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オレつづ  作者: 木荃好葉
妖事~ようじ~編
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第五話 不自然の月

「えっと、つまりコノハさんは異世界から来たと……?」


英蔓賢の戦闘時、木荃好葉は近くにいて話しかけてきた冒険者四人と、話を続けていた。


「うん、どうやらそうらしいんだよね。あの時は少し混乱したけど、今は逆の意味で混乱しているよ。どうしてここではこの言葉が通じるんだろ?」


「それはこちらのセリフだよ、まったく」


青い宝石の杖の人が悪態かな?文句ぽっく言った。

この人は少し気が強そうだな……。

ボクはできるだけこの人たちと仲良くしてこの世界の情報を集めると同時にみんなと合流したい。余計なことをされなければいいけど……。


「とりあえず、ボクは君らのことをなんて呼んだらいいかな?」


すると盾のおじさんが話しだした。


「えっと、それでは俺から。俺はアート。このチームのリーダーです。そのままアートと呼んでください」


盾のおじさん、アート、リーダー。おっけ。

……多分これで忘れない。多分。


次に、腰に剣をさしたおじいさんが話し出した。

この人は今まで話していなかったな……無口?


「ワシはカル」


……あ、終わり……?うーん、大丈夫かなぁ。ちょっと年齢的に戦闘は心配……そだ!


「ごめんね、ちょっと。『魂術・魂観』」


「「「「ん?」」」」


魂術とは、ボクだけが使える術で、さっきテンタクルシザースを倒した魂睡恨水も、これのうちの一つ。主に魂を操るなんでもありの術で、十五個位ある。

魂観は、相手の魂……つまり、ステータスを覗くことができる術で、戦闘前に隙があれば使って相手のスキルを把握するのに使うことが多かった。

ちなみに術って言ってるけど、正しくは魔法だし違いはない。どっちでもいいっぽい。



カル 剣士 66歳


体力:1482/1522 魔力:217/217

攻撃力:523 防御力:346

瞬発力:341 その他力平均:280


使用可能スキル

剣技>



うん、全体的に悪くない、特に攻撃力が高い印象だね。今までの経験上、ステータスはだいたい三百くらいが多いイメージで、体力は千五百くらいかな。

それにしても六十六歳でこのステータスなのは驚いたな。これなら確かに任せられるかもね。


「あの、今のって……?」


「え?あぁ、気にしないでー。なんでもないってことで」


この世界ではどうか分からないが、少なくともボクが元いた世界ではステータスを覗けることはありえないことだった。余計なことを言って面倒なことにはなって欲しくないからね、これは秘密♪


「はぁ、まあ良いけどさ。あたしは攻撃魔法担当のラー。元盗賊で、ワケあって王族の宝を狙ってあちこち飛んでたわけよ。あたしが言うのもなんだけど隠し事はあまりしない方がいいよ」


青い宝石の杖の人がラー。攻撃魔法担当。

なるほどね、元盗賊。だから動きやすそうな、杖の似合わない服を着ているのかな。絶対寒いよ。それにしてもいい服……シルクみたいな感じで肌触り良さそう。高いよ……?


「ありがと。でもこれはどーでもいいから」


「そ?なら良いけど」


ラーって、冷たい人に思えるだろうな。だけど、よっぽど腕が良くない限りそんな人をそばに置いておく理由なんてないから、きっと根は良いんだろうな。そうボクは信じる!

まぁ?気にかけてくれてるみたいだし?冷たい系ってよりかは面倒見のいいおねいさん系じゃないかな?多分。


「えっと、それじゃぁ最後、私はリン。回復魔法が得意です……。よろしくお願いします」


ラーとはまたタイプが違いそうだね。ザ・魔法使いな格好だし。かなり大人しいのかな?

