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弱小天文部員、星野エリの放課後  作者: プリン田中
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予備校での雑賀と更科

 サッカー部の練習を途中で抜け出して、予備校まで全力疾走した更科は、教室に入ったときにはシャツがびっちょり濡れていた。予備校の授業に遅れたくはないが、サッカー部の練習も精一杯やりたい更科は、時間短縮のため、走るしかないのだ。


『あっちー。今日は英文読解だったよな。テキスト、持ってきたっけ』

 学校の教科書と部活のユニフォームでぱんぱんに膨れた、サッカー部員おそろいのエナメルバッグに手を突っ込んで、力なく探した。

『あ、忘れたわ……』

 最初に取り出せた、何かのノートで扇いでいた手を止めた。


『あそこにいるの、雑賀だよな。今日の分だけコピーさせてもらおうかな』

 雑賀に借りをつくることは極力したくない更科だが、なぜかいつも雑賀を頼ってしまう。

 汗で重みをもったシャツに鬱陶しさを感じながら、疲労した腰を上げた。

「さいがー。それおいしい?」

「ああ。まあね」

「なんだよ、浮かない顔して」

「いや、これ買ったときに沢口さんに会ったんだ。ちょっと、それ思い出しちゃって」

「かほちんに会えるとかサイコーじゃん」

 更科は、雑賀の隣の空いている席に腰かけた。


「まあ。で、何か用?」

 雑賀は目を細めて、更科を睨んだ。更科は雑賀に借りはつくるが、返したためしがないのだ。

「今日さ、テキスト忘れちゃって、コピっていい?」

 少し舌をペロッと出して、上目遣いでお願いポーズをした。 

 更科は雑賀が快諾してくれるようにと、更科なりにエリの真似をしてみた。


「うわー。やめろよ、気持ちが悪い。てか、手に持ってるのなんだと思ってんの?」

 雑賀の拒絶顔に更科はがっかりしたが、英文読解のテキストを自らの手で握っていたことを発見して、下がったテンションも元に戻った。

「俺、サイコー。てか俺、エリの真似、上手くね?」

「全然似てないし、早急に滅んでほしい」

「えー。雑賀きゅんの大好きなエリちゃんの真似をすれば、笑顔になると思ったんだよお。スマイルスマイル!」

 雑賀の両頬をつねって、強制的に口角を上げた。

「誰がそんなので笑顔になれるかって。現物支給に限る」

雑賀は更科の『英文読解』を取り上げて、それでかるく更科の頭を叩いた。

「現物支給だって? お前、デリヘ――」

「――やかましいっ!」

 雑賀は『英文読解』を更科の口に押し付けた。

「お客様っ、そういったプレイはご遠慮願いますっ」


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