14 報告
全員、無事でした。
今は居間にて、労いのお茶会。
「マクラへの仕打ちの返礼、存分に振るってきました」
モノカさん、マクラさんを抱きしめながらの戦果報告。
突入から敵地内での大暴れまで、事細かに聞けました。
自警団に偽装していた武装集団も、両国から派遣されていた責任者こと黒幕たちも、一網打尽で捕縛。
もちろん、名簿を含む悪事の証拠物件は全て押収。
「かなりの多勢との乱戦だったそうですが、皆さん怪我が無くて何よりでした」
俺の言葉に、モノカさん、にやり。
「助っ人が、頑張ってくれました」
助っ人は、カミスさんのチームと、前王にして今はエルサニア独立遊撃部隊隊長のライクァさん。
ライクァさんの姉上はクリスさんの母上で、エルサニアの騎士だったそうです。
騎士である夫と共に派遣されたジオーネ近郊の戦場にて、御不幸に見舞われたとか。
ライクァさんは今回の作戦でチームモノカへの同行を志願されて、姪のクリスさんと共に獅子奮迅の働きだったとのこと。
「ようやく、父母の仇を、討てました」
身を震わせるクリスさんを、カミスさんが優しく抱きしめております。
それを優しく見つめるカミスさんのチームの面々。
ところでライクァさんはどちらにとモノカさんに尋ねると、
「ツァイシャ女王様と共に、クルゼス王と会談を」
前王、未だ御多忙の御様子。
「なぜだか分からないんだけど、モノカが歯をへし折ると回復魔法でも治らないんだよねっ」
それ本当ですか、アイネさん。
「私の腱切りはちゃんと回復できますから、私の方が優しいですよねっ」
そういえば、ノルシェさんの複数ある二つ名のうちのひとつが『金髪の腱切り魔』
あんなに可憐な乙女たちなのに、やはり只者では無いのです。
「アイネさんの魔導銃乱射、凄かったよね」
「シジミさんのトリップ魔法の魔導具も、とんでもなかった」
「マクラちゃんを怖い目に合わせるなんて、絶対に許せないっ」
チームミスキの三人娘さんたちも、大興奮ですね。
「みんな、一息ついたら各方面への証拠物件の複写の配達、大急ぎですからね」
「「「ハイッ」」」
ミスキさんたちも、お疲れさまでした。
「お母さんもみんなも、本当にごめんなさい」
マクラさんが、しょんぼりしております。
商店街にあるカミスさんのお宅から、この家までの帰り道。
いつもなら誰かが護衛として一緒にいるはずだったのに、大丈夫だからとひとりで帰ろうとしたことを、とても反省している様子。
「人から信用されること、人に心配させないようにすること、どっちも大事だってこと、マクラならもう分かってくれたよね」
モノカさんの優しいお説教、泣きながら抱きついているマクラさんに、ちゃんと届いていますよ。




