを下や上やを電車が走る。独特のほこりなのか明らかにあまり換気のされていないような匂いが立ち込めている。このホームには老い者から若い者まで様々な格好をして電車を待っている。腕時計を気にしながら電光掲示板を交互に眺め、貧乏ゆすりをしている男が1人やがて少しの時間が経ってその貧乏ゆすりは止まらなくなっていく立っているのがおっくうなんだろう。

 7時50分到着の時間がやってきた。

 ピロピロピロ

「間も無く電車が参ります。白線の内側までお下がりください」ホームにアナウンスが響き渡る。周りの人たちは一斉に足に力を入れて立ち始めた。

 キキッー!

 ホームに悲鳴が響き渡った。電車に誰かが飛び込んだ。ものすごい勢いでブレーキをかける音が人響き近くにいた人はパニックになり出し遠く離れた人たちはため息を漏らしていた。かなり思い詰めていたのだろう。飛び込んだ人に何があったのかは知らないけれど心が軋んだ。

 ピロピロピロピロ

 運転見合わせと電光掲示板表示される続いてアナウンスが流れ出す。

「人身事故発生、ご利用の皆様には大変ご迷惑をおかけしおります」

 ホームがどよめきだす。みんな舌打ちをして連絡を入れるために携帯電話を取り出した。

「死ぬなら1人で死ねよな」

「周りのことなんて考えてないね」

 ボソボソと独り言のように言葉を吐いた。

 確実に先ほど起きた人身事故の人へ向けて。

 確かに迷惑なことではあると思うがそこまで言ってやらなくてもいいだろうと思う。

 会社に連絡をして遅延証を提示すれば済む。

 それにその遅延証さえあれば少し早めに出ればいいだろうと咎められるだけでサボることだって可能なのだから。

 ビューンフォーンピロリン

 あまり聞いたことのない音がホームに響く

 それと同時に眩しい光が当たりを包み込んだ。目を瞑り顔を伏せていると周りには人がいなくなっていた。一瞬にして消えてしまったのだ。

 何が起きている、私は今起きているこの現象にひたすら理由をつけようとした。電車のライトの強さを間違えたのか?などと考えていると。

 ピロリンピピピロロンまたしても電車が到着するような音がホームに響く。プシューと音を立てて電車が駅につき扉が開いた。

「やぁやぁ、おはよう」

「お前は?誰だ?」

「いやだな、僕だよ」

「お前は私?」あまりの出来事に足が動かない。思うように口も回らない。そこに立っているのは私だ。目の前に私がいる。全く同じ格好で同じ背丈で同じ声で話している。

「驚いているみたいだね、無理もない」

「何で、目の前に私がいるんだ?ドッペルゲンガーか何か?」

「うーん、惜しいというか全く別というか」

 同じ見た目なことに間違いはないが少し話し方が違う、頭をブンブンと振りながら気だるそうに話している。

「わからないだろうから説明してあげるよ」

 それからもう1人の私はこの現象について話し始めた。

「僕は別の世界線の君だよ。そうして僕は入社して一年目、君は5年目になるね。つまり僕は4年前の君になるんだ。ほら、社章がまだピカピカでしょ?」

 確かにまだ新しい社章が胸元に輝いていた、それにあまりシワのない新しいスーツを纏っている。革靴だってピカピカですり減っている様子がない。カバンも何もかも新品の様だ。

「四年前の私なのか?本当に」

「そうだよ!君だって一度は妄想したことがあるんじゃないかい?昔の自分がふと現れるなんていう妄想を」

 確かにしたことはあるがそれは妄想の域を出ないものだと思っているし実際に目の前で起きてしまうとワクワクという感情ではなくただ信じられないというものしかない。本当にありえない。

