08 真実
朝、朝食後の歓談。
昨日は挨拶のみであった方々に、囲まれて質問責めに。
とても困った事に、いずれ劣らぬ秀麗な乙女揃い。
俺なりに頑張ってみましたが、マクラさんが側にいて気を遣ってくれなければ、この場から逃げ出して二階の客室に引きこもってしまっていたかも知れぬ。
我ながら、あらゆる意味で修行が足らぬ。
「情報、入りましたよっ、皆さんっ」
突然、リシェルさんが、居間に飛び込んできた。
ツァイシャ女王が誇る、国内外問わずの有志女性たちの情報網、
巡回司法官たちの総力、
そして、あの悪漢共から得られた情報。
全ての情報が繋がった結果の真実。
敵は、戦争屋。
エルサニアとクルゼスの、長きに渡る戦乱の影で甘い汁を吸い続けてきた奴ら。
戦争の火種が消えぬよう、姿を隠しながら巧みに双方を煽り、
意図的な停戦と開戦を繰り返させて、その都度増え続けてゆく甘い汁。
今回の、チームモノカがもたらした突然の終戦は、連中の意図しないタイミングでのものだった。
そして再度の開戦は、おそらくエルサニアのトップが代わるまでは、無い。
速やかな開戦のためにと連中がとった手段。
マクラさん拉致をクルゼス側になすりつける事によって、激怒したツァイシャ女王がエルサニアの総力で攻め込むであろうこと。
「連中は、さらったマクラさんをクルゼス城内で殺害する事まで計画していたそうですっ」
リシェルさんの顔が、怒りで真っ赤だ。
確かに、そんな事が起きれば効果的な開戦の火種となっていただろう。
そしてその情報は、この場にいる皆の闘志にも効果的に火を付けたようだ。
「それで、連中の本拠地は判明したのですかっ」
ノルシェさんが、怒りに震えている。
『乙女の守り神』とまで呼ばれた彼女にとっては、このマクラさんへの仕打ちは耐え難いものがあるだろう。
「ジオーネ、だそうです」
リシェルさんが悔しそうに、言った。