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弱小天文部員、星野エリの放課後  作者: プリン田中
18/40

エリと速水、雑賀、小林の放課後

 夕方五時、東光駅のロータリー中央にある大きなイチョウの樹には、なん百羽というすずめが停まっていた。

 すずめも二三羽ならば、鳥のさえずりも風流に聞こえるが、あれだけ多いとなると、さえずりどころの騒ぎではない。騒音である。


「何? もう一回言って?」

 エリは速水の声がすずめたちの鳴き声で聞こえなかった。

「エリはもうこのまま帰るの?」

 速水はエリに顔を近づけて言った。

「ううん。塾に行く前にここらへんで何か食べるよ」

「なら、ジョイキチ行かない?」

速水の指差す方にはファストフード店の『ジョイキッチン』がある。東光学院の生徒には『ジョイキチ』の愛称で親しまれている。

「いいね、入ろ入ろ」


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 雑賀は予備校の教室についてから、レジ袋の中身を取り出した。

 

 黄色を基調とした、派手なパッケージは一度見たらなかなか忘れられない。紙パックの中央には大きく『Rooibos Tea』と印字されている。

 雑賀はエリがルイボスティー好きと聞いてから、自身も時折飲むようになった。

 

 授業前のブレイクタイム。ストローから吸い上げられたルイボスティーが、乾いた喉に潤いと幸福感をもたらす。


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 小林真紀はハギレが大量に入った、大きい巾着袋を腕に抱えていた。

 

 天文部と兼部している手芸部で使おうと、家にあったハギレを学校に置いていたが、さすがに使い切れないため、持って帰ることにしたのだ。

 

 校門から駅まで、普段の小林なら十五分もかからないが、今日は二十分ほどかかってしまった。

 乗る予定だった電車にはもう間に合わないので、近くの店で少し休憩することにした。


 東光生、行きつけの店『ジョイチキ』の自動ドアが開くと、店内のところどころに小林と同じ制服を着た人を見つけた。ぐるりと店内を見渡して、知り合いがいないが探したが、今日は誰もいないようだった。


「ん?」

 小林は窓際の奥の席に注目した。

 亜麻色のミディアムヘアに、小林がよく知らないキャラクターのぬいぐるみのついたスクールバッグ。向かいには、短髪でよく日焼けした肌の男子。


「うっそお!」

 思わず、小林はそこそこ大きい声がでてしまった。

『エリに彼氏がいたなんて! かほに報告しなきゃ!』

 レジでハンバーガーとコーラを注文し、トレーに乗ったそれらを受け取ると、小林はエリの死角になる位置に座った。小林は探偵になった気分で、エリと青年Xを観察していた。

 ハンバーガーを食べ終わると、リュックから携帯を取り出し、沢口にメールした。

『ヤバい! エリに彼氏がいる! ジョイキチでかっこいい子とごはん食べてる』

 送信。

 

 小林はえもいわれぬ達成感に満ちていた。


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