「四年前の僕と今の君は同時に存在するんだ。ちょうど僕も出勤するところだったんだ」

「それで、4年前の私が何の用なんだ、何か言いたいことでもあるのか?」

「察しが良くて助かるよ、君は現状、会社に行くことに何も感じなくなってないかな?」

「そりゃ、会社には行くものだろう。出勤して働いて」

「何のために働くの?」

 一瞬にして声色が変わった。ピシャリと空気が変わっていくのがわかる。私は少し焦った。返答次第では何かされるのではないかと不安になった。

「な、何ってそりゃ生きていくためだろう」

「生きてくだけならバイトでもいいよね」

「正社員じゃないと世間体が」

「それは生きるためじゃない」

「ボーナスだって!」

「それは君が楽しむためだね」

 どんどんと私が出した答えに的確な理由をつけて反論してくる。お前だって働いているならわかるだろうと私は思った。こいつはハキハキと私が間違っている様に話し続ける。

「少なくても入社して間もない四年前の君は働くことが嫌だったんじゃないかな?胃をキュルキュル言わせながら出勤して嫌すぎて吐いたこともあったでしょ?」

 4年年前の私を思い出す。確かにそうだ私は入社した頃、学生の頃と違い責任が伴うこと仕事が嫌で嫌で仕方がなかった。営業に行ってもなかなか契約を取れなくてよく上司に怒られていた。その怒鳴り声を聞くたびに私は胃を痛めてよく胃薬を飲んでいた。あの頃は胃薬を離すことができなかった。高校を卒業してすぐに社会に放り投げられた。親は学費は出すつもりはないし奨学金を借りると言っても賛成してくれなかった、だから働くしかなかったんだ。

「私は仕事ができる様になった、あの頃とは違うんだ」

「違うねぇ、そうやって理由をつけて強がってさぁ」

「何を言うそんなわけがあるわけないだろう私は今のお前より仕事ができるんだぞ、会社にも信用されてるんだ」

「僕が今の君を知らないと思っているのかい?全部わかっているよ。なら何で昇進していないんだい?」私の社章をの色を見て言ってきた。上司の社章の色が違うことから今昇進していないこがわかったんだ。余計な知識を持ちやがって。よほど毎日上司の社章が羨ましくてしょうがないんだろう。

「まだ、認められてないだけだ!お前は見え透いたようなことを言って私をどうしたいんだ!」

「図星を突かれたからってそんなに癇癪を起こすなよ!現実を見なよ」

「うるさい、私は信用されている大型プロジェクトだって控えてるんだ!これを成功させればきっと昇進できる!」

「僕は知ってる君がどうなっていくかをだから提案しにきたんだ」

「提案?一体なんだって言うんだ」

「今ここで仕事を辞めると決めるかこのまま芽も出ない職場に永遠といるかどっちか選んでよ」

 何も躊躇いもなく二つの選択肢を私に与えてきた。

 こいつは何を言っている何を知っているって言うんだそんなに私を困らせたいのか。

 こんなことに時間を無駄にするわけにはいかない書類をまとめていた方がまだ有意義な時間が取れる。

「そんなのどっちでもいいだろう。俺は帰る」

「どうやって?」

 私は辺りを見回した。周りには人っ子1人いない出口に続く階段もない。

「君が決めるまでは僕は君をここから出さないよ」完全に追い詰められた。ここで即決で仕事を辞めるなんて言えないしかといて仕事を続けると言ったら解放してくれるのかもわからない。あいつは絶対に仕事を辞める方を選んでほしいだろうから逆を選んだら一生ここから出られないかも知らない。

「悩んでいるねぇ、出られないしどっちかを選んだらどうなるのかもわからないってところだねぇ」

 心までも完全に読まれている。こいつに嘘をついたとしてもきっと見抜かれる。

 この現状に置かれてもう心を読めるだのと言うことに疑いを持つことはない。この状況こそが全ての謎の答えのような気がする。それにしてもこいつは一体何がしたいんだ。

 私に選ばせてそれでどうするって言うんだ?もしかしたら本当にこいつは俺のために来てくれたのか?俺のこの先の人生を知っていて俺を救おうとしているのか。芽も出なければ評価もされないそんな未来の俺を。

「できるだけ早く決めたほうがいいよ。悩めば悩むほど答えは出なくなっていく。僕は一応決まりで喋れないことも多いんだ。誓約があるからね」

「誰かに頼まれてきたのか?」

「違うさ、うーんそうだね、これなら言ってもいいかな僕は僕の意思で君に会いに来た」

 誰かに何かを頼まれてわけではないのか。

 となるとこいつ自身が何らかの意思表示をしている。無人のホームに私を追いやるほどの何かが存在する。

「俺は昇進できないのか?」

「ノーそれに関しては言えない」

「ってことは知ってはいるんだな?」

「おっとちょっと気をつけないとな返答によってはバラしちゃう可能性がある」ボサボサの前髪をいじりながらこいつは薄ら笑いを浮かべている。心底焦っていると言うよりかは私に真相を探って欲しそうだ。

