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オレつづ  作者: 木荃好葉
譚生~たんじょう~編
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第二話 平和な帰り道

その日は時間割りなどの簡単な説明で終わった。それと先生の名前は黒幕先生で決定した。それで本当に良いのかよ。


「じゃーねー!!!」


「喜雷くんうるさい〜!じゃ、ボクは魁斗くんと一緒だから〜♪」


「じゃぁな、英蔓。ん?……英蔓は帰らないのか?」


「あぁ、俺は……」


突如太谷が振り向き、大声で叫んだ。


「英蔓くんは学校に住むんだってー!!」


人のプライバシーを守るということを知らないその言葉は、俺たち以外の姿が見えない寂しい町に反響する。


「あれ?太谷、なんで知ってんだ……?」


「く、黒幕先生に聞いたー!」


まさかこの距離で、ボソッと呟いただけなのに聞こえるとは、太谷はかなり耳がいいのか?

ところで、学校に住むとは一体どういうことなのか。少し時を戻そう。



その簡単な説明の後。みんなが教室から出て、俺もいざ帰ろうとした時に黒幕先生が突然話しかけてきた。


「英蔓、お前、この学校に住んだらどうだ?」


「え……?いや、俺家ありますけど……」


「でも山奥で電気も通ってねぇんだろ?ここには食べ物も風呂も布団もある。……それでもお前は、家に囚われるか?まぁ、強制じゃねぇ、一つの提案だがな」


「……家に囚われるってどういう意味ですか?」


「……先生がお前らを、適当に集めたと思っているのか?」


声のトーンが、少し下がったような気がした。


「……四人……まさか!」


「いや、違う。お前の家を除く三つは既に絶えている」


先生はなぜ俺の事情、“アレ”を知っているんだ……?


「じゃあ……」


「それで、どうする?ここに住むか?」


ここにいれば、黒幕先生からなんらかの情報を得ることが出来るかもしれない。離れる理由は無い。


「……はい!」



と、いうわけで、俺の家は山奥のボロボロの家から町の隅っこの廃校にレベルアップ(?)したというわけだ。



ー木荃好葉&屍形魁斗の帰り道


人一人いない薄暗い道路。そこは道路も壁も学校のようにヒビが入っており、とても通学路とは思えない場所。落書きですら、そこには無かった。


そんな場所に人影が二つ。ゆっくりと進んでいる。


黒い帽子をかぶり、黒く長い上着を紫のシャツの上に着た小柄な男が、隣の薄い茶色の服の、緑の布を腰に巻いて紐で結んでいる男に話しかけた。


「……なぁ、木荃でいいよな?」


「うん。ボクは昔のボクを殺した。今は木荃好葉だよ」


小柄な男、屍形魁斗は少し考えるとうなずいた。

どこか、今の木荃好葉の言葉に納得出来ていないようだった。


「分かった。ところで木荃、気づいたか?」


「気づいた……どっちに?賢くん?それとも喜雷くん?」


「じゃあ先に英蔓から聞こう」


「分かった。英蔓くんさ、あの伝承が正しければ間違いなく……」


「あぁ。光を帯びる唯一の者。別れし世界を滅し、我らの世界を救わん。その選ばれし者は……」


カラスの鳴き声が不気味に連鎖し、その言葉を打ち消す。


「でも有り得るのか?もう数百年も前の話だ。勇者と言えど人間。生き残れるわけが……」


「あいつの魔力、光属性だったけど、ボク程度も無かった。自分の魔力を削って生きながらえたか、あるいは子孫か……」


「それならおそらく子孫だな。今のところおれたちの正体には気づいていない。気づかれても今の状態なら勝てる」


その言葉に、木荃があれ?と首をかしげる。なにかを思い出そうとするも、苦戦しているようだ。

少しして、ハッっと顔を上げた。


「あれ、トラウマじゃないの?前に言ってなかったっけ?」


「……あぁ。そのトラウマを無にする」


「そお?まぁ、とりあえず今は様子見かな。確定じゃないし、下手に暴れるのは良くないよ。それで喜雷くんなんだけど……」


「あぁ、あいつはヤバい。英蔓よりも」


と、屍形が英蔓よりも、をやや目立つようにか強く言う。


「うん、喜雷くんの魔力、ボクの『月剣術(げっけんじゅつ)天津ノ月(あまつのつき)』の時の魔力に近い」


「……なるほど、それであの見た目……納得した」


木荃の足が止まる。


「なに?……まさか」


「あぁ、不完全な、な」


「なるほど……それでさ、話は変わるけど、後ろにお客さんが居るみたいだよ?」


木荃の、綺麗な緑の目の中のオレンジと紫の光がきらりと輝く。そして目を細めて後ろをこっそりと覗く。まるで都合のいい人を見つけたいじめっ子かのような、狩りをするような、遊ぶ前の子供の目だ。


屍形が紫の目を閉じ、ほんの少しだけ口角を上げる。


「あぁ。悪意を感じる。今やれるか?」


「……もちろん♪」


ー太谷喜雷


人一人いない薄暗い道路。しかし道路も壁も学校のようにヒビが入っている訳ではなく逆に綺麗で、とても誰もいないとは思えない場所。謎の落書きがそこにあった。


(王)/○\(。)


