12 留守番
朝、皆、気合十分。
待ちきれないとでもいうように、諸々の準備に余念がない一同。
そして、準備万端整えたモノカさんたち。
正午少し前に『システマ』にて『転送』
俺たちは、不測の事態に備えて、邸内にて待機中。
広い居間に全員集合しているのは、お留守番の面々。
王城メイドのササエさん、
お医者さまのクロ先生、
モノカ邸メイドのフナエさん、
ちっちゃくも凛々しい冒険者服姿のマクラさん、
そして、俺。
「広範囲探査魔導具、異常なしです」
ササエさんが操作しているのは、魔導の力で周辺探索出来る探査魔導具。
「マツカゼ、問題なし、だね」
クロ先生の前にあるのは、魔導の力で遠距離連絡が可能な通信魔導具。
「『マスミ』、準備オッケーだよ」
マクラさんが握りしめているのは、魔導の力で強力攻撃が可能な魔導水鉄砲。
「皆さま、御武運を」
フナエさんが、皆に向けて微笑む。
…………
なぜか、皆の視線が俺の方へ。
「シナギさんも、ぜひ」
ササエさんからの、懇願のまなざし。
「こういうのはノリと勢いなので、何か一言だけでもお願いしたいな」
クロ先生の口元が、笑いをこらえているみたいな。
…………
マクラさん、そんな目で見ないでください。
「『ぶなしめじ』は、いつも通り、なのです」
万年孤独な武芸者には、このノリは、キツいです。