えっと、自分から宝箱とかを開けることはなさそうだから、一回ドッキリで驚かせてから……って、やばい!ついイタズラの計画を……。


「うん、よろしく」


そう言ってボクが手を差し出すと、リンは少し顔を赤らめた。


「あの!えっと……」


「え、なに?」


「いや……あのー」


リンがボクが差し出した手の前で自分の手を曲げたり伸ばしたり……え、握手しよ?あのぉ腕が疲れてきた……。


「リンはあんまり男の子に慣れてないんじゃない?近くの男なんて、リーダーとカルさんだけだし」


ラーがそう言った。

なるほど……じゃぁ握手は諦めようかな?その方が……。


「いや、違うの!その、えっと、カッコよすぎて……」


「「「「え」」」」


あ、え、ん?初めて言われたような、久しぶりに言われたような……まずい、分かんない。急に手ごわく……って、あ。またイタズラ思考に。


「なんかちょっと意外だった……まさかリンが……」


「まぁ、リーダーとしても別に良いんじゃねぇのか?あ、リン……だからお見合いの話断ってたのか?」


「いやそれは単純にあいつが気に入らなかったからです」


みんな口々に言う。いやお見合い相手かわいそすぎない!?


そんな風に、ピクニックみたいに地面に座って平和に話をしていた時だった。


「ん?なにか来る……?みんなかな」


風上の方になにかの気配を感じた。

一、二、三……いやその程度じゃない。もっとだ。百近い……動物の群れ?


「いえ、これは……魔物の群れです!」


「げ、さっきのテンタクルシザースみたいなのがいっぱいいるってこと?あ、でも今回は動物っぽいけど」


「コノハ!立って、戦える?」


ラーが杖を片手にそう言う。戦えるけど……でもどうしようかな。


「うん、でもどうするべきかな?剣、攻撃魔法、補助魔法」


同時に四人が驚く。この光景をさっきから今までで何回みたんだろう。でも見飽きないんだよね。


「そうね……ツッコミたいところだけどここは剣で。魔法は任せて。火属性得意だから……って、あんた剣持ってないんじゃないの?」


「あー、それなら、『魂術・シニガミノツルギ』」


ボクは空気中に自分の魂の欠片を集めると、特殊な魔力で固め、剣の形にした。

その剣は青く、持ち手から剣先にかけて枝分かれした柄が水色に脈打つように光っている。あまり綺麗には作れないから少しでこぼこしていていびつだけど問題はない。と思う。かなり大きくてボクの腰よりちょっと小さいぐらいあるんだけど、素材魂だからめちゃくちゃ軽い。


「すごい……コノハくんすごい……!」


「はいはいリンは落ち着いて。まぁアタシも落ち着けないけど。さ、敵来るよ!」


顔を上げると、遠くに大量の煙?をたてて大量の動物のような魔物が突進してくるのが見えた。


「リーダー!」


「あぁ!カル、ラー!俺に続け!コノハ!無理はするな!リン、いつも通り回復を頼む。俺たちの後ろにいろ!」


「「「「はい!」」」」


「行くぞー!」


その掛け声で、ボクたちは一斉に走り出した。本当はそうするべきでは無いと思うんだけど、とりあえずついて行こう精神で戦うか。


「うおぉぉぉお!『ライフシールド』!」


アートがなにかのスキルを発動させた。

ボクたちの目の前に魔力の壁が構築されていく。それでどうするつもりだろ


「『剣技・乱れ切り』」


カルも続いて多くの敵を切る。どうやら生物だけが通れない壁のようだ。魂が引っかかっている。だから剣は相手に当たり、切る事ができるのか……ナルホド。


「いくよ、『フレイムエリア』」


ラーが地面を燃やす。アートの壁とカルの乱れ切りによって魔物の多くは避けきれず、足から燃えていく。

かなり良い連携だと思う。特にこちらからも攻めに行って突然壁を出したものだからほとんどの魔物が止まれずに焼けてしまった。突っ込んだも作戦だったのかな?


「ただ、まだかなり残ってるね。『月剣術(げっけんじゅつ)魅火月(みかづき)』」


ボクはシニガミノツルギに魔力を込めると、横に大きく振った。


月剣術も特別。これはシニガミノツルギでのみ発動させることができるスキルで、振るとその軌道上に斬撃が現れ飛んでいく。

魅火月は炎をまとった斬撃で、なんと……!