そんな場所に人影が一つ。うつむきながら進んでいる。


丸っこい体をし、ツンツンにとんがった爆発のような黒い髪の毛の男……?が、なにかブツブツ言っている。


「今のところ順調、世界によっては途中で妨害されたものもあるらしいから、注意しないとね。この世界でなんとか倒せたらいいんだけど、そう簡単にはいかないだろうなぁ」


そこまで言って男は立ち止まる。


「何か嫌な予感がする。想定外の事が、もう時期起こる気がする。記録にないことをされるとオレと先生が困るんだ。こういう時は、神頼みをするべきかな……少なくとも、頼む相手は選ばないとね」


その不思議な男は、一つくしゃみをすると、空を見上げた。


「あ〜、誰かオレのウワサした?」


ー木荃好葉&屍形魁斗


二人はさらに暗い奥へと進んでいく。そこはもう、昼間とは思えないほどに真っ暗な場所。


「あのガキども……どこ行くつもりだ……?」


二人の背後、十メートルほどの電柱に、黒い帽子とサングラスをつけた、見るからに怪しい男がコソコソと隠れている。


「くっそ、適当なガキ襲って身代金貰って終わるつもりが、なんだココ、この町にこんなところあったのか……?」


二人はなにかをコソコソと話している。内容は上手く聞こえない。


「あのショートカットの女とチビ、もしかして俺に気づいてやがるのか?それでどこかに誘導しようとして?いや、まさかそんな……」


「そうだよ?」


あたりにやや高い、余裕そうで楽しそうな声が響き渡る。

その声に驚いたのか、無数のカラス達が大声で鳴きながら暗い空へと飛び立つ。


「ってめぇ、やっぱり気づいてやがったか……!」


「逃がさないよ?不審者さん。ボクらを選んだのが悪かった。それで誰がショートカットの女だよ、ボクら一応男ですけど?」


不審者と呼ばれた男は、短くクソッっとだけ言い、逃げ出した。


「木荃が、コイツがお前を逃がさないと言っただろ?逃げられるわけがないんだ。おれも居るしな」


「……へ?」


今度はあたりに、地の底から聞こえてきたかのような低い声が響き渡る。男はつい下を見る。なにもない。が、男の逃げようとしていた足は、金縛りにあったように動けなくなってしまった。


「ねぇ、不審者さん、目線を上げてみて。奥になにか見えない?」


ゆっくりと顔を上げる。俺は本能で理解していた。この二人は本当にヤバいと。自分の命が危ないと。いや、もう手遅れなのだと。しかし脳みそはそれを理解出来ていないようだった。


「見えるかな、綺麗な川だよね。まったく濁っていない。本当に美しい。そばに無数に積まれた石でさえ美しく思える……。気づいていなかったのかな、ボクたち、アレを越えてきたんだよ」


それがなにか、それはなにを意味するか、悟った。

途端に脱力し、膝から一気に崩れ落ちる。


「お前たち、何者だ……?」


「貴様に言う名などない。大人しくくたばれ。今ここでこうべを垂れ、そのけがれた肉体から血を流すというのであれば今後の対応、考えてやらんこともない……」


男は滑稽とさえ思える速さで頭を地面に打ち付けた。当然、少しではあるが出血した。


「質問に答えろ。嘘は許さん。いいか、貴様はおれや木荃に、私利私欲のために悪事を働こうとしたな?」


「……はい」


「目的が達成すればおれたちのことは殺すつもりだったか?」


「……いいえ」


「魁斗くん、それ嘘。コイツ今殺すつもりではなかったと言えば罪は軽くなるとかいう汚い事考えてる」


「そ、そんな!違う、俺は……!」


「木荃、頼む。早かったが、お前はこれで終わりだ」


その瞬間、不審者は勢いよく隣の塀にぶつかった。そのあまりの勢いに塀が崩れ落ちる。

うめき声すら、その不審者は発する事ができなかった。


「まったく、少し魔力を込めて殴っただけでこれだなんて、ニンゲンってものは意外にもろいんだね」


その時、木荃好葉は軽蔑か、もしくは哀れみに近い眼差しを無表情で男に向けていた。その普段の彼の楽しげな様子からは絶対にうかがえないその目は、とてもこの世のものとは思えなかった。


「魔力を込める必要なんてあったか?」


淡々と低く、暗い声が響く。非常に落ち着いており、今のこの状態が当たり前の状態だと言うような態度に思えた。


「ボクはくだらないイタズラが好きだけど、割と確実を攻めていきたいんだよ。だからどんな小さなイタズラでもしっかりと準備する。今回も、コイツを仕留めるためにやったことだよ?」


その時、彼は笑っていた。まるで、小さな子供が、今日起こったことや自分がやった事を親に説明しているようだった。そしてどこか自慢げであった。


「そうか……つまりこの判断は正しかったと。まぁいい、この川の幻、そろそろ消すぞ」


川が煙のようにふっと消え去り、そこはさらに暗くなった。なぜ彼らが真っ直ぐに進めているのか分からないほどに、そこは、黒のみで構成されていた……。

どうも〜!木荃好葉(このうえこのは)です!

(((o(*-*)o)))イエーイ♪


好葉くん、まだ二話目だと言うのに早速キャラ崩壊ですかね……いえ、これが本性と言うことでしょう!多分!

様々な過去、事情があるようですね……。


ちなみに不審者さんの名前は、浦島幸太郎(うらしまこうたろう)です。彼の設定は考えるのは楽しいです。もし公開する時があればなと思ってます♪


え〜っと、読んでいただきありがとうございました!


最後になりましたが、コメント等いただけると……!

嬉しいです、助かります!意見感想待ってます♪


それではまた!( ・ω・)/バイバーイ

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