「私は結婚できるか?」

「うーん、できるかもしれないし、できないかもしれないね」曖昧な回答が返ってくる。

 まだまだ情報が足りない。もっと探り出さないと。

「この世界は外に繋がっているのか?階段がないのは確認したけれどそもそも地上は存在するのか?」

「これなら答えられるね、答えはノー存在しない」

 少しづつわかってきた私の人生についてはあまり多くは語れないのかもしれない。

 ピロピロリンピロピロリ

 あいつの携帯電話が鳴った。

「ちょっと待ってね、上からの電話だよ。君のことをどこまで話していいか聞いてみる」

 携帯電話は何も変なところはない。いたって普通だ。何かコソコソと喋っているが聞き取れない。誰もいないホームに私と2人ただ電話をしている声だけが聞こえる。このホームには色がない。というか真っ白でしかない。壁に描かれているはずの次の駅の記載もない情報という情報が全て遮断されてしまったかの様に感じる。ここに永遠閉じ込められたら気がおかしくなってしまうんじゃないかと思えるほどに。 

「お待たせー君に伝えていいことがはっきりとわかったよー、君にとっては選別に役立つと思うよ」

「何を言っていいことになったんだ。早く言ってくれ仕事に行かなくちゃいけない」

「なにぃ?もう仕事を辞めることを選ばないみたいな言い方だね」

 私は咄嗟に口を押さえた。そういうわけではないこの後にあることをしなくてはいけない決してそんな意味合いを持って行ったわけではない。あいつの顔がどんどんと険しいものになる。

「はぁ、まぁいいや、教えてあげるね。仕事を辞めるか続けるかどちらかを選んだ。君の人生のメリットを教えてあげるよ」

「そんなに教えてくれるのか、助かるよ」

「急に態度が変わるね、まぁいい。仕事を辞めることを選んだ君は天職が見つかる給料は少ないけれど楽しい仕事ができる様になるよ。仕事に行くことが嫌じゃなくなる」

 給料は少ないのか、けれど楽しいと思える仕事ならありなのかもしれない。今の仕事自体は楽しくないしただ慣れてきただけで何も達成したような気持ちになったことがない。

「君は飼い慣らされてるだけだよ。仕事や周りが君を型に入れてそれを正しいことだと思わさられてるだけ。本当は行きたくないんだろう?」さらに揺さぶってくる。確かにそうなのかもしれないこの4年間で私の意思はどんどんとせばまりまるで仕事に行かなくちゃ死ぬような気がして怖かった。それは周りの圧力に屈していただけなのかもしれない。

「いい顔するねぇ、じゃあ次ね仕事を続けるを選んだ場合。結婚できるよ。ここは言っていいのか一番悩んだところだけど上の人は言ってもいいってさ。さぁどうする?これを聞いて君はどっちを選ぶ?」

 結婚、私の周りはどんどんと結婚していっている。招待されるわけではないが結婚してんだってと言う話を聞くたびに焦りを感じ始めていた。このままではまずいとどこか不安で仕方がなかった。でもこのままいけば結婚できるのか。運命の人がどこかで現れてあの心を踏み潰された様な劣等感を感じることはなくなる。

「仕事を辞めたら」

「君の気持ちはよくわかるよ、結婚できないからね。この言い方でわかったと思うけど本当にできないよ」

「お前は結婚したいか?」

「別にいいかな、また先のことだしさ」

 そうかこいつは四年前の私だ。その時の感性しかない。あの頃の私は結婚というものがどこか遠いものだと思っていた。あまりにも現実的じゃなくて実感がなかった。周りにも結婚している人はそんなにいなかった。劣等感を感じる事もない。

「お前にもわからないものがあるんだな」

「それゃそうさ今の君の気持ちや思っていることを四年前の君が理解できると思うかい?」やはりそうだ。これで確信に変わる。

「ちなみにこれから起こることを上の人は知ってるのか?確実に」

「それはわからない僕も聞いただけだからね。こういう人生を歩みますよーみたいなものをだから本当かもわからないけどでもなんか嘘じゃない気がするよね」

「そうだな、現状が全てを物語っているな」

「でしょ?不思議なことは起こる。こんなことができるなら未来なんて簡単に見れそうだよね」こいつも本当のところ分かってはいないんだ。今の私とそう変わりはないのかもしれない。

「ねぇー早く決めてよー、悩む気持ちはわかるけどさ」

「お前はどっちを選んでほしいんだ」

「それは言えないよー。でもなんとなく感じるでしょ?」少し誤魔化した様に笑いながらこいつは下を向いた。きっと誰かが話を聞いているんだ。言っちゃいけないことを言わない様に監視している。