「ガルルルルルルル!」


当たった相手を燃やしてさらに魅了することができる!燃えている状態で素直に言うことを聞く敵の姿は、なかなかおもしろおかしいよ。


「さ、良い子のみんな?潰し合おうか!」


「「「「ガルルルルルルルルルルルル!」」」」


あっという間に魔物同士の大乱闘。

互いに相手のことを信じられなくなり、魅了の効果関係なく潰しあっている。

呆然とする四人。


「おま、今何を……」


「なんか、ピューンって、黄色の燃えてるのが飛んでって……」


「……?」


「コノハくんすごい……!かっこかわいい!最高!」


そこでボクは月剣術、そしてその中の魅火月について軽く説明した。

イタズラ好きとしてはこの驚いた顔はほんとに好き。いつまでも見ていられそう。見ていられる。


「まぁ、お前が異常に強いことがわかったな。あぁ、敬語?やめているぞ。だって俺たち、もうチームだろ?」


その時、ボクの体が少し震えた。最後にキラーンっていう幻聴が聞こえた。ボクももうそんな歳か。


「そーゆータイプね……まいっか」


そうして話している間に百を超える魔物の群れは全滅していた。

再びそこに平和が……訪れる訳もなく。


「そういえば、なぜ突然魔物の群れが……?」


「……あ〜、正解発表。更にだいぶ奥からなにか来る」


魔物達が襲ってきた方向から、巨大ななにかが来る。

……コイツ……明らかにレベルが、気配が違う……。

まだ遠くて姿は見えないが、間違いなく強い!ボクと比べたらそれほどでもない……かも。


「なにも感じないし……なにも見えないけど……?」


「そうだな……『魂術・魂察』」


周囲の魂を察知する魂察。これにより相手の大まかな形、位置が分かる。


「今なにを……?」


「……ねぇアート、ひとつ聞きたいんだけど……」


「なんだ?」


「アート達は、さっきの群れで少しは苦戦する?」


アートは一息飲んで言った。


「……そうだな。体力の限界がきて連携がとれなくなって、かなり危なくなるかもな。さっきはコノハが助けてくれたから良かったが、俺たちだけなら危なかったかもしれない」


「そうか……それなら逃げるのも手かもしれない」


カルを除く三人が訳が分からないと言う。

カルはというと、年寄りの勘とやらで察しているっぽい。ニンゲンって結構スゴイんだね……。


「それってどういうことですか……?」


「今近づいてきている奴、さっきの群れ全体の三倍ほどは少なくとも強い……!ボクを仲間としてくれるのは嬉しい。だけど、だからこそ危険に巻き込めない……!」


と、いうのはいわゆる建前ってやつなんだけどね。だって詳しい強さは分かんないんだし。

実は、ボクこの人らの思考をこっそり無詠唱の、魂術・魂話で覗いていたんだよ。

魂話は対象の魂と会話するスキル。それで相手の魂の言葉、つまり本音を一方的に聞いていたんだ。

その結果、この人らは心の底から正義で動いていることがわかった。

ボクは今まで、あえてこの人らの前でスキル名を言っていた。本当は魔力を変化させたり操るだけだから言わなくていいのにだよ?

……そうする事で、この人らは、ボクもスキル名を言わなければスキルが発動しないと思い込んでいるんだよ。

だから、多少魔力を感じても、それがボクのものだとは思わない。だからスキルをこっそり発動させられる。


正直、今近づいてきているやつって、少し考えたら簡単に倒せると思うんだよ。ボクは即死技も持ってるしね。

でも、こうやった方が、ボクへの信頼って高くならない?

多分この人らは正義の心でついてくるし、そうしたらボクは少し苦戦した演技をして共闘すればいい。

みんなのために一人で行こうとする好葉。だがそれを拒み、みんなで苦戦しながらも戦い、そして勝利。どう?


「ふざけるな!リーダー命令だ。俺たちはチームだろ?俺たちこそお前一人を行かせることは出来ない!いくらお前が強くてもな!」


アートは操りやすい。問題はカルだ。他のラーやリンは、アートについて行く気だけど、カルだけはなにも考えていない。本音が無なんだ。訳わかんない……。


「……分かった。風上一キロメートル先。本気だすよ」


「……あぁ!行くぞー!」


「「「おおー!」」」


今もカルはなにも考えていない。不気味な程に静か。

なにも考えずにその場のノリに乗っているだけ……?そんなことがニンゲンにできるの?


