学園にようこそ
「...じょう、ぶか。大丈夫か!」
「んぅ…」
ラウルは目を開けると木製の天井が見えた。周りには青いフード付きの服を着た少年がいた。
「あんた、三日間も意識なかったんだぜ。俺、超焦ったよ。」
「あ、ありがとうございます。ここは?」
「ここは、ジーファット魔法学園の白魔法治療室だよ。先生を呼んでくるからちょっと待ってて。」
少年が去って一人になったラウルは起き上がろうとしたが、まだ痛みで体は動かない。
(魔法学園なんて、初めて聞いた。これが外の世界。まるで村とは大違いだ。)
ラウルはちょっと嬉しくなった。しばらくすると少年は金髪の白い服を着た男を連れてきた。
「ミクラ、お疲れ様。今日は寮に帰って寝ていいぞ。先生、ちょっとやることがあるから。」
ミクラは、はいと返事をするとその場を去った。
「私はロイド。君に三つ質問がある。名前は?」
「僕はラウルです。」
「苗字は?」
「僕にはないです。」
「ふむ、ではどこに住んでいた?」
「知りません。でも崖から突き落とされたので海はあると思います。」
「そうか…分かった。ちょっと話し合いをするからここにいて欲しい。」
ロイドはそういうと立ち去った。
ジーファット魔法学校学園長室にて。そこにはウィリアム学園長がいた。ウィリアムの姿は黄色と青のオッドアイ。黄色の目はどんな力があるのか読み取る能力があった。
「例の少年の名前はラウルです。そして、うなじに「星の刻印」がありました。ただ住んでいた場所の特定は、ちょっと難しいですが崖の近くにあるようです。」
「それについては、別の方に伝えておくよ。今は彼をここに入学させてたくさん学ばせることだ。彼はこの世界の王になる。」
「入学ですか?僕は魔法をうまく使うことができません。」
ラウルは不安な顔を見せる。
「大丈夫、ここは学園だからそこは気にしない方がいいよ。ひどいことはしないよ。」
ラウルはどこに行く当てもない。
(本当にひどいことが起きないといいな。)
こうして、ラウルは淡い期待と疑念を持ちながら入学することにした。