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理由なんてぶっちゃけ何でもいいよね

「おはよう、佐藤。」


「おはよう、滝くん。今日はなんかすごい顔してるよ……。どうかしたの?」


「……いや、何でもないよ。昨日の疲れが出てるだけだ。」


「ふ~ん、そうなんだ。大変だね~。」


こいつ聞いておきながらそのどうでもいい返事やめんか。大体動画なんてみながら話すなんて……うん……?


「おい、佐藤!お前今みてる動画ってもしかして……」


「あぁこれ?えっとね~今学校中で話題になっている動画だよ。知らない……?」


知らないわけがない。なぜならその画面に映る美人な少女に見覚えがあったから。それにしても佐藤も動画をみるなんて……。


俺は感動した!こんなどこにでもいそうな普通の女の子。例えるなら村人Bが共通の趣味を持っていたとはっ!


あとついでに紹介しとこう。俺の隣の席の女の子、佐藤楓(さとう、かえで)特記事項特になし!あえて言うなら地味っ子。


「この画面に映ってる女の子って隣のクラスの橋田百花(はしだ、ももか)ちゃんなんだよ~。橋田さんがTyutyuberなんて知らなかったよ~。確かに愛想も性格も良くて凄い可愛いしあのサラサラで艶々の髪なんてホントに羨ましいよ。」


佐藤があの女の子とを褒めちぎっているが、1つだけ不快な点があった。


「1つだけ間違っているところがあるぞ佐藤!」


休み時間中にいきなり叫んだ為クラス内で注目が集まる。


「え?なんで?学校でも人気者だよ。」


「いいか?あいつはっ……!あいつはなっ!……」


「……ちょっといいかしら?滝くん……?」


「え……?百花……?」


「ちょっと話があるのだけどいいかしら?」


さっきまでの注目なんか比にならない位に皆の視線が集中……

それもそのはず、透き通るほどに整えられた細工物のような金髪に女子たちの憧れの顔立ち。これで目立たない方がおかしいだろう。


こいつこそがさっき佐藤と話していた橋田百花だ。


「滝くんって橋田さんと知り合いだったんだ?

佐藤が珍しく少し驚いた表情をみせている。


「知り合いもなにも……昔一緒にお風呂に入っ」


「怪我を手当てしてあげたの!」


「~っ!?」


百花の奴……俺の背中をおもいっきり引っ張りやがって……


「彼が今朝、転んでるのを見かけて……保健室で手当てしたの。怪我の具合が心配だったから少し様子を見に……」


「へ~、そうだったんだ~、でも滝くん今朝はそんなこと一言も……」


「大事にしたくないから秘密にしてってお願いしたの!」


「~~っ!?」


痛い痛い!これ以上引っ張らないで!背中取れちゃう!


今のは俺悪くないだろ。迂闊なこと言いそうになったのは佐藤の方なのに……。


「ね?そうよね?滝くん?」


「……はい。その通りです……。」


「怪我が大丈夫そうで何よりだわ。また何かあればすぐに頼ってね?滝くん。」


彼女の放つ言葉はまるで何もなければ関わるなと言わんばかりの重みがあった。


「じゃあね、滝くん……と、佐藤さん?」


最後にいたずらな笑みを残して百花は美しく教室を去っていった。


「…………」


「ねえ?」


「…………」


「滝くん、滝くん?」


「……えっ!?」


「……大丈夫?滝くん?」


「あ、あぁ……」


いつの間にかホームルームが終わり下校時間はとっくに過ぎていた。


「それにしても、良かったね。橋田さんみたいな美人さんに介抱してもらえて。」


「あはは……そうだな……。」


お前もいつかあいつの秘密を知ったら能天気には過ごしていられないぞ。


「それよりも佐藤ってTyutyube好きなのか?」


「う~ん、好きってほどでもないけどよく見るかな~。」


「ほんとか!?例えばどんなの!?ゲーム実況とか!?それとも企画系!?」


「私がよく見るのはファッション系かな~。今オススメの商品とか教えてくれるやつ。」


さすがにそこは女の子か。可愛いやつめ。そうだ!佐藤ももしかしたら手伝ってくれるかも……。


「そんな佐藤に1つお願いがあるんだ……。俺と一緒にTyutyuberになってくれないか?」

さすがにいきなりすぎたか?普通は断られるよな、こんなの。


でも誘わずにはいられなかった。


俺はこいつとヤりたいと思ってしまったんだから。


「……それって橋田さんみたいになれってこと?」


「違う!お前はお前であいつと違った魅力があるんだ!例えば……え、ええと……」


「なんかすごい虚しくなってきたよ……」


「つまり、俺が言いたいのはさ、佐藤は百花じゃないんだ。あいつよりも劣っているところもあるし、逆にあいつより優れたところもある。動画投稿に大事なのは個性なんだよ。人の真似をするだけじゃだめなんだ。」


俺の力説に彼女の表情が少し柔らかくなる。


「佐藤には佐藤のままで俺はいて欲しいんだ。」


「……私で、ほんとにいいの?」


「……ああ!」


「そこまで言われたらしょうがないよね。手伝ってあげるよ。」



「でも期待はしないでね?私そんなに目立つタイプじゃないから。」


そう言って微笑んだ彼女は俺には充分過ぎるほど魅力的でついキュンとしてしまった。


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