「とりあえずボクの視覚共有するね。本気を出せば一キロくらいは見えるはず」


ボクに「アンタ本当に人間辞めてるわね」って言葉は効果がない。無視無視。


「……!見えた!」


指さされた方を見ると、九百メートル程先に、ゆっくりと進むオークが居た。ただ……。


「なに?あのオーク、めちゃくちゃデカイんだけど……!」


ラーの言う通り、そのオークは、オークの近くに生えている木と比べるとかなり大きい。三、四倍はありそうかな。


「お前らか……!」


すると図太い声が聞こえた。間違いない、巨大オークだ。九百メートル先の声が聞こえるなんて……ボクの耳が良いんじゃない。いや良いんだけど、アート達も聞こえているらしい。


「お前らがわしの軍を蹴散らしたのだな……!」


やっぱりあの群れの原因か。

と、考えていると、巨大オークはとんでもない速さで突進してきた!

八百メートル先、七百メートル先、五百メートル先、二百五十メートル先……!


「覚悟しろォォォオオ!!お前らァァァアア!!」


するとアートが素早く前に出て、


「『スロウシールド』っく……!ぐあ!」


「「「「アート!」」」」


今アートは巨大オークに鈍足効果をつけたはず……鈍足が効かないのかな。厄介な……。


「リン、アートのこと回復して!くっそあのオーク……!」


ラーがリンに指示し、カルが剣を構える。

すぐ側に来た巨大オークは、三十メートルはあった。


「グワッハッハッハッハ!まさかそんな貧弱な体でわしの軍を壊滅させたというのか……?まぁ良い、見たかハエども!これが獣の忌族長の、アウグ様の力じゃあ!」


一旦魂話は解除しておこう。少しうるさい。

それより、ケモノノキゾクチョウってなんだ……?


「そんな……こんなところに忌族長が……?」


「リン……忌族長って?」


「忌族長というのは四天王の配下で忌族っていうのに属している、とにかく強いやつらなtvんです……!」


その時、後ろからなにか気配を感じた。

上だ、気づけなかった!まずい、こいつもアウグと同じくらいの強さ……!

一体なら余裕だ。この距離だからどれ程の力を持っているか、大体さぐれるから。でも二体で連携されると手こずるかも……。


「アウグ、今お前は蝿をバカにしたか……?」


「ザール……!どうして貴様がここに居る。ここはわしの領地!今すぐ出ていけ……!」


「脳筋はなにも覚えれないようだな……。我が名はゼアル。そしてここはまだ我が領地だ。ギリギリな。境に線を入れるべきではないか……?」


ゼアルと名乗ったその蜂のような蝿のような魔物は、空中で停止すると、アウグと何やら喧嘩を始めた。

これなら少し揺さぶれば同士討ちも可能かもしれない。少なくとも連携は心配しなくて良さそうだね、良かった。


「アンタは誰……?きもちわるいんだけど」


ヤバい、ラーが喧嘩売った!ゼアルの実力に気づかないの!?


「ふむ、愚かなニンゲンには理解できないだろうな。この輝く体と無数の眼球の美しさは……。芸術とは理解されぬものが最も美しいのだ。良いか?我はゼアル。蟲の忌族長である」


コイツも忌族か……まぁ予想はついてたけど。

ただ、忌族が二体も現れることなんて、ありえないんだろうな……。

今回はとにかく不運だった。さっき領地がどうとか言ってたから、この今ボクたちがいるここは、二人の領地の、ちょうど境目なんだろう。

他の忌族の領地に入ることは許されていないみたいだから、本当に不運だ。


「なぁ、アウグ。やることは分かっているな……?我はこの小娘のことは必ず殺す。お前はどうする?」


「決まっておろう、全滅じゃ!こやつらは、我が軍を壊滅させたのじゃからなぁ!」


マズい!


「そうか、どうでも良い。覚悟するのだな」


最悪だ、結託された……。このまま喧嘩してくれてたら良かったのに。魅火月を使う?いや、もしかしたら効果が中途半端になって誰彼構わず襲ってくるかもしれない!