「じゃあ!カウントダウンしようよ。あまり長いと時間切れーみたいになって何が起こるかわからないしさ、なんか嫌な予感がするんだよ」

 天職か結婚かこの二つの間で揺れ動いていた。結婚したってずっと仲良くできるかなんてわからない。別れが来てしまうかもしれない確実性のないものだ。一方天職の方はより確実性がある。楽しい仕事を一生できるかもしれない。給料が少なくても周りの人に恵まれて楽しい人生を歩むことができるかもしれない。

「ほらいくよ!10!」

 劣等感を感じなくていい

「9!」

 嫌な思いをして働かなくていい

「8!」お金もそこそこあって幸せな生活が送れるかもしれない。確実性は少ないけどそれは2人でうまくやっていけばいいのかもしれない。

「4!」

 悩む時間はどんどんと減っていく正常な判断をするためにはもっと時間が、

「3!」

 どっちを選べばいい。きっとお前は辞める方だろう。

「2!!」

 私の人生にがこれで決まってしまうのか。

「1!」

 私は劣等感を感じたくない!あんな思いをしたくないー

「0!!」

「さぁ!選ぶんだ!」

「仕事を続ける!幸せになりたい!家族に囲まれて死ぬことに賭ける!」

 少しの沈黙のあとすーーっとあいつの姿が消えて行くそうしていつもの風景が現れ始めた。これでよかったんだ!私は幸せになれる!きっと運命の人と2人でうまくやっていける!大丈夫さ!きっと何もかもうまくいく!

 仕事だけ耐えればいい家族のために頑張ればいいんだ!

 ピロピロピロ「間もなく電車が参ります」

「7時50分発の電車が参ります。白線の内側までお下がりください」

 おかしい、なんで

 遅延してないんだ。すぐに腕時計で確認する。時刻は7時49分時間が戻ってる。何でだ?確かに遅延していたし周りのみんながどよめいていた。それなのに何食わぬ顔でみんな電車を待っている。どうしたことだ。あの謎の場所に行って帰ってきてそうしたら時間が10分ほど巻き戻されている。あの空間の特殊能力なのか。それなら納得はいくが果たしてそんなことまで出来るのか?

 電車がホームに入ってきた。

 ドンッ!

 後ろから何かに突き落とされる。振り返ろうと後ろを振り返ったが顔が見えない。けれどとても辛そうな顔している。やばい死ぬ。私は死ぬのか。どんな仕掛けだったんだよ。幸せな未来が待っているはずなのに。

 あいつが望んでた方ではないけどちゃんと選んだはずなのに。

 キキッー!ものすごい音を立ててブレーキの音が聞こえた。それが最後の音だった。

「本当に残念だよ、君が仕事を続けるなんていうからさ」

 僕は今朝電車に飛び込んで死んだ。

 何の訳かわからないがもう一度生きたいかと聞かれたんだ。仕事を辞めて新しい天職を見つけて今の苦しみから解放されたいかと。僕は強く願った。そうしたら上の人はこう言ったんだ。4年後の君に全てを託せ。4年後の君が仕事を辞めることを選んだら助かる。同時に存在する4年後の君と今の君は何の支障もない満足のいく人生を歩める。けれどもし仕事を続ける方を選んでしまった場合は今死んだ君は4年間は生かしてやろう。君に起こった事象を4年後の君が肩代わりするんだ。

 君が自身の手で4年後の君を突き落とせ。それが済んだら君は仕事を辞めてもいいし何をしてもいいけれど。君は4年後に確実に死ぬ。電車に飛び込んで確実に死ぬ。誰かに突き落とされてね。その時落とすのは4年後の君かな?それとも私かな?

 どうにかして僕と君が一生の人生を満足のいくものにするには仕事を辞めさせなければいけない。そう言った誓約の元僕は4年後の君に会いに行ったんだ。僕が何もかも知っている人間を装ってなるべく恐怖に近いものを演じて。二つの選択肢の両方とものメリットを言ったのだって口から出まかせさ。君は信じていたみたいだけどね。

 本当に残念だよ。何てバカなんだ。目先の劣等感なんかに目を向けて本当に大事なこと気づけずに幸せになれるルートを選べたのに。

 あーあ、僕も4年後に死んじゃうのか。

 もっと生きたかったな。バカな事したな。どこからともなく声が聞こえる。


「4年後、執行の時にまた会おう。自殺の罪の重さを知るといい」

 

 僕もまた目先の欲に負けた1人なんだ。

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