「お前ら、気をつけろ、威力がケタ違いだ……!」


どうやらアートが復活したみたいだね。

実際にくらった人の言葉は重みが違うね。


「全員構えろ……最悪逃げるんだ!」


「「「「はい!」」」」


ゼアル、アウグが笑う。


「ふっ……哀れな者共だ。『乱針蜂(らんしんほう)』」


「まったく。逃げ切れるわけがないのにな!『波動突(はどうとつ)』!」


二人が同時にスキルを発動させる。しょうがない。

ボクはシニガミノツルギを構えると、スキルを発動させた。


「『月剣術十二ノ月(じゅうにのつき)七日ノ週(しちじつのしゅう)』」


自分を中心に十二の斬撃を、七回。合計八十四の斬撃を出す技。

他の四人に当たらないように、一旦全員を一箇所にまとめて素早く空中に飛び、発動させた。


これにより、ゼアルの無数の針、アウグの周りを破壊しながら進む技を弾いた。


「これは……ふむ、アウグよ、貴様の軍はコイツにやられたのではあるまいか?」


「有り得るのぅ、ならば、まずはコイツからじゃ!」


アウグ、ゼアルの矛先がボクに向いた。

良し、勝った。ここはエリートに任せなさい!ってね。


「カル!ラー!リン!コノハの補助を……!」


「アート、大丈夫。ボクは死んで欲しくない。それに、月剣術を本気で使うためには、だいぶ離れていて欲しいのが本音」


アートは少し黙ると、小さく頷いてみんなを連れてその場を離れた。

うん、こんだけ離れてくれたら十分だ。

ボクとしては正直死んでもらっても問題は無い。いや、そういうヒドイ意味じゃなくて、蘇生できるって意味で……。


「仲間思いのやつよ、そういえば、同じ忌族にも居たな。なぁ?アウグ」


「知らぬのぅ。いずれにせよ、仲間思いのやつから消えていくのじゃ。味方を守ろうとしてな」


「う〜ん、それはどうかなぁ。仲間思いのやつが、異様に強かったら?」


二人がこちらを見る。


「怖気づいた強がりか?可哀想に、今楽にしてやろう。『高熱黄霧(こうねつおうむ)』」


ゼアルの背後から黄色の霧が現れる。その瞬間、一気に空気が暑くなった。


「お前はこれを避けて戦えるのか?」


「……よゆー」


「なに!?」


「アウグ、乗せられるな。霧を避けて戦うなど不可能だ。落ち着いて確実に殺すぞ」


それがそうでもないんだけど、早く終わらせるに越したことはないね。


「『月剣術・天津ノ月(あまつのつき)』!」


その瞬間、その草原からはほとんど全てが無くなった。


天津ノ月。ボクの使うスキルでもかなり強い。必殺技。

瞬時に自分を中心に、放射状に斬撃を出すという単純なスキルだが、その速さ、斬撃の大きさと威力、そしてなにより、その斬撃が時間経過で勝手に増殖することで辺りが一瞬で斬撃に埋め尽くされるという所に強みがある、と思う。


「な、にを……した……!」


ほとんど原型を保っていないのに、アウグが話しかけてくる。忌族の生命力には驚いた。


「……地皇(ちのう)様……魔王様……万歳!」


アウグは倒せた。ゼアルは?


「くっ……!」


声のした方を見ると、羽を失ってもがいているゼアルの姿があった。

ゼアルの体は思っていたより硬かったようで、少し傷はついているけれど致命傷にはなり得ないものだった。


「くっ……地皇様……!」


地皇ってなんだ?ついさっきアウグも言っていたけど。


「ねぇ、地皇ってなに?」


「貴様に言うことなどない……もう良い、殺せ。お前もどうせすぐに地皇様に殺される……!」


こっちに向かっているのかな?なら急がなきゃ。


「そ。じゃ、バイバイ。『月剣術・朱月紅血(しゅげつこうけつ)』」


コイツに攻撃は効かない。だから当たらなくていい斬撃を使う。

朱月紅血。近くの血を吸う赤い斬撃。

まもなくゼアルは息絶えた。

どうも〜!木荃好葉(このうえこのは)です!

(((o(*-*)o)))イエーイ♪


ちょっと、獣の忌族、蟲の忌族、もうちょっと頑張って尺稼いでよ〜。妖事編は計十五話程度の予定なんだけどな……。今まだ三話目だよ……?

ただ、どうやら四天王の一角、地皇とやらが近づいている様ですね……。


ところで今、英蔓賢、太谷喜雷、黒幕先生はどうなっているのか……!


読んでいただきありがとうございました!


最後になりましたが、コメント等いただけると……!

嬉しいです、助かります!意見感想待ってます♪


それではまた!( ・ω・)/バイバーイ

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